うまい、はやい、高い(30,000円ちょい)でお馴染みのマキタ充電式ピンタッカ PT353DZK。
これは細いピン釘(ピンネイル)をパスパスお手軽に打ち込める夢のような電動工具で、各種あるネイラの中ではDIYと相性がいい。
材料と材料をずれないように簡単に繋ぎ合わせてくれる。
内装の仕上げ打ちや、家具木工全般においても非常に使える代物。
名称の話だけど、ハイコーキは「ピン釘打ち機」、MAXは「ピンネイラ」と、登録商標の問題もあってか名称がバラバラ、統一しろよ。
今回はこの「ピンタッカ」の使い所やコツ、優れた点、他のネイラとどう違うのか説明していく。
強度などは動画で見てもらう方がわかりやすい。
Contents
ピンタッカ(ピンネイラ)と他のネイラの違いと種類
ネイルとは釘のことで、ネイラとは釘打ち機のこと。
そしてネイルには太さによっていくつか種類がある。
- ブラッドネイル
- フィニッシュネイル(仕上げ釘)
- スーパーフィニッシュネイル(超仕上げ釘)
- ピンネイル
上が一番強く、下に行くほど弱くなる。
ピンネイル。奴は4ネイルズの中でも最弱。
しかしとにかく目立ちにくいため、隠密DIYに向いている。
ゲームの必殺技名のようなブラッドネイルは名前の通り一番強いので、フローリング材を貼る用途などにも使用されていた。
過去形なのは、現実の床貼りはほぼステープルという長いホチキスが使われていて、実際に見たことがないから。
フィニッシュネイルはMAXの登録商標。しかしフィニッシュという呼称は「仕上げ釘」よりよく使われる。
その名の通り、仕上げ用途など見える部分にも使われるが、打ち込んだ跡は普通にわかるし目立つと言えば目立つ。
ちなみにスーパーフィニッシュに対応する電動ネイラは無いんじゃないかな?
仕上げ用途としてはもっとも目立たないのがピンネイル。
単独で使用することはほとんどなく、ボンドを併用する部分や、ビス留め前の仮固定などに使われる。
ピンタッカの使い所
「仮止め」というのが彼の仕事。基本的に単独で材料を固定することはなく、ボンドやビスなんかと連携するのが基本。
内装DIYなんかをする時には、巾木や天井廻り縁などの「桟木や面木」のようなものを真正面から打つだけで非常に簡単に取り付けることができる。
自分は内装より家具っぽいものを作ることが多いんだけど一番便利なのは、貼り合わせたい材料にとりあえずボンドを塗りつけて、ピッタリ合わせてピンタッカでパスパスするだけで、全くズレることなく引っ付いてくれるところ。
そう、ピンタッカの素晴らしいところは狙った位置に正確かつ簡単に固定できる点だ。
なので正確な仕事に向いている。
ビス留めはクランプなどで結構強めに抑えとかないと、必ずと言っていいほどズレる。
例えば箱状のものは組み上がるまでが不安定なので、上手いことビス留めするのが難しい。
そんな時はとりあえずボンドとピンタッカで、安定するように仮組みする。もちろん合わせるところはズレないようにピッタリ合わせる。
その後にビスでしっかり締め込むようにすると、ズレることもなく全てが簡単綺麗におさまる。
ちなみに曲がって変なところから出てもピンネイルは簡単に引き抜けるというのも特徴。
ビスを使わず、木組みで作る家具などにネイラ類は使わないけど、その際には専用のジグをたくさん作らなければいけないことが多い。
正確なジグ作りもピンタッカがあると楽勝。
保持力
ピンネイルは保持能力が弱いけどどれくらい弱いのか?
記事で解説するのは困難だけど、図に書いたようにピンネイルは頭がないので、そちら側からすっぽ抜ける場合が多い。
この辺の強度の感覚的なものは動画で見てほしい。
5.5mmのベニヤなんかは簡単にすっぽ抜ける。(もちろん引っ張らなきゃ取れないけど)
これは頭のあるフィニッシュネイルなどでは起こらない、まさに隠密性能と材料保持力はトレードオフ。
この特性から、貼り合わせる材料が硬く厚いほど保持能力は強くなる。
例えば15mmの硬い硬いオーク材(比重0.71)に3点真っ直ぐに打ち込んでみたところ、全力で引っ張って揺すりながらでないと取れなかった。
よく使う12mmのベニヤなんかもしっかり留まってくれる。
ちなみに基本技能として「ハの字」に打つだけでも強度はかなり上がる。
いくらでも打てる場所ならこれで大概のものを持たせられる。
↓これは5.5ベニヤとランバーコア材という、ピンネイルだと最も保持力が発揮されない組み合わせ。でもしっかり留まった。
貫通力
ピンネイルは軟鉄製の他のネイルと違って、鋼鉄製となっている。
これは0.6mmという細い釘を曲がることなく材料に打ち込める貫通力を持たせる為だと思われる。
というわけで、使える最大長さである35mmのピンネイルを、手元で最も硬い材料であるパープルハート(比重0.88)に打ち込んでみた。
ダメだった・・
では25mmなら?
無事頭まで埋まった。
ちなみにホワイトオークであれば35mmまで全て埋まった。
オークに35mmの深さを打ち込めるならまあ困ることはないよね。
ただしここまで硬いと本体が反動で浮いて、頭まで入りきらないことがあったので、強めに押さえつけて打った方がいい。
使ってた感じでは、材料が薄かろうが、厚かろうが、柔らかかろうが、硬かろうが、頭の深さは一定になる傾向にある。
なので、深さ調整の機構があるけどまだ必要としていない。
ちょっとしたコツと安全対策
ピンネイルは無垢材などに打ち込む時、木目によって流されて曲がることがしばしばある。
これについては曲がりやすい方向と、曲がりにくい方向があるようだ。
本体の向きを90度回して打っている。
何回やってもこうなるので、かなり再現性は高い。
使っているのはマキタ純正のピンネイル25mm。
方向によって強度が異なる可能性は十分あるので、一つ頭に置いておくと役に立つかもしれない。
あとピンネイルに限った話じゃないけど、ネイラは打ち込む先に硬い節があったりビスが埋まっていたりすると、跳ね返ってあらぬ方向から飛び出すことがある。
Uターンして帰ってくることもある。
なので、打ち込む時には抑える手をネイルの長さより離しておくことが非常に大切。
PT353DZKの基本スペックと打感など
僕はエアのピンネイラも使ったことがあるけど、打感はエアの方が「バシュッ」と決まって気持ちいい。
ただ打ち込み能力についての差は感じない。流石にプロ仕様にふさわしい高い完成度を感じる。
反動による浮き上がりに対するカウンターもしっかり効いてて、適当にパスパスやってても頭が浮くことは稀。
使い方自体は非常にシンプルだけど基本について軽くまとめておく。
使えるピン釘の長さ
15mm〜35mm。
写真のようにシート状につながっており、マガジンをシュッと抜いてカシュっとリロードする。
三角マークは方向だ。
参考までに自分はマキタ純正で18mm、25mm、35mmと買ってみた。(15mmが在庫切れだったので)
ちなみにマキタはホムセンではあまり見かけない。
まあこんくらい種類があれば困らないと思う。
どれも3000本セットなので買い増すのが何年後になるか想像もできない。
ノーズアダプタ
先端についてる赤いキャップは捨ててはいけない。
これを装着すると材料の凹みを防いでくれるので基本的には常に装着しておけば良い。狭いところに打ち込みたい時だけ外せばいいと思う。
ないと杉なんかはめちゃくちゃ凹む。
左がカバーありで、右がなし。
ちなみに下の方についてるのは予備。
空打ち防止
残弾数が3発程度になるとロックがかかって打てなくなる。
空打ちは本体にダメージを与えるため、最近の機種は大体それを防ぐ機構が備わっている。詰まっているわけじゃない。
新しいネイルを下から追加すればまた打てるようになる。
安全装置
このボタンを押せばロックされてトリガが引けなくなる。
ロックを解除しても先っぽ(コンタクトアーム)を材料に押さえつけないと発射できないようになっている。
打ち込み深さ調整
購入時はマックスになっているけど、この部分を回せば打ち込み深さを1.5mmまで浅くすることができる。
ただこれはゼロ距離射撃なのか、少し離して打つのか、という調整なので深さがダイレクトに1.5mm変わるわけではない。
自分は常にマックスにしているけど、薄い板を貼るときなんかは頭が沈むと都合が悪いので調整してもいいかも。
充電式ピンタッカとエア工具の比較
いわゆる釘打ち機(ネイラ)は、空気を圧縮するコンプレッサーという機械を用いる「エア工具」というタイプの方が圧倒的にが多い。
DIYの観点から見ると、コンプレッサはさまざまなエアツールが使えて確かに便利だけど、動作音が非常に大きく、場所も結構とるため個人的にあまり置きたくない。
これに対して充電式ピンタッカの優れる点は、まさにそのコンプレッサを用意しなくていいところ。
そして何よりコードレスなので機動性が非常に高い。集塵接続も不要なので完全に独立した工具として自由な取り回しができる。
逆に弱点はというと、重い(1kg vs 2.2kg)それだけだ。
エア工具はたくさんの種類があるけど、大体のものは電動工具で代わりが効くので、コンプレッサーは持ってないけど、マキタやハイコーキのバッテリは持ってるという人なら電動を選択した方がコスパもいいと思う。
マキタ充電式ピンタッカPT353DZKの明確な利点
後述するけどピンタッカはネイラの中でも最も細い釘を打つものなので、あまりパワーを必要としない。
なので電動化、コードレス化も結構昔から実現されており、機構も国内製品であればどれもスプリング方式なので、それなりのメーカーの製品であれば機能や品質において圧倒的な差は見つからない。
そんな中で明確にマキタが優れていると言えるのがドライバ交換がめっちゃ簡単だということ。
ドライバというのは、まさに釘の頭を叩いて打ち込むハンマーに当たる部分で、打ち込んでるうちにここが摩耗してくる。
ピンネイラはネイル自体が硬く、特に摩耗が早くいため打ち込み数箱程度で交換期が来るらしい。ちなみに1箱3000本。
まあ趣味の使用でその交換期がすぐに来るとも思えないけど、ユーザーが自分で交換することを前提としているのは素晴らしいところ。買った時に替えドライバーもついてくる。
↓外すネジは4本だけ。
例えばハイコーキのピン釘打ち機も優秀だと聞くけど、ドライバ交換はかなり難しく、メーカーや販売店に依頼することが前提となっているようだ。
というか自分で交換しようと開けた時点でメーカー保証の対象外となる。
そういう意味でも電動ピンタッカにおいてはマキタの方が少し有利なんじゃないかと思う。
まあこの両社は本当にハナ差の競争を繰り返しているので、どちらのバッテリを持ってるかって話だね。