こんなもんなのか?現代にはもっといいサンドペーパーあるだろ。
作業の大半がサンディングだと気づいてから、時間をかけて調べながらあれこれ入れ替えてきた。
今回は、ペーパーに対してこんな感覚を持っておくと便利、って感じの知識をまとめていく。
小難しい内容を飛ばしたい人は、最後の実際の使い分けと手順だけ見てもらっても良い。
砥粒 - 切削力に直結する部分
これはサンドペーパーの削りパワーを左右する主要な部分。
木工用では主に昔ながらのガーネット、アルミナ、シリコンカーバイド、最新のセラミックあたりが使われていて、それぞれ硬さだけでなく「どれくらい鋭いか」「どれくらい割れやすいか」がかなり違う。
割れやすさも意外と重要で、頑丈なほど優秀というわけでもない。
適度に砕け、鋭い角が現れる「自生作用」も研磨性能を左右する。
ガーネット砥粒(G)

ホームセンター在住の茶色い子、天然石を砕いて作る伝統的な砥粒。
小中学校などで初めて触れるサンドペーパーもこれだったりすると思う。
削り味はマイルドで、研磨すると砥粒が割れて新しい切刃も現れる。でも主流のアルミナなどと比べると摩耗が早く、耐久性は普通に低い。
広葉樹をメインに家具を作るような用途にはあまり、、、というか柔らかい針葉樹であってもアルミナの方がコスパ良し。
僕的には特別な事情がなければ使わない砥粒。
アルミナ砥粒(AA、WA)

木工界隈でもっともポピュラーで主流な砥粒。
酸化アルミニウムを主体とする人工砥粒で、一般的なAA(褐色アルミナ)と、高純度なWA(白色アルミナ)などに分類される。
ガーネットより固く耐久性が高い。
砥粒の角が多少摩耗しても粒そのものが残りやすく、切削力が長く維持されるので、木工用の空研ぎペーパーには非常によく使われている。
自分のイメージでは、
塗装前までの木下地研磨なら、まずアルミナ。
という感じ。
ちなみにWAの方が高純度で硬い一方、靭性は低く、より砕けやすい。
粘り強いAAは木地の一般研磨や荒研磨、砕けて鋭い切刃を出しやすいWAはパテや樹脂塗膜の荒研ぎ~中研ぎに向く、というイメージ。
木工用途なら基本はAA(褐色アルミナ)を選んでおけばいいと思う。

シリコンカーバイド砥粒(C または SiC)

WAよりさらに硬く、非常に鋭い反面、靭性が低くて脆い砥粒。
そのため高い力を掛けてガンガン削るというより、軽い力で鋭く切る仕上げ研磨が得意。
基材の紙も薄く柔らかい製品が多く、手作業での繊細な研磨との相性もいい。
個人的には、
一次塗装以降の仕上げ向き。
というイメージ。
硬質樹脂、塗膜、その足付けなど、硬いものの素地調整や仕上げ用途に多く使われる。
耐水ペーパーにCが多いのもこの性格と相性がよく、1000以上の細番手までラインナップされていることが多い。
ただし、Cだから耐水というわけではない。
耐水性を決めるのは紙基材や接着剤などの構造で、Cを使った空研ぎ専用ペーパーも普通に存在する。
砥粒の色は基本的に黒っぽい色。ホームセンターで売っている黒い耐水ペーパーは、だいたいこれ。
セラミック砥粒(現代のやつ)

全く別物に見せかけて、実はこいつも主成分は酸化アルミニウム(Al₂O₃)。
一般的なAやWAも、セラミックアルミナも、基本となる結晶相は同じ。
じゃあ何が違うのかというと、砥粒内部の作り方と微細構造が違う。
ゾルゲル法とかいう謎技術によって、従来のアルミナよりはるかに細かな結晶粒が集まった構造を作り、それを焼結して砥粒にする。
普通のアルミナよりずっと細かな単位で「刃を研ぎ直しながら削っている」ような感じ、先端が細かいから鋭い。
これによって鋭い切刃を維持しやすく切削力が高い。それでいて砥粒を一気に大きく失わないので寿命も長い。
このタイプのセラミックアルミナ砥粒が実用化されたのは1980年代初頭なので、実はもう40年以上前からあり、複数のメーカーから出ている。
↑これじゃまだ現代とは言えない。
2009年頃、3Mは砥粒の外形まで刃物みたいに成型すればもっと削れるやろ、と言って、セラミック砥粒そのものを精密な三角形に成型した。
これをPrecision-Shaped Grain(PSG)と呼ぶらしい。
さらにそれを静電気で研磨面に立たせて接着することで、鋭い先端が表面に突き出すように配向させている。

これが3MのCubitron II(キュービトロン2)シリーズ。
特許の多重障壁が今もまだ生きてるみたいで、よそも真似できていないっぽい。
削った感触がまるで違うし、今のところ最強のペーパーだと思う。
試してみたい人は10枚入りのコレ使ってみると良い。
僕は感動した、現代にはやっぱりすごいものあるやんって思った。
ちなみにキュービトロン3ってのが機械用であるけど、僕はお世話にならないので触れない。
詰まりにくさ
まずは砥粒の配置間隔が目詰まりを左右する。
砥粒の配置間隔
オープンコート、クローズドコートという単語がそれで、砥粒の間隔が広いのがオープン、びっしり詰まっているのがクローズド。
オープンコートは砥粒同士の間に削りカスの逃げ場があるため、目詰まりしにくい。
そのぶん同じ面積あたりの砥粒は少なくなるが、木材やみたいに大量の削りカスが出る相手では、詰まって切れなくなるより都合がいい。
なので木工用の空研ぎペーパーでは、オープンまたはセミオープンの製品が多い。
一方、クローズドコートは砥粒を高密度に配置するので、硬い素材を均一に研磨したり、細かな仕上げを行うのに向いている。
水を使って削りカスを流せる耐水ペーパーには、クローズドコートの製品が多い。
だから耐水ペーパーで空研ぎすると、速攻で詰まるのはこの辺も理由のひとつだと思う。
目詰まり防止コーティング
もう一つが、研磨面の一番上に施される目詰まり防止コーティング。
よく使われるのがステアリン酸亜鉛などの金属石鹸(←なんかこわい)。
こいつが潤滑剤や離型剤のように働くことで摩擦を抑え、ヤニや塗膜などの削りカスが砥粒へこびりつくのを防いでくれる。
なので、
オープンコート=削りカスの逃げ場を作る
目詰まり防止コーティング=削りカスをくっつきにくくする
この二つを組み合わせることで、空研ぎペーパーは目詰まりしにくく作られているらしい。
国産の空研ぎペーパーは、使ってると白いのがハゲて下地の色が見えてくるものが多いけど、これがそのコーティングだと思われる。
一方、グローバルでは、黄色が高耐久のアルミナ空研ぎペーパーの識別色となってる場合が多い。(3M,Sia,MIRKA,ボッシュほか)

こちらは使っていても色がハゲることはないので、国産はわざとコーティングの摩耗具合がわかるようにしているのかもね、知らんけど。
こうした目詰まり防止コーティングを持つ製品の多くは基本的に空研ぎ専用だけど、水研ぎ兼用も割と存在する。
三共理化学の空研ぎペーパー(裏紙青のRACS品番)やハイピッチペーパー(青色のHRAS)は目詰まり防止処理を施した空研ぎペーパーでありながら、水研ぎにも対応する仕様になっている。便利。
スポンジ型のサンダーも砥粒AAでほとんど乾湿両用。
基材の性質
基材とは砥粒を載せているベースのことで、一般的なサンドペーパーなら紙。
用途によって、ベルトサンダー用では丈夫な布、高耐久なものではポリエステルフィルム、耐水ペーパーでは耐水処理された紙など、いろいろな素材が使われている。
普段は用途に合った製品を選べばそこまで気にする必要はないけど、紙基材には厚さ・強度を表すWeight(ウェイト)という分類があるので知っておきたい。
厚さの表記方法
紙基材では A-weight、C-weight など、アルファベット+Weightで表記される。
基本的にはアルファベットが進むほど厚く丈夫になり、
Awは薄くしなやかで手研ぎや曲面向き、Fwは厚く頑丈で機械研磨向き。


ざっくり並べると、
A → B → C → D → E → F
の順に重く、厚く、丈夫になっていく。
ただしこれは単純な「紙の厚さ」そのものではなく、同じWeightでもメーカーや紙の処理によって厚さや柔らかさは違うっぽい。
ちなみに布基材にもJ、X、Yなどの重量・強度区分があるけど、紙とは別のややこしいルールなのでここでは省略。
この表記を知っておくと、欲しい硬さの判断基準になる。
接着剤
砥粒を基材に固定している接着剤。
基材に砥粒を接着する下層のメイクコート(Make Coat)と、その上から砥粒を固定するサイズコート(Size Coat)の二層が基本になっている。
昔ながらの膠(Glue:G)が使われるものもあるが、現在の空研ぎペーパーでは耐熱性・耐久性に優れる合成樹脂(Resin:R)が主流っぽい。
両方とも樹脂なら、R/R のように表記される。

特に耐水ペーパーでは、水に濡れて接着層が弱くなっては困るので、耐水性のある樹脂系接着剤が使われる。
しかし、まあそれがわかったところで特に役に立つわけではないかも😢。
実際の使い分けと手順
ここまで色々書いてみたけど、これらを踏まえて僕が何を使ってどうしてるかを一応まとめておく。
まあこの辺は常に試行錯誤しながらやってるから、しょっちゅう変わると思う。
塗装前
材料を加工したあと、一番消すのに手間がかかるのが自動かんな(プレーナー)の跡。
使えるところはランダムサンダーを使っている。
ここで使うのがセラミック砥粒の3M キュービトロン2

気合い入れて120,180,240番と揃えてしまったが、180か240番だけでも十分消えてしまう、むしろ研磨力が強いので、高めの番手に留めておいた方が良いまである。
僕は集塵穴の位置を気にしてネットディスクを使ってるけど、下の形状もある。
5枚入りのアルミナディスクをよく買ってたけど、こっちの方が寿命も長く50枚入りなので、単価はだいぶ安くなったはず、でも多すぎる、数年は使う決意。
あと、使用感覚が結構違うので、力の掛け方にはなれが必要かも。
次に、ランダムサンダーを当てにくいパーツや、木端(コバ)なんかはガラス定盤と角材に貼ったペーパーで研磨する。
そこで使ってるのが3M GOLD。

これはアルミナのノリつきロールペーパーで、三共理化学のピーエスペーパー、KOVAXのタックロールみたいなもの、値段は同等かチョイ高くらい。
ガラス定盤には95mmの120番を貼っており、角材に貼り付ける分は120、240と用意している。
(180も欲しい)

箱から引っ張り出してそのままカットできるように金属プレートがついてて便利

貼って剥がしてもほぼノリが残らないし、ノリを滑り止めとして手持ちで活用することもできる。
研磨力も優秀だけど、持続力が何より高いと感じる。
あとはルーターの痕跡の残る曲面の処理となる。
ここもやっぱりキュービトロン2。のマジックテープロール。

裏がマジックテープでになってて、60mm毎に切れ目が入っているので手で切れる。そのサイズの薄いスポンジパッドも付属。
120mmに切ってもう少し大きいマジックスポンジパッドに貼り付けると、シャリシャリに削れるのでR面の処理がめっちゃ楽。


貼り付けずに手持ち使いもできるので、内曲面や細かいところの最終研磨も、GOLDよりも強力なこいつで整えることが多い。
価格は、マジック式自体そもそも高いんだけど、アルミナの同形状品の1.4倍くらいはする。
ところで、ノリつきだけGOLDを使ってる理由は、ノリつきキュービトロン2は日本では多分売ってないから😢。
塗装中と塗装後
自分の場合はオイル塗装がほとんど。
1回目の塗装中は目についたところがあればオイルサンディングするし、しないこともある。
季節にもよるが、24時間から48時間おいて乾燥したら毛羽立ってるところを320番で大体落としてから2回目の塗装に入る。
2回目の塗装中は400番を1枚持って全面的にオイルサンディング、3回目の時には600番までいくこともあるが、いかないこともある。
その時に使うペーパーは特に決めてないしこだわりもあまりない、耐水ペーパーはモノタロウの激安セットを使ってたりする。
なんでかというと、仕上がりに不満もないし、研磨力が特に欲しいと思う場面もはないからだと思う。
ただ、塗装後のサンディングはウェット時、ドライ時、問わず感覚や気分でサンディングすることが多いので、三共のこれが結構便利だったりする。
システム上、上のリンクは100枚入りの業務用しか貼れなかったが、複数番手を揃えたい僕はAmazonの10枚入りとか、モノタロウで扱ってる1枚単位のものを買っている。

三共空研ぎシリーズは複数あるが、このRACS品番はメジャーなのか、空研ぎペーパーの名だと品番書いてなくても中身はだいたいこれで、ホームセンターにも結構ある。
この品番はアルミナのオープンコートの空研ぎシートだが、ウェットサンディングもOKという製品。(上にも書いた)
普通のクローズド耐水ペーパーは乾燥したオイル塗膜を研磨すると、削って3秒で目詰まりする。
こいつはすごいやつで、ウェットだろうがドライだろうが、同じペーパーで対応してくれるし長持ちするのでいろいろと楽。240,320,400,600番まで持ってる。

三共は裏が青いと湿乾式兼用なのか?(不明)
ただ理屈の上ではウェットはCでクローズドコートの専用ペーパーの方が綺麗に仕上がるはずではある。
最後に
というわけで色々書き連ねてきたけどサンドペーパーは奥が深いというか、調べてもわからないことが多い。
手持ちのペーパーは3Mが多くなったが、割と分類がわかりやすく整理されていて、選択しやすかったという点もあった。
だから次回は3Mのペーパーがどんな分類になってるかをまとめようと思う。
本当はSiaとかMIRKAとかのペーパーも調べたいが、リサーチにもめちゃくちゃ体力と現金が必要なので、現状セットに不満が出るまではやんないと思う。