金具類 作り方 考え方

額縁をDIYしよう【つくりかたA-Z】

2021年5月14日

額縁初めて作ったけど結構難しい。ナナメにくっつける留め継ぎが難しい。

しかしながら、DIY的にはそこまでの精度を求める必要もないだろうし、道具の限られた初心者DIYer向けにも書いていくので参考にして欲しい。

僕は結構いろんな工具を駆使してやったので、その辺を軸にして説明していく。

作業の流れ(動画)

実際どうやってるかってのは、こちらも見てもらえれば分かりやすいかも。

使った工具

こんな道具持ってねえよっていう人も多いかもしれないけど、代用したりすることもできるので順番に説明したい。

①スライド丸ノコ

額縁づくりにおいては「カットの主役」

斜め45度のカットが非常に簡単にできるし、他のDIYでも縦横無尽の活躍をしてくれる。

僕が使っているスライド丸ノコはエントリーモデルとしては最適なリョービのこいつ。レーザーも装備していて、各種調整能力や精度もマキタやハイコーキに劣らない。

ただし、切断幅が220mmに限定されるが僕の用途では困らない、むしろ作業場が狭く、使うときに出したりしまったりする使い方にはコンパクトさも重要なのだ。

広い作業場があって常設して使う人には5,000円ほど高くなるがハイコーキのこいつを買ってもいいかも。レーザーは無くなるが、切断幅は305。

これはプロがフローリング材をカットするための1尺という寸法に合わせてある。

スライド丸ノコがなければ?

丸ノコがあれば丸ノコ、もし手ノコでやるというならばソーガイドというやつを使うのがいいだろう。

丸ノコをこの機会に買おうという人は、ハイコーキのFC6MA3が頭ひとつ抜けてコスパがいいので選択の余地はない。

精度の高いアルミベース、集塵接続も可能、深さ調整もワンタッチでいて1万円以下と他に並び立つものがいない。

もし電動工具無しで額縁づくりに挑むなら、こいつは立派な選択肢になる。精度については語ることもできない代物だけど、下手くそが丸ノコで切るよりは上手くいくかも。

僕もマンションDIYerをやってた時はお世話になった。

ツーバイフォーの89mmまでの材料を複数角度にカットできる。

ちなみに手ノコでうまく切るためのコツは・・・

邪道な方法を下の記事でまとめてある。

【簡単すぎる】ノコギリで完璧に真っ直ぐ切る方法【裏技】

なぜ手鋸を使うのか?単に丸ノコだと入らないところを切るとか、技術を習得したいとか色々あると思うけど、最大の価値は音が出ないことだと思う。電動 ...

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②トリマー

額縁づくりにおいては「装飾の主役」

額縁の役割って、絵や写真をより魅力的に飾るものだよな。

となるとその装飾は一番重要であると言っても過言ではない。トリマーは額縁の角をいろんな形に削って装飾を施すことができる。

残念ながら、ピシッとした装飾面を作るには、トリマーにとって変わる道具はない。買うしかない。

しかしDIY作品づくりにおいて、多少のズレや荒さも十分「いい感じ」を出してくれるだろう。そんなときには下のような棒巻きサンドペーパーを作っておくと便利。

ただし、裏面の絵などをハメ込むための溝などは、やっぱりトリマーがないと厳しい。

見ての通り杉の角材にサンドペーパーを巻きつけただけ。木工用ボンドを塗りつけて巻いてみよう、角を面取りするときとか非常に便利。

トリマーほどビシッとした面取りはできないが、十分雰囲気のある加工ができると思う。

トリマーについては個人的にあらゆる造形の主役だと思っていて、いろんな使い方を書いたや、おすすめトリマーを書いた記事があるので参考にして欲しい。

応用技術【トリマーで何ができる?その1】

「トリマを買ったけど、全然使わないんだけど。」「溝が切れる、面取りができる、それで?」 いやーめっちゃわかる、わかるよ、トリマをただの文鎮だ ...

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トリマーは装飾だけではない。初心者向けのトリマー使いのヒントを書いた記事。

【2021/8フル更新】マキタ18V充電式トリマRT50DZレビュー&ハイコーキM3608DAとの比較【おすすめ工具レビュー】

後日発売されたハイコーキのM3608DAとの比較も加えたので購入を検討している人は資料の一つとして役立てて欲しい。2021年8月現在は2万円以下で購入...

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ただ、この記事に書いたトリマは少しハイエンド気味なので、ほんとに初心者だって人には下のものを超絶お勧めしておく。

こいつの一番の特徴は世界一の工具ブランドDEWALTのスパイラル昇降機構(多分パテント漬け)を搭載している点だけど、スイッチやコード、電源形状の安全性など、そのたエントリーモデルと一線を画す。

入門用として他に並び立つものがない、機構の差があまりにも大きい。

リョービMTR-42がDIY最高のトリマな理由【VS.マキタM373】

圧倒的に違う、圧倒的に違うのになぜかマキタを選ぶ人が多いように思える。優れた工具がブランドネームに押されてしまうのは悲しい。 リョービのMT ...

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③ジョイントカッター

額縁づくりにおいては「接合の主役」

主に家具や建具に携わる人たちが使う道具で、DIYerも一歩踏み込んだ製作をする人は持っているだろう。

本来は「ビスケットジョイント」という技法で板と板とを接合する板接ぎをスムーズに行うための、専用道具。だけどアイデア次第でいろんな使い方ができる。

今回はカンザシ加工という方法を簡単に行うために使った。手順は下を見て貰えばわかると思う。

カンザシ加工としては世界一簡単な手段になりうる

接着済みの角に切り込みを入れる。

ビスケットを差し込む。

切り落として綺麗にした状態。

カンザシ加工をする場合、これに変わる道具はさらにワンランク上のテーブルソーなり昇降盤という木工機械が必要になり、更にハードルが上がる。

なので、代用の方法を以下の過程で書こうと思う。

ジョイントカッターのいろんな使い方についてはこちらの記事を参考にして欲しい。

④ディスクサンダー

額縁づくりにおいては「精度の主役」

とにかく難易度が高く、手間がかかるため、プロでも敬遠しがちな留め加工。これをもし完璧にやりたいという場合は、前述した精度の高いテーブルソーか、このディスクサンダーが必要になる。

ただし、趣味のDIYにおいてここまでする必要はないと思うし、この項目自体飛ばしてくれても構わない。

でもすごく便利な道具なので参考にはなると思う。

カットした面が完璧な直角じゃない!だとしても普段のDIYなら大きな問題はないだろう。でも留め継ぎをするときは45度を完璧に出す必要がある。

完璧にあっていればこんな感じ。

ちょっとズレるとすごく目立つ。

こんな感じで、ディスクに当てて削る。

ポイントはこのディスクが一枚の鉄板でできていて、サンドペーパーをシールで直接貼ってあるので、当てれば完璧な平面になるというところ。

これだけの面精度を出してくれる道具は今のところ、このプロクソンのディスクサンダーしか無いと思う。

ほかのディスクサンダーはマジックテープだったりしてしっかりした平面になってくれない。

高い買い物にはなるんだけど、僕としてはかかせない道具の1つだ。レビュー記事も見て。

【レビュー】プロクソン ディスクサンダーDS250【唯一無二】

これはオタク専用ディスクサンダー。0.1mmのスキマを見て心神喪失状態に陥ったり、1日50回くらい「完璧」って言葉を使ってしまう、ちょっとア ...

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使った材料

まずは今回作るものの簡単な図だけど、オモテは内外にそれぞれ面取り。ウラ面には色々とハメ込むための溝を彫っていく。極めてベーシックな額縁だと思う。

エンビ板はその辺のホームセンターで売っているものならなんでもいいし、アクリルとかでもいい。押さえ板はほんとただのベニヤでいい。

今回は外径が35cmくらいまでだったのでこの厚みだが、もっと大きくなるならエンビ板を1mm、ベニヤを5mmくらいとか分厚くしたほうがいいだろう。

材料額縁本体の木材

今回はしっかりしたものを作りたかったので、オーク、ウォルナット、ブラックチェリーなど、広葉樹で揃えた。

広葉樹はホームセンターではなくネットのカット販売で買うのが無難だ。↓↓↓↓↓

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今回はすぐ使えるようにプレーナー加工された端材が大量に手に入ったので、それを使ったが、普段は製材機械がないのでこういうところで買う。

金具など

中身を交換する額縁ならウラ面にこんな金具が必要になる。ホームセンターで探したんだけどなかったのでネットで買った。

製作工程

今回作るものは下の図の通り。

トリマーで一次加工

まずはトリマーで溝や面取り加工をしていくんだけど、あとで加工しにくい内側だけ加工することにした。

逆に外側は、組み立てる途中で傷が入ったりするかもしれないので、最後に加工することにした。

まずは斜めの面取り。コロ付き面取りビットを使う。コロがついているとガイドを用意せずフリーハンドで加工できる。

絵などをはめる溝加工は、基本的に付属のストレートガイドを使って削っていく。

ビットはストレートビットではなく、超硬のエンドミルがお勧め。

木工用のスパイラルビットを使うのが正統だけど、コスパでこちらが上回るし、ただのストレートとは切れ味がダンチで違う。

全部加工し終わるとこんな感じ、加工面はさらに240番くらいのサンドペーパーで磨いた。今回12個作るので96面の加工だ。正直にいうともうやりたくない。

45度の切断

さっそく最難関が訪れる。

きほんの"き"だけどこの止型スコヤは持っておこう。唯一信じられる45度だ。

カットの手段自体はなんでもいい。スライド丸鋸でカットする場合は材料をクランプで固定して切るべき。

そして一度試し切りをした後に、スコヤで45度に切れていることを確認しよう。

僕は今回ディスクサンダーで最終的な45度を調整するつもりだったので、スライド丸鋸の45度に合わせてザクザク切っていったが、ほぼぴったりの45度は出ていた。

45度の確認とごまかしのアイデア

カットが終わったら合わせてみて、隙間の空き具合を確認。どの程度でOKとするかは自分次第。

隙間のごまかし方として、付き合わせる面を面取りしてしまうのもありかもしれない。

どうしても僅かな隙間が許せないときの微調整には、やはりディスクサンダーが便利。棒巻きサンドペーパーで調整するのは無謀だ、角が丸くなるぞ。

接着

今回は、海外のYouTuberがやってたような気がするマスキングテープを駆使した接着を試した。

直角クランプを使ったことがある人ならわかると思うんだけど、あのクランプは90度を維持することはできても、接着方向にあまり圧力を加えることができない。

このやり方だと、マスキングテープを強めに引っ張ってテンションを効かせながら巻いていくことで、接着面の特に外側に圧力をかけることができる(気がする)。

ノリを気にしなければビニールテープの方が強い力がかけられるかもしれないが、この方法は思った以上にうまくいった。

ジョイントカッタがあればこの段階でビスケットを仕込んでジョイントしてしまえば強度的にも抜群だ。

しかし、試作段階でビスケットの摩擦力のおかげで調整にひと手間かかったので、今回はカンザシを入れる方向で進めていった。

また、あまり力が加わらない額縁とはいえ、接着部はのちの材料の伸縮で隙間が開くことも大いに考えられる。

なのでボンドはタイトボンド3をお勧めしたい。しっかりしたものを作りたい場合、やはりこれが一番だと思う。

こんな感じで一晩寝かせた。

接合部は少なからず段差ができる、その段差解消に一役買うのはランダムサンダーというやつ。

なんせ接合部は木目の方向が90度違うので、自在にサンドペーパーをかけることができない。

四角いオービタルサンダーというものもあるけれど、仕上がりの美しさでは確実にランダムサンダーの方がいい。

構造や利点については下の記事で解説している。

マキタ18V充電式ランダムオービットサンダーBO180DZ【おすすめ工具レビュー】

充電式サンダーてどうなん? 結論としてめちゃくちゃ使う。 もしかすると一番使うかもしれない。 確かにサンダーを買っても、何か作れるものが増え ...

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接着部分の補強

今回はカンザシ加工でやっていく。

上に書いた通りだけど、ジョイントカッタを使ったカンザシ加工は世界一簡単な方法だ。

深さをMAXに設定したジョイントカッタで角から切れ込みをいれ、#20のビスケットを差し込んだらそれで完成。

ビスケットの差し込む側をディスクサンダーで少し削っておくとより隙間なくはまる。

接着済みの角に切り込みを入れる。

切り込みが入った状態。

ビスケットを差し込む。

開き留めのクランプをかけて乾燥。

切り落として綺麗にした状態。

今回は材料の厚みが11mmとかなり薄かったので、4mmのビスケットは少し分厚く見えるが、楽なので問題無し。

ではジョイントカッターがない人はどうするべきか?

サイドからビス留めして木栓をしたり、穴を開けて竹串をさしたり、いろんな方法でやってる人がいるけど、側面に見えてきてあまり嬉しいもんじゃないと思う。

額縁の裏は基本的に金具だらけなので、素直に連結金具を使うのが一番かしこいDIYじゃないだろうか。

外周の仕上げ

外周部の仕上げ、まずはカンザシのビスケットのカット。

ここでもスライド丸鋸の出番。

切り落としたあと、軽くディスクサンダーも当てたが、ディスクより大きいものは正確に削れないので、ある程度だけ削った。

最終的には棒巻きペーパーで面を整えた。

整えた面に、トリマーによる仕上げの面取り。ここまでくればほぼ完成形が見える。

裏側も手が痛くない程度にペーパーで面取り。工程が多い、まじで多い。それが12個だからたまらない。

塗装

塗装前にはさらに300番台のペーパーで全体を整える。この作業はとても重要。しかしいったいどれだけ磨くのか。

塗装は作った物に命を吹き込む瞬間のようにも思える。なんとも充実感のある作業。広葉樹だったら間違いなく無色のオイルフィニッシュが一番美しい仕上げたと思う。

作業は至って簡単、ウエスなどの布に染み込ませて塗るだけ。ムラなども出ない。

塗って濡れた状態で400番以上の耐水ペーパーで磨いて、乾燥させて塗って磨いてを繰り返していくと素晴らしい手触りになる。

僕が使っているのはリボス社のアルドボスという塗料。

オスモがいいという人もいるし、ワトコやアマニ油を使うという人もいる。正解はないが、撥水成分が多めなアルドボスは実用面でも使いやすい。撥水能力ではオスモも高い。

塗りたては舐めまわしたくなるほど美しい。

金具の取り付け

金具の取り付けはビスで留めるだけなので特筆すべきことはないが、きちんと下穴を開けて加工すべきだと思う。基本的にオークのように硬い木は、そのまま打てばどんなビスもネジ切れてしまう。

貫通してしまうことのないように、深さの目印にマスキングテープを巻くといい。

金具の位置などは上の写真を参考にしてくれたらいいと思う。押さえになるトンボは左右にも1点ずつあったほうがいいと思うが、今回のサイズだと上下だけで十分だった。

紐の張り方は正しいやり方があるが、適当にやった。

中身の組み付け

使ったのは前述した通り、ホームセンターの0.5mmエンビシートと、ただのベニヤ。

エンビシートのカットはカッターナイフで十分。

エンビはこれ。

ベニヤはこんなの。

組み付けて絵を入れてみたらこんな感じで完成だ。

完成

この額縁はとあるレストランの壁面のデコレーションのために作った。

これだけずらりと並べば壮観だし、見てて嬉しくなる。

ちなみに壁掛け用のフックはせっこうボード用で下のものを買った。Amazonだと送料込みなので高い。


以上、額縁作りは思った5倍くらい大変だったけど、誰かの参考になれば幸いだ。

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