丸ノコはDIYerに真っ直ぐ切る手段を提供してくれる素晴らしい道具。
でもその方法を知っていないと、思ったようには切れないもの。
なので今回は特別な練習など必要とせず、誰でも簡単に真っ直ぐ切れる方法にフォーカスして、そうじゃない方法も交えながら解説していく。
ただし丸ノコはとても危険な工具なので、危険性の理解と安全対策は必須。キックバックの危険性から対策まで以下の記事にまとめてある。
【安全対策】丸ノコを使う前に知っておきたいこと色々
丸ノコはDIY初心者が材料をまっすぐ切るために最初に触れる電動工具だと思う。初心者であっても、ドリルドライバーなんかを買った時、ロクに使い方 ...
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Contents
フリーハンドでは真っ直ぐ切れない
誰でもできる度 ★★☆☆☆
まっすぐサクサク切りたいから丸ノコを買うと思うんだけど、実は単体でまっすぐ切るのは難しい。
確かにフリーハンドと言って、単体で切ることもできる。
下の図のように墨線にガイドを合わせて丸鋸を動かす方法だ。
この方法は丸ノコの基本だから習得しなければならないと思う必要は全くない。
綺麗に切ろうとした場合、前方のガイド1点だけでなく、切り初めは刃を、途中から後方のガイドなど少なくとも2点を見て合わせながら切り進める必要があるのでとても簡単とは言えない。
チップソーは構造的には真っ直ぐ進もうとするけど、わずかながらずれていくし、それを修正しようとして強くひねるとキックバックの原因にもなる。
正直適当にカットするならフリーハンドは手っ取り早い。
でも、正確に切ろうと思うほど逆に時間がかかるし神経もすり減らすので、簡単に真っ直ぐ切りたいならベストな方法ではないと思う。
ガイド定規を使う
誰でもできる度 ★★★☆☆
真っ直ぐ切るためには最低限このような定規が必要。
丸ノコと言えどもガイドがないとまっすぐ動かすことはできないわけだ。
ただしこれを使ったカットラインは定規の位置とは一致しない。
下の写真のように丸ノコのガイド部分から刃までの距離分ずれてカットすることになる。
そしてこの距離は丸ノコによって違うので、それぞれ覚えておく必要があり、この計算を行った上で定規の位置を決める必要があるのでミスることもしばしば。
でもこのようなカットは、ざっくり直角を出してざっくり切りたい時に便利で、下の写真のように合わせる事でスムーズに切れる。
このタイプの直角付きガイドは当てるだけで直角に合わせられるので、大きいベニヤなんかをザクザク切る時には便利。
ただし角材ののように幅が狭いものを切るにはデカすぎる。
そんな時にはタジマの小さい直角ガイドがすごい便利。
スライド丸ノコがない時にはこのタジマガイドをめっちゃ使ってた。
もっと正確に指定の位置でカットするには、次のような簡単なジグを作るのがおすすめ。
ガイド定規を作る
誰でもできる度 ★★★★☆
これは丸ノコ定規とか、丸ノコガイドと呼ばれるものの最低限の形で、自分がカットに一番使うもの。
アルミのフラットバーが丸ノコのガイドとなって、ベニヤはカットラインにピッタリあうようになる。
ベニヤがカットラインピッタリまで抑えてくれるので、ササクレなんかもかなり防いでくれる。
作り方は、必要分より大きめに用意したベニヤ910mmにフラットバー1000mmを貼り付け、丸ノコを沿わせて切るだけ。(長さは自分の用途に応じて)
ポイントは反対側にも余白を残すこと、定規は正確にカットする時クランプなんかで固定する必要があるので、余白は丸ノコとクランプが干渉しない位置のつかみしろになる。
さらにカット側より少し長く残しておけば、片方のベニヤの先が削れてきても、こちらを切れば新しく正確な切断面が得られる。
ベニヤの厚みは5.5mmくらいあれば十分、あまり分厚いものを使うと丸ノコの刃の深さが足りなくなる。
自分の場合、フラットバーの厚みは3mm。これは後で述べる発展ジグで使えるようにするための寸法。
この最低限の形を基本に、直角出し機能をつけたりする人もいる。
自分はこれで直角を出すつもりはないので、裏にサンドペーパー貼るくらいで満足してるかな。
丸ノコで何かを切る時、最も精度が出せると思うのがこれを使ったカットだ。
ノコしろはどうなる
丸ノコはノコしろ=ノコ刃の厚みが一定数あるので切る方向が定まってくる。
というのも、300mmの幅で墨線を引いてさっきの丸鋸定規を合わせるとする。
AとBどっちが300mmピッタリの幅で切れるか?
正解はB。
Aは298.5mmくらいと、1mm以上短くなる。
これは刃の厚みが1.5mmくらいあるからそうなっちゃうということ。
だから丸鋸定規は使う材料側に置くことになる。
この切り方は結果的にカットに失敗してもミスは端材側に出るので、使用材側は修正が効く。
切り出す材料が小さい場合などはノコしろを計算して端材側に定規を置いて切ることもあるけど、失敗した場合は即アウト。
トラックソージグ
誰でもできる度 ★★★★★
練習で失敗をなくすこともできるけど、アイデアで失敗をなくすこともできる。
今のところ、万人が正確かつ効率的にカットする方法はこれが一番だと思ってる。
丸ノコは定規を使っていても案外力加減が難しく、気づいたら右側に少しずれてしまうって事が結構あると思う。
これはガイドと刃が水平ではないなどの原因もあると思うけど、入門モデルだとその調整もできない。そうでなくても気を抜くと普通にズレる。
それを防ぐのがこのトラックソージグ。と言っても超簡易に作る事ができる。
付属のストレートガイドと端材で作ったガイドで、丸ノコがアルミのバーに沿ってスライドするようになる。
ちなみに使用してるマキタHS631Dの場合、アルミフラットバーの厚みは3mmまでにとどめておかないとストレートガイドと干渉する。
動画も作成してるのでそっちで見てもらった方がわかりやすいと思う。
これを使えば丸ノコは左右にぶれる事がなくなるので、定規ごとズレない限り失敗する事がない。
つまり万人に一定の精度をもたらすジグ。お気に入り。
平行定規は結構難しい
誰でもできる度 ★★☆☆☆
平行定規はこのようなアタッチメントで、装着することで同じ幅の材料を大量に切り出すのに適している。
原理的にはテーブルソーと同じ。
左につけることも右につけることもできるけど、個人的には人間の体の構造的に左につけた方が使いやすいと思う。
左手でガイドを支え、右手で丸鋸を支える。自然と立ち位置も安全なポジションになる。
で、取り付けが一本のタイプと2本のタイプがあって、2本タイプの方がもちろん安定するけど、入門向けの丸ノコは1本タイプしか付けられない場合が多い。
ただしこいつを使ったカットは切り終わりの力の掛け具合が結構難しく、まっすぐ抜けずにガタついてしまう事が多い。
そして平行定規の性質上、2回目に切る時にガイドになるのは1回目のカットラインなので、下手くそだとズレがどんどん蓄積していってしまう。
しかも多くの場合、使う方の材料はガイドとチップソーに挟まれることになるので、失敗したら速攻アウト。
プロの大工さんなんかは現場でこれを使って綺麗に切るけど、自分は精度が必要なシーンでは最初っから諦めていて使わない。
でもDIYer諸氏は結構使ってるみたい。
というか、平行切りはテーブルソーのお家芸なので、テーブルソー持ってればまず使わない。
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バリやささくれ
チップソーにおいてバリやささくれはどうしても出るものだけど、丸ノコの場合は下から上に向けて切り進めるのでオモテ面に出る。
逆にウラ面(下)にはほぼ全く出ないので、仕上げに使う面は下に向けておくのが基本。
両面とも綺麗に切りたい場合は、上にあげた自作丸ノコ定規を使うだけでかなり軽減される。
さらに綺麗に切りたい場合は、カットラインにマスキングテープを貼るなどすれば問題になることはほとんどない。(自分はそこまでしない)
他にも根本的なところで刃の切れ味とチップの数がある。
使い込んだ刃は切れ味が悪くなるのは当然。
チップ数について、基本的に木の繊維に水平に刃が入る縦切りはバリが出にくく、垂直に刃が入る横切りの方がバリが出やすい。
なので横切りや精密加工にはチップ(刃の数)が多いものを使う。
チップが多いほどカット速度は遅くなるけど切断面は綺麗になる傾向があり、通常165mmサイズだと50P前後のものが多く、精密加工には80P以上のものもある。
DIY的に丁寧に切りたければ、くろプラスの52か72Pを使っておくのが一番コスパがいいと思う。
そんなに気にしないならくろ52Pでも十分。(結構違うけど)
切断面を整える
チップソーの切断面は基本的に仕上がりと呼べるものではない。
でも手鋸やバンドソーで切るような特有の「ノコ目」はほとんど出ないし、精密チップソーならほとんどフラットに仕上がるので、家具なんかじゃないければカットラインはそのまま直線として使える。
しっかりすべすべフラットに仕上げたい場合はやっぱり鉋をかけるのが一番手っ取り早いけど、知っての通りなかなか難しい。切断面を余計に汚くしてしまうこともあると思う。
なので下のようなサンドペーパーを角材に貼り付けたものを用意するのが一番簡単だと思う。
直線精度を出すために少なくとも20cm以上の長さのものを使い、なるべく直角の出たものを使う、そうすればベニヤなんかで浮かせて作業台の上を滑らせるように研磨すれば非常に綺麗な面が得られる。
貼り付けは自分の場合タイトボンドでそのまま貼ってる。
切断面には120番くらいがちょうどいいけど、仕上げ用に240番もよく使う。
幅の狭い材料を切る
その方法については次の記事で書きたいと思ってるけど、そもそも丸ノコは幅の狭いものを切るのに適していない。
あくまで大きいものをざっくり切り分けたり、道具の限られた現場で使われる道具。
精密な作業はテーブルソーなんかに軍配があがると思っておいた方が良い。