前回は倣い加工(ならいかこう)について説明してみたが、その倣い加工に特に力を発揮するのがトリマーテーブルだ。
パーツが細くなったり小さくなると、トリマーを材料に乗せかけること自体が難しくなり、非常に危険。ぜひ作っておこう。
トリマーテーブルを作るのは大変というイメージがあると思うけど、ぶっちゃけ10分でつくれる。なので作り方について解説してみようと思う。
木工機械の中でも、買わずに作ったほうがいいものナンバーワン。
材料費もほとんどかからない。
ちなみに倣い加工の記事はこちら↓トリマーを持ったら必ず知っておくべき技術だ。
-
【2021.12更新】倣い(ならい)加工というコピペ技術【トリマーで何ができる?その2】
ここではトリマーの超重要技術である「倣い加工(ならいかこう)」について説明してみようと思う。その1では、基本技能に近い例を紹介した。ちょっと ...
続きを見る
Contents
概要 - トリマーテーブルとは
簡単に説明すると、トリマーを逆さまにして、ベースを大きくして安定させたもの。トリマーではなく材料を動かす。
僕は作業場が狭いので仮設固定の収納式にした。これを独立のテーブルにしてしまえばまんま「トリマーテーブル」となる。

図のように非常にシンプルな構造となっており、倣い加工などベアリング付きビットでの作業だけを行うならば、ストレートガイドすらも不要。

このような感じで材料を当てて動かすことで加工する。
写真のような大きさの材料だと、手持ちのトリマーを当てて加工するのは至難の業だが、トリマーテーブルであれば比較的安全に、安定して作業ができる。
とはいえ材料を弾きやすいのは同じなので、雑なことやってたら指ごと持って逝かれるから気をつけろよ。
使い方の感覚は、少しテーブルソーや昇降盤に近いか、その辺使ったことある人なら危険予測もできるだろう。
怪我を避けるには材料をしっかり抑えること、刃と指の距離を一定以上離すこと。どうしても刃に指が近づいてしまう時は、可能なら棒などで押すこと。

こいつを駆使して、クソ硬い木材トップランカーでもあるホワイトオークさんをこんな形に削ることができた。
製作手順 - トリマーテーブルを作る材料
それでは順次説明していく。下記はテーブルソーの機構を満たすための必要最低限の材料だ。
盤面とガイド

盤面はなるべく平面の出た板。
- 厚み - 12mm〜18mm程度
- 大きさ - 用途に応じて(写真は370×730程度で小さめ)
- 素材 - 合板、ランバーコア、MDFなど狂いの出にくい積層材がおすすめ
ストレートガイドは反りなどが無く、底とガイド面が直角である必要がある。
写真では45x45の角材を使っている、がランバーコアを貼り合わせたり、箱状にして直角を作ったほうが正確だと思う。
- 大きさ - 底とガイド面はがたつき防止のために45mmは欲しい
- 素材 - 合板、ランバーコア、MDFなど狂いの出にくい積層材、さほど精度を求めないならなら角材でも代用可。
トリマーを固定するネジ

これは盤面にトリマー本体を固定するネジ。本体に取り付いているベースを取り外し、付属していたネジと同じ太さのものを買おう。
- 長さ - 20mmあれば大体いける。材料を挟んでトリマー本体に届けば良い
- 太さ - ここではM4サイズ
- ネジの頭 - トラス頭、もしくはナベ+ワッシャー。材料を抑えることができればなんでも良い。
トリマー本体

なんでもいいんだけど、コード式でいいと思う。
一つ付け加えるなら刃の昇降が簡易なものが良い。
おすすめはリョービのこの辺。(写真のものより安い)
こいつは偉大なる電動工具メーカーであり、ハンドルーターやトリマーの機構の先駆けでもあるポーターケーブル社の昇降機構をパクったものなので信頼性がある。
欲しい。
使用するキリ(ビット)

- φ35mm - トリマービットがでる穴を開けるキリ、用途に応じてお好みで調整。
- φ4mm - ベース取り付け用のネジ径に合わせて。M4なら4mm。
- φ10 - 上のネジ頭を沈めるためのもの。ネジの頭が入るサイズで。
製作手順 - 盤面の加工
盤面のセンターに、トリマー付属のベースプレートをあてる。
ちなみにこの加工はオモテ面から行う。

そして取り付け穴をマーキングする。

続いて穴あけ

前作ったものなので木目が違うがオモテから加工をしている。
4点の穴はφ10mmと4mmの2段穴になっている。
あとはネジでトリマーの本体を裏側から取り付けるだけ。

ドライバーで閉めよう。インパクトでもいけるけど。


こんな感じ。

ここまで手際よくやれば10分かからないと思う。
こんなふうに作業台などにクランプ付けするだけで、倣い加工や面取り専用の仮設トリマーテーブルとしては十分過ぎる性能を発揮する。
ストレートガイドの作り方は以下。
製作手順 - ストレートガイドの製作
まずストレートガイドの機構について。
市販のトリマーテーブルはストレートガイドを2点スライドで操作するものが多いが、トリマーテーブルは点(ビット)と線(ガイド)の位置関係で加工寸法が決まるので、ガイドを平行に動かす意味がまったくない。
よくわからんと思うので下の写真を見て欲しい。

このように軸を一点にしてしまえば余分な操作が必要なく、距離も測りやすい。
凝った人は下の方に目盛りを貼ってもいいと思う。
軸は下からビス留め。
この機構はすごい木工家である「Ishitani Furniture」さんの製作動画を見てたら出てきたのでパクらせていただいた。すいません。
同じく、凝った人なら上下からボルトナットで挟み込めばいいと思う。

ビットが接する箇所の切り欠きは穴と同じくφ35のキリで掘ってある。
このやり方はほんとなんでもいいので好きにやればいいと思う。
製作手順 - 脚の取り付けで対荷重アップ
とはいえこのままでは強い荷重がかけにくい。
なので脚を作った。

これもクランプで固定できる超簡単なもの。気になる人がいれば動画で解説してるので見てくれたら嬉しい。
まとめ
長々と解説してきたけど、基本構造さえ押さえればビビるほど簡単に作れるのがトリマーテーブルだ。絶対買うなと言いたい。

バラせば脚付きでもこんなボリューム、ぶら下げてしまっておける。
本日はここまで、なにか参考になれば幸いだ。