こいつがいないともうやっていけない。
SK11のスピンドルサンダーは結構前に買ったんだけど、出番がさほど多くなくてレビュー記事を書ききれないままでいた。
でも形から見て分かる通り、内側の曲面を削る時にはマジで有効で、ここ最近の制作では最重要ツールみたいになってる。
ようやく感じられたこいつの価値をねっとり解説していきたい。
藤原産業は需要の隙間を埋めてくれる会社、最高。
Contents
作れるもの
まず純粋に内側に曲線がくるもの。
そして1番はこのように曲線がシームレスにつながるジョイント部分。
このようなシームレスのジョイントはトリマーの倣い加工で結構簡単に作れるというのは過去の記事で書いたことがあるけど、仕上がり面を整えるためのサンディングだけは手動でやるしかなかったというのが今まで。
例えばジョイント部にこのような段差が発生した時。
このくらい削らないといけない。
これを手動サンディングでなんとかするのは無理な話。
鉋など刃物系で攻めるにしても逆目が厄介だったり、Rがきつくて入る鉋が無いということもしばしば。
ここをサンディングという力技で収めることができるのが素晴らしいところ。
他にもなだらかな曲線が続く場所。
このようなラインも、トリマーの倣い加工で作るのが基本だと思うけど、指でなぞっても凹凸を感じないなだらかな曲線にするのは難しい。
ここでの削りに最も最適なのは「反り台かんな」だと思われるが、「かんな」と名のつくものはどれもDIYには少々難易度が高い。
そんな時もこのスピンドルサンダーの出番。最大のサンディングドラムに細か目のペーパーを取り付け、往復させることで仕上がりの満足度を高めることができる。テンプレート制作の際もガタが少なく、精度の高い仕上がりが期待できる。
こういうカチッとした造形だけでなく、手作業で削るスプーンのような有機的な造形にも、このスピンドルサンダーは非常に役立つ。
本来、このような研磨はベルトサンダーを横倒しにした「ユニバーサルサンダー」や「スポンジサンダー」を使うことが多い。しかし、この機械はDIYレベルではほとんど手に入らず、工場レベルのものしかない。
だからこそ、このSK11のスピンドルサンダーは救世主的な存在であり、20,000円以下で供給してくれる藤原産業殿には感謝しかない。
基本構造
見れば分かる道具ではあるけど紹介しておく。
まず定盤があり、そこからサンディングドラムが飛び出している。
これが回転するのは想像できるけど、それだけではなく上下にゆっくりとピストン運動を繰り返すダブルアクションとなっており、しばしば卑猥な目を向けられる工具でもある。
定盤とドラムはもちろん直角になっており、これを基準にRの内側を研磨するのが基本となってくる。
なので角度ジグを用いることで円錐状の加工なども可能。
構造はこのようになっている。
藤原産業さんの取説から無断で借りてきた。ごめんなさい、がんばって記事書くから見なかったフリしてください。
本体からのスピンドルシャフトが突き出しており、そこにペーパードラムをかぶせたゴムドラムを差し込む。
ワッシャーを被せる
そして左手でドラムをにぎり、ナットを締め付ける。
するとゴムが押しつぶされて膨張し、ペーパードラムがガッチリ固定されるという寸法。
この方法って少なからず直角性が狂うと思うんだけど、ペーパードラムが分厚いのもあって影響はほとんど感じられず、交換の簡易さにも直結しておりめっちゃ賢いなって思う。
ドラムサイズは13mm(シャフト直),19mm,26mm,38mm,51mm,76mmとたくさんある。それらを収納する場所もある。
長さは115mmで、有効研磨幅は95mm。
交換に関しては付属のレンチ1本、自分は高級なメガネレンチを使ってる。
では具体的に優れているところやダメなところをまとめていきたい。
良いところとダメなところ
良いところは
・定盤が鋳鉄。
・平面性、直角、用途に応じた精度がある。
・研磨力が高い
・ドラムサイズや番手がいっぱいある
・摩耗が分散される
・集塵性も高い
ダメなところは
・特に見当たらない
と言うわけで説明していく。
鋳鉄定盤とドラムの精度
鋳鉄定盤のいいところはタフで狂いにくく、狂っていても調整してしまえばなかなか狂わないってとこだと思う。
しかしながらこの定盤は個体差はあるだろうけど精度は悪くない。激安なのに。
簡易計測したところ、端から真ん中に向かって凹む形の歪みがあり、最大誤差は0.3mm以下ってとこだと思う。
直角に関しては端から中央で取れば盤面の狂いをひろって誤差が出るんだけど、全体で見ると結構正確なので、写真のように中心部に0.2mmの木口テープとかを貼るくらいで完璧に近くなると思う。
でも面倒ならばやらなくていいかも。
というのもこれで加工する曲線は意匠的な部分が多く、僅かな誤差が影響するシーンがそもそも少なく、盤面の端から端まで使い切る時は特に正確になるというのもある。
研磨力とペーパーの種類
研磨力はかなり高い、ダブルアクションなので当たり前っちゃ当たり前。
回転速度は1700回転/分で固定。
上下ピストンストロークは50回/分。ストローク幅は16mm。ドラムの高さは115mmでストロークがあるので最大研磨厚は95mmだ。
ペーパーの番手は付属品で60番とかなり粗い。
これは材料の厚みや硬さによっては研磨力が強すぎるというシーンが十分あるレベル。
これはペーパーの粗さ(番手)を変えて対応していくのがよい。
別売り純正品は、#60 #100 #150 #240と仕上げレベルまで揃ってて素敵。
自分は一番大きい76mmだけ150番と240番を用意してて、一番頻用してるのは150番かな。
240番は研磨力もマイルドなのでなだらかな曲線を仕上げるのに使いやすい。
本来ペーパーの番手は仕上げレベルに応じて上げていくものだけど、自分的には研磨力を調整するために変えるといった感じが使いやすい。
摩耗が分散される
16mmの上下ストロークがあることは研磨力を高めるだけでなく、ペーパーの研磨面分散による長持ちにもつながってる。
とは言っても、大体の人は研磨面が下に集中すると思う。
そういう時は上下ひっくり返せばいいわけで、まあ当然のことなんだけど、めっちゃ理にかなった形してるよね。
集塵力高い
サンダー系は粉塵が細かいし軽いから弱い力でもほとんど吸ってくれるってのもあると思う。
自分は京セラリョービのAVC1150使ってるけど、口径全く合わないままに差し込んでもしっかり吸ってくれてる。
アダプタはあるんだけど面倒臭くてそうしてるだけ。
本体に収納できる
サンディングドラム、隙間を埋めるディスク。全部本体に収納できる。
まあ写真を見てくれたらわかる。
悪いところ
特にない。
欲張れば速度調整が欲しいとかストロークのオンオフを切り替えたいとか改善点はいくらでも出てくるけど、それは全て販売価格に直結することであって、大事なのはこれが2万円以下で手に入るということ。
余計な機能が搭載されて3万円に慣れば購入にためらいが生まれるし、マジでちょうどいいところついてると思う。
まとめと相性のいい道具の紹介
曲線の研磨は指で触って凹凸が感じられないほどに滑らかに仕上げるってのが理想だけど、うまくやるにはそれなりに試行錯誤する必要がある。
とりあえず研磨時には右から左に流すように動かして一点削れすぎないように注意するのが基本かな。
と言う感じでこのスピンドルサンダーは直感的に使えて木工の選択肢を広げてくれる造形ツールの一つだ。
平面を整えるディスクサンダーやベルトサンダーとも相性が良い。
その前段階としてバンドソーやトリマーとのコンビネーションも美しい。
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