後日発売されたハイコーキのM3608DAとの比較も加えたので購入を検討している人は資料の一つとして役立てて欲しい。
2021年8月現在は2万円以下で購入可能。そのコストは、抜群のパフォーマンスによって回収し切ったと言って良い。
DIYで家具をそこそこ本気で作る人とってはトリマーは造形の主役だと思う。
RT50DZ(DRG)を使い込んでいる、個人の生の声を聞いて欲しい。
Contents
RT50DZの特徴
もともとトリマーにおいてはDIY・プロモデル共にマキタのトリマは設計が古く、ラインナップも少なく(ハイコーキも)、どうみても形状や性能に優れ、速度可変機構を備えたリョービが頭一つ抜けているように見えた。
そこに圧倒的な優位性を持って登場し、大きく水をあけたのがこのRT50DZ。
ちなみにこの記事を最初に書いた時にはRT50DZは唯一の充電式トリマーであり、他に比較対象となるライバルは存在しなかったが、今はほぼ同スペックでパワーにおいて上回るハイコーキのM3608DAが出現している。
購入検討要素になりそうなRT50DZの特徴は以下の通り。
- 充電式で自在な運用(14.4V/18V)
- 回転速度変更可能10000-30000/min(無段変速)
- スパナ1本でビット交換
- 手元LEDライト搭載
- 集塵ダストノズル同梱
- トリマガイド同梱(ベアリングがついてるやつ)
- その他標準的な付属品は同梱(テンプレートガイド、ストレートガイドなど)
- 逆さ置き可能
- 拡張パーツがめっちゃ豊富。
上の2点が圧倒的な部分で、個人的にどちらも外せない。
手持ちの電動工具ではコードレスであることがインパクトに次いで重要だと感じていて、今さらACのコードタイプを使うのはちょっと考えられない。
速度は焦付きの防止に必須だ、手掛けの溝を掘る時に30000回転で終点を焦がさずに掘るのは絶対に無理だ。
トリマーテーブルに30000minのAC機を付けてたけど、それじゃ手に負えない加工があって結局こっちも付けることになってしまった。
初心者にも静音性や恐怖感の緩和という意味でも価値がある。
RT50DZとハイコーキM3608DAとの比較
使ったことはないけれどもハイコーキのM3608DAの方がパワーだけでなくて細かいところで優れていると思われる。
以下では注目すべき部分と細かい違いについて記述している。触れてない特徴はだいたい全て搭載している。
- 同じ充電式だがパワーで上回る(36V)
- 回転数の調整幅は同じ(10000-30000min)
- ブレーキ能力に優れ、0.5秒程度で停止(マキタ1〜3秒)
- スイッチの位置に工夫(トリガーっぽい位置にある)
- ベースの昇降部の固定がレバー方式、マキタはツマミネジ
(レバーの方が早いと思うが、個人的にはネジを緩めて上から落とし込んだりすることがあるので甲乙つけがたい) - マキタの拡張パーツにことごとく適合
- まさかのストレートガイドが別売り
やっぱり一番違うのはパワーじゃなかろうか。
回転数の調整幅が同じである限り個人的に問題はないし、今のところ18Vで不便は感じていないが、今手元にマルチボルトバッテリがあって充電式トリマを持ってないのであれば間違いなくM3608DAを買っただろうね。
両者の選択はバッテリの有無で決めていいかも。やっぱマルチボルトバッテリも持っておきたいなあと思う。
RT50DZが充電式トリマであることの利点
この利点はさほどトリマを使わないという人には必要ないと思う。
ただし回転数を10,000minまで落とせるのはこいつとハイコーキのM3608DAだけなので、溝の隅を焦がさずに切るには結局バッテリ式になってしまうんだけど。
家具なんか作るDIYで丸ノコを使わないことはあっても、トリマーを使わないことはないんじゃないだろうか、1mmよりデカい面取りは全てトリマーでやる方が早くて正確だ。
すぐに手に取って使えるという利点がどれだけ素晴らしいかは、伝えるのが難しいんだけど、コードが出てるだけであらゆるところに引っかかるので、その行方に気を使うだけで結構なストレスがかかると思う。
良いシーンを思いついた。面取りしようと思った時に鉋を手に取るのと同じ感覚で手に取れるトリマ。それが充電式トリマ。
思うに人々はコードレスの利点を過小評価している。さも「なんでもコードレスにすればいいと思ってるのか」とでも言いたげだ。
なんでもコードレスにすればほうがいいに決まってるやん。
ハイコーキはルーターまでコードレスにしたぞ。
RT50DZの回転速度の使い分け
回転速度の調整ができるトリマはリョービのTRE-60Vが日本初で調整幅は16,000-30,000だったが、RT50DZは10,000-30,000と上回った。
バッテリ抜きの価格ならマキタハイコーキのほうが安いので、リョービの優位性は無くなってしまったように思う。
速度変更のメリットは焦げの防止と、静音性。
RT50DZの変速ダイヤルは1〜5の数字で表記されている。
- 1 - 10,000min
- 2 - 15,000min
- 3 - 20,000min
- 4 - 25,000min
- 5 - 30,000min
ちなみにM3608DAは1〜6なので4,000刻み。
この回転速度をどのように使い分けるかというと、バンドソーなんかと同じで硬いものを切る時や接する面が大きい時など、つまり高負荷=摩擦熱が発生しやすい時ほど落としたら良い。
とはいえ回転速度が速いほど加工面はキレイに仕上がるのでなるべく普段の速度は速い方がよい。
楢やタモみたいな硬い木にそこそこ大きいボーズ面を取る場合でも最速で適切な速度で動かせば焦げることはあまりない。
ただし内側にカーブする面(ドーナツ形状の内側など)なんかは思いがけず焦げが発生したりするので、薄削りを心がけつつ3くらいに落とした方がいいかも。
溝を加工する時なんかも、端まで突き抜ける時は早くて問題ないが、途中で止める時なんかはどう足掻いても焦げるので1に落とす。
ちなみに14.4V仕様だと最高速度は28,000min。
あと最速だと結構怖いと思う。慣れてない人は特に。
木をバターみたいに削り取る超硬ビットがむき出しで高速回転してるトリマーってどう考えても危険だし。
そんな人は速度1で優しく加工すればいい。
めちゃくちゃ静か、驚くほど静か、ハイエンド工具は初心者にも優しい。初心者こそ使うべきなのかもしれない。
DIY用のトリマはデフォルトを20,000minくらいにしてもいいんじゃないか。
RT50DZはスパナ一本でビット交換できる
この機構もリョービが先んじててTRE60VとDIYモデルのMTR-42にも搭載していたんだけど、マキタハイコーキにもようやく搭載された。
このMTR-42はDIYモデルとしては今でも頭ひとつ抜けてコスパが良い。正直マキタのDIYモデルはうんちだ。
ベタ褒めしかできない紹介記事はこちら。
従来通り2本のスパナで脱着することもできるけど1本でできるのは便利。
この赤いポッチを押せば軸の回転が止まり、スパナで回せるというもの。
グラインダーなんかとおんなじだ。
RT50DZはダストノズル同梱 上部集塵
集塵を下から行うタイプも多いけど、面取りの時しか使えなくて困る。
上から行うタイプなので溝加工の時も集塵しながら加工できる。
取り付けも下の写真ように手回しのネジ一本で締め込める。
問題はこのネジが長すぎること。切って良しだと思う。
RT50DZのトリマガイドについて
トリマガイドというのはストレートガイドと同様の位置に取り付ける、ベアリングのついたガイド。
別売り部品としいる場合が多く、同梱されてるのは珍しい。
ストレートガイドと違ってビットの下側でガイドを行うので、写真のような幅の広いビットを使う時も干渉せずに使うことができる。
また、ベアリングなので曲面に追従したガイドも可能。
横方向の切り込み深さを調整するガイドだが、深さを完全に一定にするにはトリマの角度を水平に保つ必要があるので結構難しく、これ以上切り込まないように制限するための補助パーツとして使うと良い。
代替手段もあるので滅多に使わないが、あれば余計な型を作ったりせずに済むこともある。
RT50D・40D 品番別の標準付属品まとめ
付属品についてまとめる。品番によってバッテリ、ケース付属の有無がある。
RT50DZ(*RT40DZ) | RT50DRG(*RT40DRG) | |
---|---|---|
バッテリ18V(*14.4V) 容量6.0Ah 1つ | × | ○ |
充電器 | × | ○ |
本体ケース | × | ○ |
ストレートガイド トリマガイド テンプレートガイド | ○ | ○ |
ダストノズル | ○ | ○ |
ストレートビット(1枚刃) | ○ | ○ |
コレットコーン6mm,8mm | ○ | ○ |
スパナ2本 | ○ | ○ |
括弧内*は14.4V製品。パワーはあるに越したことはないけど、隣の工房の人が使ってるけどさほど問題は無いっぽい。知らんけど。
バッテリを持ってない人にとっては高い買い物なので、そういう人には互換バッテリーをお勧めする。
数ヶ月フル活用してるけどマジで一切問題が無い。
とはいえ各社ごとに当たり外れはありそうなので、しっかり使ったものを下の記事にまとめてあるので参考に。
【随時更新9ヶ月】マキタ18Vの互換バッテリー買ったけど結構おすすめ【幸福度の上昇】
【追記】互換バッテリの使用は推奨しない。実際のところ使用に問題はなく、僕は2022年2月現在も使ってはいるが、安全性の問題等を学ぶことでお勧 ...
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マキタには申し訳ないけど、コスパが違いすぎて純正はもう買えないと思う。
あとさらに、付属のストレートビットもオマケ程度の性能なので、最初に6mmエンドミルを買うことを激しくお勧めする。
エンドミルとは本来は金属切削用の刃物だけど、木工においても切削力、加工面のキレイさ、全てにおいてストレートビットの上位互換。
材質は超硬じゃないとダメ。僕はセット買いして切れなくなったら捨てるを基本としている。
【重要】RT50DZの6.35コレットコーンはこれ
コレットコーンとはビットを取り付ける口の部品で一般に6mm用と6.35用がある。
6.35は海外の様々なビットを使うのに必ず必要になるので必ず持っておくべきなんだけど、品番がめちゃくちゃわかりにくいしAmazonで売ってない。
正しい品番のものはこれだ。
18V・14.4Vどっちも共通で、本体購入時に同時購入するべきものだ。
RT50DZは豊富な別売りアタッチメントがある
マキタRT50DZがハイコーキM3608DAに確実に優っている部分といえばここ。
下で紹介するものはどれもハイコーキに適応するものは無い。
後日、ハイコーキM3608DAは下の全てのアタッチメントが装着できることが判明した。(その後実際にもやってみた)
つまりマキタRT50DZが優っているところは
「」
以上だ。
まずプランジベース。
これはトリマをルーターのように使うパーツで、一番のポイントは深さを指定して上から下に掘り込めるところ。
面の途中からに溝を掘るときなんかは通常のトリマーだと最初の彫り込みがどうしても難しい。
プランジ機構のためだけにルーターが欲しいならば、抜群に取り回しのいいこいつをお勧めする。
パワーと12mmの軸径が欲しい状況以外ではルーターはいらない。
M3608DAも専用かと思うほどハマる。
使用感や機構の詳細については下の記事にまとめてある。
マキタトリマのプランジベースはハイコーキにも使えて便利【ルーター化】
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次に傾斜ベース。
写真と名前から動きが推察されると思うけど、ベースを傾斜させていろんな角度で切れる。
計画によっては必要になると思うけど僕には今のところ必要ない。
RT50DZの重量についての見解
一般的なAC機のトリマの重量は1.3kg程度だが、6.0AhのバッテリをつけたRT50DZは1.9kgと重い(M3608DAも同様)。
このはバッテリ自体の重さの問題で、例えば1.5Ahバッテリをつければ1.57kgになる。
しかし重いからコードが生えてても軽い方がいいとは絶対にならない。
個人的には頭上にバッテリを搭載してる分、加工時の安定感に繋がっているようにも感じる。
RT50DZトリマのさまざまな活用方法と基本
充電式トリマを手に入れたからにはたくさん活用して欲しいと願う。
トリマーについての愛が深いのかもしれない、トリマーの記事が結構あるので見て欲しい。
個人的には倣い加工が木工の幅を大きく広げてくれると思うので、基本から応用まで是非マスターして欲しい。
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