数字って嫌いだよな、わかる。
3.14だけで十分だって人もいると思うけど、DIYが好きなら知ってて損はない数字はたくさんあって、その生かし方なんかもまとめてみる。
1°で何ミリずれる? 「イナゴ」
何かをつなぐときに角度がちょっとズレたとする。その時の誤差をミリメートルにするとどのくらいになるか?を把握する数字。

1ºのズレは100mm進んだところで1.75mmの誤差になって現れる。(図はわかりやすくするために比率を変えてある。)
めっちゃ誤解を生む書き方だけど、自分は「1°はイナゴ」みたいな感覚で覚えてる。
これは自分が椅子を作るときに、脚のジョイントの角度が1°ずれたら先端でどれぐらいの誤差が出るのだろう?と思って計算してたときに覚えておいた数字。
例えばこれ。

このようにつなぎ目の角度が1ºずれると先端ではデカい誤差が生まれることがわかる。
それを図に書かなくても脚の長さは400mmくらいだから、イナゴ(1.75)が4匹分で7mmくらいかなと頭の中で予測できるのがポイント。
もちろん1°の誤差なんて電動工具でカットすればそうそうでない。
誤差の具合を逆算することもできる。
こんな感じでスコヤを当ててみて↓

大体直角ならOKだろう。でも指で触ってみて上下で最大0.2mmくらいの誤差があるとすれば?
誤差1ºなら100mm先で1.75mmずれる。材料の幅が50mmだとして0.87mmで1ºの誤差。ざっくり0.25°以下の誤差になる。
つまり脚の先端は1.5mmくらいの誤差にとどまる。
椅子の脚先が1mmズレていたところで問題にはなるだろうか、いやならない。「じゃあやり直すまでもない」という判断を瞬時にできる。
まあ実際には
「幅50mmの幕板が上下で0.2mmズレていたら、先端まで400mmくらいだから0.2mmを8倍して1.6mmくらいの誤差」
って感じで、角度に置き換えなくても計算できるんだけどね。
角度と長さの関係性って掴みにくいからそのきっかけの数字。
細かく行けば01.746みたいな数字になる。
45度は「7掛け」
7掛けの前提として1.414という数字がある。
これは√2のことだから覚えている人も多いと思う。
√2の読み方を忘れたという猛者もいるかもしれないが、これはそのまま45°の直角三角形の斜辺の比率。

身近なもので見てみよう。

僕らの止め型スコヤさんもこうなっている。
45°は木工DIYでも一番出てくる角度だと思う。
主にカットするときに必要な刃の長さや可動域を把握するときに使う。
例えば直角で幅312mm切れるスライドマルノコでも45°に傾けたら312mmも切れない。
しかし、どの幅まで切れるのかとスラ丸のスペックを確認するとか面倒臭い。
ここで使う数字が7掛けこと「0.707」だ。
超簡略化して0.7にしよう。300mm x 0.7 =210mmで大体目安になる数字が出る。
切る、穴を開ける、溝を掘る、あらゆる45°加工は直角の時の7掛けの深さや距離しか加工できないと考えると楽。
逆に50mmの板に45°で貫通穴を開ける場合は1.41倍の長さ、めんどいので簡略化して50 x 1.5で75mm以上のドリルを用意すればいいとなる。
この1.414(√2)はA4とかA3とか紙のサイズの比率でもある。
A3図面をA4に縮小コピーするときは70.7%、その逆は141.4%となる。その辺のコピー機にもこの比率はよく出てるよね。
白銀比とも言うらしい。
尺と付き合う
1尺ってのは303.03mm。
3x6=サブロクのベニヤ板ってあるじゃん。あれは1畳と同じ。それが2枚で1坪。

それはおいといていわゆる「板もの」の材料はほとんどが3x6を基準に、4x8、3x8という大型規格が用意されていたりする。
「あらゆる車は3x6が乗るように設計されるべき」というのは自動車業界に黙殺され続けている僕の意向ではあるけれど、尺寸法はメートル法で扱うのにちょうど良い。
3x6サイズの板は910x1820であったり、915x1830であったりとモノによって違いはあるものの、この端数が「のこしろ」になってくれる。
店舗などの内装工事において、既製品でない家具や什器などの造作物はほとんどが板モノの組み合わせで仕上げられる。
そして設計者は300mmや450mm、900mmなどの寸法を好み、500mmという寸法で気分が悪くなり、920mmという寸法を見ると嘔吐する。
これはいわゆる経済寸法というやつで、ロスのない材料取りを行うために設定される寸法でDIYerにも超重要。
この末尾がゼロで終わる寸法は910x1820みたいに端数が引っ付いてるから実現できるもので、もし900x1800の板であれば、カットの時に消滅してしまう「のこしろ」2mm程度を考慮する必要があるので「298mmの棚板を3枚」みたいな取り方になってしまう。
でも、これが家具や什器でなく壁に貼るせっこうボードであったら話が違う。
それを貼り付ける間柱のピッチは303mmとか455mmとかで建てていく。
これは材料の幅910mmをノーカットで貼っていくためで、これまた壁や床を貼りたいDIYerには超重要。
多くのスケール(またの名をメジャー、コンベックス)に入ってるこれは尺寸法のポイントだ。

床にビロンと伸ばしてこの位置に柱なり根太を固定していこう。
ちなみに2x4材の長さに出てくるフィートと1尺はほぼ一緒。
インチハラスメントホットライン
産業の発展を妨げてきた悪魔の単位インチは25.4mmと定められている。
現在進行形でアメ○カとかいう産業超大国が使っているんだけどハラスメントでしかない。
ベアリングや丸棒、ボルトなど、ノギスで測って変な寸法が出たらインチを疑え。
表記には1" 1in 1inch いろんな書き方がある。" ←がインチだって知らない人も多いかも。
ぱっと見で脳内変換できるように覚えておきたいのが
1/4inch → 6.35mm
1/2inch → 12.7mm
1inch → 25.4mm
かな。
一般に分数表記されるのがインチのウザいところ。
インチが存在するせいでルーターのコレットは6mm 6.35mm 8mm 12mm 12.7mmと大量に用意しなければならない、しかも6と6.35はぱっと見で見分けがつかないのでUSB-Aくらい腹が立つ。
ちなみにテレビやモニタのインチは対角線なので注意。16:9の画面は50インチで大体横幅1100mmと覚えておくと便利。

実際のテレビにはこの周りにフチがついてる。
ところで2x4材というインチ由来の材料があるけど、これの寸法は38x89なので、現在ではインチとは無関係と言って良い。
2x4→2x8になれば倍になるかというと、89→184mmと2.067倍になるとかいう意味不明さ。ほんと嫌い。
知って得することはないけど、知っておくことでハラスメントに耐えることができる。それがインチ。