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【後編】トリマーとはなにか?【ビットの種類・正確な加工のコツ】DIY木工用電動工具

2021年6月22日

前編ではトリマーの基本について説明したけど、使ったことある人からすると、当たり前すぎて草ボーボーすぎたと思う。

後編では、ビットの種類や、綺麗に加工するためのコツ、例えば焦がさないとか、終点で割れないようにするとか、そんな細々した豆知識的なものを書いていきたい。

豆知識は常に探してるので、なにかあれば教えて欲しい。すでに知っていたとしても、知らなかったフリして聞くのは得意だ。

前編はこちら↓

トリマーってなんやねん
【前編】トリマーとはなにか?【しくみ・使い方・安全策】DIY木工用電動工具

そもそもトリマーってなんだ?DIYに必要なのか?何ができる?そんな疑問に応えていきたい(テンプレ)。トリマーというのは補助工具とも言えるし、 ...

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ビットの種類

それでは宝石のようなマサヒロたちを紹介していく。

ストレートビット

図のように溝を掘ったりできるのがストレートビット。最も標準的な形状をしている。

写真左の二つは標準的なものだが、右のスパイラル形状のビットは、エンドミルやスパイラルビットと呼んだりするもので、一般のストレートビットよりも抜群に切れ味がいい。しかも安い。

なので僕は普通のストレートビットはあまり使わない。ちなみに材質が「超硬」のものを選ぶと幸せになれる。

V溝・U溝ビット

ストレートビットの底がVやUの字になっているもの。

扉の手掛けなどを掘ったりと、ピンポイントで使うシーンが多い。

焦げてるとか言うなよ。

横ミゾビット

文字通り溝を横から掘り込むもの。

これは丸く掘れるちょっと変わった形をしているが、普通はカドが出ている。このビットはかなりレア。

二つの材料にミゾを掘って、薄い板を差し込んでつなぎ合わせる「雇いザネ接ぎ」なんかができる。

他にも4mm厚のものを使えばビスケットジョイントなんかもできる。

ビズケットジョイントについては別記事参照。

図解ビスケットジョイントのやり方 & マキタPJ180DZジョイントカッター 工具レビュー

ビスケットジョイントの出番が板接ぎだけと思ったら大きな間違いだ、もちろん板接ぎには絶大な力を発揮するが、ビスや釘を使わないDIYに挑戦したい ...

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ベアリング付き・各種面取りビット

トリマーを扱う以上、しょっちゅうベアリング付きビットのお世話になる。トリマービットはベアリングと組み合わさることで無限の汎用性を発揮する。

その仕組みは後で説明するけど、まずは加工面の説明から。

左 : ボーズ面ビット
右 : 角面ビット(角度は色々)

これらのビット形状はさまざまな形がありすぎて全部に名前がついているわけではない。

装飾を施す目的のものが多いが、クオリティの高い造形を目指すには欠かせないものだと思う。

ベアリングの仕組み

基本的にトリマーで加工する時は、丸ノコ同様になんらかのガイドを用意しないと思った通り切ることはできない。

しかしベアリングビットを使うとそれが不要になる。

ベアリングがなければこの通り、ビットは自由に材料に食い込んで行ってしまう。直線の定規などを用意しないと真っ直ぐに加工することは困難。

なんということでしょう。

ビットの下にベアリングがつくだけで、加工が制限され、材料に沿って均一な面取りができるのです。

面取りのサイズは下のように、簡単に調整することができる

この通り。

というわけで一つ例を挙げてみたいが、下の写真のように曲線に沿って曲面の面取りをすると「なんかすごい加工」に見える。

しかし、トリマーを手にとってしまえば、ものの数分でできてしまう、とても簡単な加工だということがバレてしまったと思う。

「すごいね」って言われたら「まあボチボチ難しいけどな(ドヤァ)」みたいに値打ちをこいておこう。

ちなみにベアリングはどのビットも外せる。

ベアリング付き・倣い加工用ストレートビット

このタイプのビットはストレートビットにベアリングがついただけ。

それだけでいろんなことができるんだけど、ここでは下のような超便利な使い方を説明する。

これは板の上に貼った化粧板なんかのはみ出た分を切り落とすときにすごく使える技術だ。

これの応用として、型を利用した「倣い加工」というリアルコピー&ペースト技術があるが、それについては詳しく説明した記事があるのでそちらを参考にして欲しい。

このタイプのビットがなぜ3種類あるのかも解説している。

【2021.12更新】倣い(ならい)加工というコピペ技術【トリマーで何ができる?その2】

ここではトリマーの超重要技術である「倣い加工(ならいかこう)」について説明してみようと思う。 その1では、基本技能に近い例を紹介した。ちょっ ...

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この技術は椅子などの曲線パーツを作るときに必須になる。トリマーの最重要技術かもしれない。

その他特殊なビット

キーホールビット

これはキーホールビットという特殊なビットで、文字通り鍵穴のような穴が掘れる。

写真のものは、真上から落とし込んで少し前に進める。という方法で加工しているが。

トリマーにはこのような機能はないので、ちょっとした工夫をして無理矢理上から落としている。でも褒められたやり方ではないので言わない。

褒められるやり方は「プランジベース」というトリマーに上下の動きを与えるアタッチメントを使ってやる方法。

あれば便利なんだろうけどもってない。別でルーターあるし。(キーホールにはデカすぎて使いにくい)

ちなみにこのキーホールは、時計の裏などに掘って、ビスに引っ掛けたりできるようにするもの。

アリ溝ビット

これは見ての通りアリ桟とか包みアリとか小難しい組み手で使うビット。

写真のものはジグを作ってやったんだけど、ジグの調整自体シビアだし、手でやったほうがまだ楽しめるんじゃないかと思えるレベル。

反り止めを吸い付きアリ桟で入れた天板なんかはまだやりやすいので挑戦する価値あり。

トリマーのビットの口径 - コレットチャック

国産のトリマーのビットの取り付け軸の太さは基本的に6mmで、稀に8mmのものもある。

なので本体の差し込み口である「コレットチャック」もそれに対応したサイズになっている。

しかし海外のビットは6.35mmというサイズのものが多く、それを取り付けるためにも専用の6.35mmコレットを買ったほうが良い。

なぜかというと海外のビットは国産のビットよりも価格が安く、変わった形のものも多いためこれを使わない手はない。

昔3,000円ほどする国産ビットを使ってたけどある程度使うとやっぱり切れなくなるし、金物屋さんで研いでもらうこともできるんだけど、その金額で海外の新品のものが買えてしまう。

しかも刃物は研ぐと小さくなるのが基本だ。

トリマービットはチップソーなどと違ってサイズで使い分けるし、溝切りなどでは精度が大事なシーンも多いので、サイズが変わるのは困る。

というわけで海外のビットをしょっちゅう使うけど、特に切れ味が悪いとか感じたことはない。

マキタのRT50DZ(40DZも)のコレットコーンは適応品番がすごくわかりにくいので貼っておく。これだよ。ちなみになぜかAmazonでは売ってない。

リョービのやつは本体とセットで売ってるのでぜひ買っておこう。ハイコーキは知らない。

トリマーで綺麗に加工するためのコツ

みんないろんなコツを持ってると思うんだけど、思いつくものをいくつか書いてみる。

終点の割れを防ぐ方法

終点の割れとは下の図のようなこと。

これはどうしてもおきてしまう、しかし逆方向からほんの少しだけ刃を入れてやることで防ぐことができる。

このように入れるわけだけど、もちろん気を抜くと自分の方にトリマーが走ってきてしまう。

それを十分理解した上で、しっかり本体を保持しながら切り込もう。

これを行うだけで、何事もなく綺麗に終点を切り終えることができる。

ちなみに木目の向きが違えばこの現象はあまり起きない。

段差を解消する削り方

削るときに一発で削ると負荷がかかりすぎて危険だし失敗しやすいので、複数回に分けて加工するのは当たり前だけど、それだと微妙な段差などができたりする。

それを避けるためには、1回目と2回目を荒加工、最後の3回目を仕上げ加工として、削り取る面を薄く、全面に当たるように加工すれば綺麗な加工面が得られやすい。

やはりビットの大きさ以上の加工を行うときには、少なからず段差はできてしまうので、カンナやペーパーなどで平面を調整することを前提に計画する必要がある。

でかいビットはあったほうがなにかと便利。

加工面の焦げをなくす

これは面取りや手掛けの堀りこみなど、目立つ部分で問題になりやすい。ペーパーで削ったぐらいでは消えないことが多い。

外周の面取りであれば摩擦面も少なくて焦げにくいが、入り隅(入り組んだ角)などは摩擦面が多くて焦げやすい。

熱が発生すると要因はこのような感じ。

  • 接する面積が多い
  • 削り取る体積が多い
  • 刃の切れ味が悪い


というわけで僕が気をつけてる対策としては下のような感じ。

  • まずは焦げそうな加工箇所を見つけて注意しておく
  • 刃の回転数を落とす(トリマーの機能による)
  • トリマーを素早く動かす
  • 刃を短時間で材料から離して熱を逃す
  • 例えば10mmのU溝を掘るとしたら、先に8mmのビットで荒加工するなどして、仕上げで削る体積を減らしておく
  • 仕上げビットとして、切れ味の良い新品に近いビットを用意しておく

うまくいかない時はなかなかうまくいかない。

いつでも素早く動かせるわけじゃないし、回転数を落とすのは選択肢として非常に有効。

10000min-1まで回転数を落とせるマキタのRT50DZとハイコーキのM3608DAをお勧めしておく。

マキタは僕の愛機。ハイコーキは使ったことないけど上位互換と見て間違いないと思う。

と言うわけでこの辺にしておく。

使い方のコツって他にも色々あるんだけど、なんだか説明難しいし、間違ってるかもしれないので今日はここまで。

トリマーの応用について興味がある人は以降の記事を見て欲しい。

応用技術【トリマーで何ができる?その1】

「トリマを買ったけど、全然使わないんだけど。」「溝が切れる、面取りができる、それで?」 いやーめっちゃわかる、わかるよ、トリマをただの文鎮だ ...

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