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リョービMTR-42がDIY最高のトリマな理由【VS.マキタM373】

2021年11月10日

圧倒的に違う、圧倒的に違うのになぜかマキタを選ぶ人が多いように思える。優れた工具がブランドネームに押されてしまうのは悲しい。

リョービのMTR-42は入門機としてマキタハイコーキを差し置いて圧倒的に優れたユーザビリティと機能性をもつ。

その理由について解説したい。

入門用(DIY)とハイエンド(PRO)モデルの違い

具体的に指し示されているわけではないけど、大まかな棲み分けついて説明すると。

ハイエンドは回転数の制御ができて、DIYモデルはできない。

ハイエンドは20,000円強するのに対して、DIYモデルは10,000円前後。

ハイエンドはバッテリ式の場合が多く、DIYモデルはコード付きのAC機。


ざっくりこんな解釈で間違ってないと思う。

あと個人的な見解だけどコスパを含めた選択順位を考えるならば

ハイエンドは
【ハイコーキ>マキタ>>リョービ】

DIYモデルは
【リョービ≧ボッシュ>>>マキタ】

こんな感じだ。

リョービMTR-42の特徴

それは世界的に名高いDeWALTの名作の完全コピーである点だ。

写真を見て貰えば一目瞭然、驚くほどの弟っぷりだ。細かい凹凸まで一緒、これってたぶんOEM的なライセンス的なあれだよね?

旧態依然としたDIYトリマーと全く違う形をしてるのがわかると思う。

この新しい設計思想の造形が生まれたのは実は10年以上前、しかし特許の問題かその他の国内製品はハイエンドであっても、ここに組み込まれた機構をいまだに(部分的にしか)踏襲できていない。

MTR-42はこの形状により非常に優れたユーザビリティーを備えている。

  • 本体に刻まれたスクリュー溝による微調整可能な昇降機構
  • スパナ一本でビット交換可能なコレットロック機構
  • 逆さ置き可能で調整の作業性向上、保管も楽
  • 逆さ置き状態での誤作動防止(電源が入らない)
  • 6.35mmコレット同梱品がある

特徴の各詳細は別項目で説明していくけど、

驚くべきはここにあげた特徴を持つDIYモデルは国内に一つも無いということ(たぶん)。

なぜ?どうして?10年以上経つのに進化しないの?

インパクトや丸ノコなんかと違ってプロユーザーの絶対数が少ないトリマーのラインナップは中々更新されない。

とはいいつつも後追いで出てる最近の機種も旧態依然とした形をしてるんだから不思議。

ちなみにこのMTR-42の同一形状のハイエンド製品であるTRE-60Vという製品が存在する。

ベースカバーがアルミだったりして機械的強度や精度が改善され、速度可変機構もついているんだけど、マキタとハイコーキが後追いでより速度可変幅が高く、バッテリー式のモデルを出したのでコスパ的にはそちらの方が優れると思う。

因みにこのアルミベースは単品でも販売していてMTR-42にも使用できるので、使用頻度が高く無い人はハイエンドを買わずにこれを装着して、MTR-42を長く使うのもありかもしれない。

購入時は必ず必要になるコレットチャック同梱品をAMAZONにて選ぶことをお勧めする。わかりにくいんだけどこれは6.35mmチャックが付くという意味。

なぜか楽天だとすごく高くなるんだよね。

コレットチャックってなんだよーって人はこちらの記事を参考に。

リョービMTR-42のスペックと付属品(マキタM373との比較)

とりあえずスペックを見比べてみよう。

MTR-42
6.35コレット付
M373
AMAZON価格9,981円10,131円
回転数32,000min35,000min
電源単相100V単相100V
電流4.3A5.3A
消費電力400W500W
重さ1.1kg1.4kg
ストレートガイド
トリマガイド別売り
テンプレートガイド
(ダブテールガイド)
別売り
集塵アタッチメント別売り適合なし
6.35コレット別売り
ストレートビット(1枚刃)
スパナ

パワーはM373が少し勝るが回転数においては35,000は少し早すぎると思う、焦げやすくなるので30,000くらいで良いんじゃないか。

重量ではMTR-42が結構軽いがその辺もどうでも良いと言える。

付属品のトリマガイドは下のような物。まず使うことはないと思う。

続いてテンプレートガイドもあまり出番はないと思うけど僕はたまに使う。

左がリョービで右がマキタ、マキタは付属してるのは良いんだけどベースプレートに挟み込むタイプでネジを4本脱着する必要があるので、8回も緩めたり締めたりしないといけなくてすげえ手間。

これはハイエンドも同じなんだけどなんとかならないか。

変わってリョービの方は別売りだけど素手でリングを締め込むだけなので作業性がダンチ。

続いて集塵アタッチメントだけどなんとマキタM373は取り付け自体が不可。これは集塵が必要な人にとっては致命的じゃないかな。

数値スペック的な部分についてはこんな感じで大差はない。

ただマキタさんは集塵なんとかしろよ。

リョービMTR-42のビット交換方式

スパナ一本で交換できるこの機構はスピンドルロック方式と言ったりもして、10年前にリョービのハイエンドに搭載されたが、マキタ製品に搭載されたのはおそらく4年ほど前。

それほどとトリマのラインナップが更新されるのは遅い。というか昔からリョービはトリマのラインナップが多いし、得意なんだと思う。

下の写真の青色のボタンを押し込むことで軸の空転が止まってスパナ一本で締め付けが可能。

じゃあ古いやつはどうするかというとスパナを2本用意しなければならない。

こんなふうにスパナを2本持ってカチャカチャやるんだけど、マジで機械いじりって感じだ。

昔ながらの回転工具では極めて一般的な方式だけど、現代のビギナー向け工具ならばもっと改良されていていいはずだ。

驚くべきことに、MTR-42以外の国産DIYトリマは格安製品含めていまだにこの方式だ。

国内ではないがこの辺りの機能も備えたものとして、ボッシュのPMR500という機種がある。使ったことはないが、パーツの大半がアルミパーツに置き換えられていて耐久性ではMTR-42より優れると思われる。3000円ほど高いが一歩進んだ入門用として良いかもしれない。


もう一点MTR-42のユーザビリティの高さを伝えるのが下の画像。

なんとベースをつけたまま、外側からコレットナットを回すことができる。

要するにコレットナットが外側に出っ張っている。

他機種でもベースをつけたままでも内側からスパナを突っ込んで回すことはできたけど、マキタとハイコーキのハイエンドはこれがかなりやりにくい。

これは特にトリマーテーブル化したときに非常に役に立つ、作ったことがある人ならわかってくれると思うけど、トリマーテーブルは下から本体を引っこ抜かないとビット交換ができない、しかしこいつなら引っこ抜かなくても上からビットの交換ができるというわけ。

この些細な設計の違いが使いやすさを大きく底上げしてくれる。

リョービMTR-42の昇降機構

最大の特徴の一つが昇降機構で、その仕組みの秘密はボディに刻まれたスパイラルの溝にある。

ロゴマークが付いた部分を回すと黒いカバー全体が上下する。

下のGIFアニメを見て欲しい。

この機構は左右の大きな動きを、上下の小さな動きに変換するため、非常に微調整がしやすい。

ダイヤルの目盛りの通り、10mmほど回せば0.5mm上下する。指定位置で真ん中のレバーみたいなものをパチンと押し込めばそこで固定される。

他のトリマーを使ったことがある人はかなり珍しい機構だとわかってくれると思う。ダイヤル調整方式とでも言ったものか。

他のトリマーを知らないという人は下の写真を見て欲しい。

左からリョービ(古プロ)、マキタ(最新プロ)、リョービ(古DIY)

左の二つは蝶ネジを緩めて左のノブでざっくり調整できるタイプ。右のものは調整機構が一切なくシャカシャカ動かして調整する最古の形式だ。

残念ながらマキタのM373も、このあまりにも古臭い方式のままだ。

この辺の機構は髙儀の格安トリマーと全く同じで、E-Valueのパッチン機構の方が普通に格上だ。

まあ昔はそれしかなかったし、どれもネジを少し締めて「コンコン」と叩いてやれば微調整はできる。

正直このトリマを褒めるとするならば「マキタだから」以外の言葉が見つからない。

逆さ置きで深さ調整がしやすい

昇降機構の続きになるけど、逆さ置きできるという点がビットの調整のしやすさにつながる。

基本フォームはこう。

逆さまにして止め型スコヤを上に載せ、ダイヤルを回して調整、指定寸法のところでパチン。以上だ。

逆さ置きできないものは腕に抱えてスコヤを当てて調整するよね、とても便利。

しょうもないとか言わないで。

この調整フォームには意味があって、スクリュー溝のダイヤルは機械的な遊びが少なからずあり、それはガタつきとなって現れる。

でもこうやって調整することで、遊びを自然となくすことができ、ガタつきが一切起きなくなる。0.1mmレベルの調整をかなりの精度で行うことができる。

もっと言うとパッチンレバーを軽く抑えることでブレーキような使い方もできるので更なる微調整も可能。

コンコン叩いて調整する必要は一切ない。

不用意な電源ONによる事故防止

ビットをいじるときなんかは電源を抜くと言うのは基本中の基本。

だけど操作するのは人間なので、いつだって事故は起こりうる。

上に書いたような深さ調整をするときは、切る直前だったり加工の最中だったりするので、コンセントを抜き忘れる可能性は十分にありうる。

MTR-42はその辺の人間工学的な配慮も十分なされている。

ONにしにくくOFFにしやすい。かつ、どちらになっているか一目瞭然。これは危険な工具などのスイッチの大前提。

そしてMTR-42は特に逆さ置きしている時はスイッチがONにならないようになっている。これは逆さ置きでの調整を想定してるからだろう。

で、古いやつはこうなってる。

というか現行のDIYモデルも国産だとほとんどこの形状だ。

ONなのかOFFなのかわからないし、なにかの拍子に簡単にONになってしまいそう。むしろONのまま電源差してしまいそう。

リョービMTR-42の集塵について

集塵のアダプタはこんな感じ。

取り付けは手回しのネジが2本、脱落防止装置付なので外れて無くしたりしないようになっている。

持つ右手には干渉せず、ホースが上抜きで肩に背負いやすく、加工時にも左側重心になるので安定感は失われにくいと思うけど特別優れているとは感じない。

リョービの集塵機を使っている場合このアダプタが必要になる。

もし集塵機について購入を検討している人がいたら下も見て欲しい。

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トリマー購入を検討する人に伝えたいこと

今回は入門用の話をしたけれどもハイエンドならマキタかハイコーキのバッテリタイプになってくると思う。

トリマは動作音が大きく、初心者にとっては恐怖感を煽る工具でもあると考えている。

両者のトリマは回転数を1/3まで落とすことができ、ブレーキなどの安全面でもレベルが高いため、結局のところ初心者に最も優しいトリマでもある。

もしもマキタ(18V or 14.4V)かハイコーキ(36V)のバッテリを持ってる人だったらそちらもお勧めしたい。

その他役立ちそうな記事を貼っておくのでよかったら参考にして欲しい。

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その他、細かい動作についてはは動画解説で

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