トリマーより安いルーターM3612DAはコスト的に入門にも最適なプロユース、一機で万能総合職として活躍できるルーターだと思う。
もともとマキタと比較すると深さ微調整機能がないのがネックだったんだけど、部品をちょっと取り付けるだけでめっちゃ使いやすくなる。
今回は購入検討者向けに基本スペックとその改造詳細をまとめていく。
Contents
ルーターとトリマーの違い
まず最初にルーターが存在して、それをコンパクトにしたものがトリマーだと認識しておきたい。(トリマー=compact router, triming router)
そしてM3612DAはプランジ機能を付加したプランジルーターというジャンルだ。
どう言うことかと言うと、トリマーのように前後左右に溝を掘ったり切り抜いたりするだけではなく、ボール盤のように上から下に掘り込む(plunge)動作も可能なので、窓穴のようなくりぬきなども上から真っ直ぐ切り込めるのでやりやすい。
そして日本では12mm軸のビットまで回せる両手持ちのものをルーターと呼ぶことが多いが、全てにプランジ機能が搭載されているわけではない。
対してトリマーは片手で扱うことができ、面取りのようなトリミング作業がやりやすい。
モーター出力も全然違う。AC機でいうと12mmルーターは1200W以上、8mmトリマーは500W以下といった具合だ。
この両者は作業の得手不得手はあっても8mm以下のビット作業においては大体同じことができるのでわりと片方持ってるだけでもなんとかなる。
トリマーは片手で使えてコントロールしやすく細かい作業がやりやすい。
プランジルーターは12mm級のビットが使え、プランジ機能もあるのでトリマーができないことも全てできる。細かいことが得意とは言えない。
M3612DAの特徴
M3612DAは日本のプランジルーターとしては抜群にコンパクトで取り回しが良く、さらに充電式なので機動力が抜きん出ている。
なので大型機ではやりにくかった細かい作業も安定させやすいためトリマーがなくても全部対応できるといえる。
そしてパワーもAC機以上とされている。
比較対象のM12V2は消費1420Wなので、もし消費1500Wでフル稼働するとなると3.6分でバッテリが尽きてしまう。(36V 2.5Ahバッテリの場合)
とはいえ1充電あたりの作業量を加工距離で表すと60mで、トリマーの50mを上回る(構造用合板9mm ビット8mmの場合)ので心配はいらないかも。
ちなみに出力は不明、バッテリ的に最大1080Wだ。
作業中の操作性も大幅に改善されており、特にトリガー式スイッチは超絶便利。ビット交換時の逆さ置きや寝かせも考慮された形状となっている。
その代わり深さ微調整機構などは省かれており、ちょっとした工夫が求められるがそのおかげでローコストを実現してると考えればよし。
コストから見ても初めてトリマー買おうとしてる人がこっちから入るってのもアリ。
大きさとか
2.5Ahのバッテリをつけた場合。
重さは
3.7kg
プランジベースを装着したマキタトリマRT51DZが3.0kgで少し軽い。
ちなみに先代にあたるAC機のM12V2は6.3kg、米かなにかですか?これでパワー上回るってどういうこと?
サイズは(幅x高さx奥行き)
275 × 280 x 148mm
M12V2よりも小さく、マキタプランジベースよりデカい。
スイッチ周り
上の丸ポチを押しながらトリガーを引けば起動。充電式丸ノコのトリガーをイメージしてもらうとわかりやすい。
さらにここから丸ポチを先に離せばトリガーオン時のみの動作となり、トリガーを先に離せば動作しっぱなしとなる。(もう一回レバー引いてオフ)
トリガーを含め、この操作は慣れるとすごく便利だ。
このレバーは上下のプランジ動作をロックするレバーだ。
2点式なのでレバーを引いたままでも中指と親指で操作できるようになっており、コストをかけない工夫として愚直かつ秀逸。
変速について
速度は11,000~25,000min-1の無断変速。
もちろん作業中でも操作できるようになっているけど操作しやすいとは言っていない。
位置がなんか微妙。
左手の指先まで引っ張って欲しかったけど多分コスト上がるんだろうな。
コレット周辺
ビットを装着する部分だけど、従来の二本スパナ方式ではなくロックピンを押して一本のスパナで締める方式オンリーだ。
しかしながら写真のように作業するため、プランジの脚がめっちゃ邪魔だ。ストッパブロックも邪魔だ。
まあ慣れれば問題ないとはいえ、わりとウザいのでこんなやり方も紹介しておく。
マックスに縮めると少しだけナットがベースから飛び出すので、そっちからスパナを突っ込む。
この方のがやりやすいと思う。
使えるビット
6mm - XPのみ付属
6.35mm - 別売り
8mm - 同梱
9.53mm - 別売り
12mm - 同梱
12.7mm - 別売り
頻用する6.35mm,12.7mmは別売りだけど買ったほうがいい。
相変わらずわかりにくいのでリンクを貼ってる。
NNモデルは一番使う6mmのチャックスリーブすら別売りだ。
というのもハイコーキの現行ルーターと大体コレット周りが共有できるので、すでに持ってていらん人が大半といったところかもしれない。
深さ調整
切り込み深さはストッパポールがストッパブロックに当たることで決まる。
ストッパポールは昇降させることで深さを大きく調整する。
目盛がついているけど目安程度でしかなく、1mm分正確に調整したいと言った場合などは1mmの硬いものを挟んだ状態でプランジロックしてポールを動かすみたいな面倒臭いことが必要になる。
まあこれは簡単な方法でカスタムしたので次項目で紹介する。
ストッパブロックは3種類あって回転させて切り替える。2本が高さ調整可能なので、決めた深さで段階的に切り込んでいくことができる。
微調整システムをDIY
これ。
見てわかる通りボルトを回せば深さが調整できる。バネは誤回転防止装置だ。
M6の並目ボルトは1回転で1mm昇降するのでこういう時すごく使いやすい。
1点に白マジックで印をつけているので半回転で0.5mm、1/4で0.25mmとか微調整ができる。
大体10mmくらいの範囲で調整が可能。ストッパボルトは5mm差固定で動かすことはない。
仕様は以下の通りでミスミで細かく指定して注文した。
ボルト
・M6 30mm
シャフト - 片側めねじタイプ
・太さ 10mm
・長さ 85mm
・めねじ M6 深さ18mm
バネ
・自由高さ 32mm
・基準荷重高さ 20.21mm
・許容荷重高さ 13.03mm
・線径0.65mm
・コイル外径8mm
・許容荷重 4.51-8.50N
リンクをクリックしてもらえたら僕が指定した仕様が出るっぽい。
バネは20個からしか買えなかったので1420円もした。ダブルナットにして手回しで軽く締めるだけにしてもいいだろう。
バネを使うのはDEWALTの新型の写真を見てパクった。
というかこのバネまったく別の用途かもしれないんだけど、これいじってる動画が見つからなくて不明。
とりあえずめっちゃ便利になるから試してみて。
なぜやすい
この機種が価格崩壊してるのは売れてないからだと思う。
まずハイコーキもマキタも充電式トリマーが存在しており、パワーは違えど8mm以下のビットでほとんど問題は起こらない。
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さらにプランジ機能を付加するためのプランジベースがマキタから出ていて、これが両方に完璧に使える。
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なのでこの時点で8mmまで回せるプランジルーターが完成している。
だから12mmクラスのビットを回さない限り必要ないとも言える。しかし自分も12mmはほとんど使わない(手頃に使えるようになるとよく使うんだけど)。
なのになんで買ったかというと、18Vのマキタのトリマーで座面を掘るような高負荷加工を繰り返してモーターを死なせてしまったからだ。それも2回。
この反省を元に高負荷作業はやっぱルーターでやると心に決めて、馬鹿みたいに安かったM3612をフルセット3万円で買った。
結果的には満足している。トリマーより安いし。
パワーはダンチだし、2台運用で頻繁にビットを付け替える手間も減った。あと12mmのエンドミル使えるの結構便利。
もともと高額な工具だったので入門者は手頃なトリマーから入ることが多かったけど、ルーターから入ってもいいかもしれない。
トリマーより安いし。
同梱品とスペックまとめ
ハイコーキ製品はM3612DA(XP)とM3612DA(NN)みたいに末尾のアルファベットが付属品を意味しており、XPは一般にバッテリと充電器ケースのセット、NNは本体だけって感じだ。
でもNNは大事なものが足りないこともあるので表にした。
NNはちょっとアレだ。
旧世代から互換性のある6mmスリーブは置いといても、必須になるストレートガイド単品2,500円くらいするし、バラ売り転売ヤーを生み出す構成だとおもう。
ちなみにシステムケースは所有欲を刺激する形をしている。
重ねて合体させたりできるアレだけど一個しかもってないし、現場に持って行こうにも行く現場なんてないDIYerにはただの箱。
でもなんか持ってると幸せになれる。
マキタしか持ってない人でもXPからハイコーキに入門するのは結構お得だと思う。
既にハイコーキバッテリ持ってる人もXP買ってセットの充電器はメルカリとかで売ってもいいんじゃないか。単品15000円くらいするし。