自分は結構いろんな工具を持ってる方だと思うけど、それでも欲しいものがたくさんある。
喉から手がでっぱなしで引っ込むことを知らない。
DIYの中でも家具を作る「家具木工」というジャンルにおいて、少しマニアックで、あったらすごく便利だと思う電動工具を紹介する。
SK11 スピンドルサンダー
これは曲線の内側を削るためのサンダー。
これができる道具がマジで他にない。
スピンドルサンダーというジャンルの工具自体SK11しか出していない、SK11は偉大。
回転するのは当然、上下にピストン運動までする、おもちゃとしては最上位の工具。しかも安い。
具体的にはこのような造作を加工するのに適している。
スピンドルサンダーを持たざる自分がどうやってこのような削りに対処してきたかというと、下のようなものを作って頑張っていた。
これを使って手で削る。けなげ過ぎて泣ける。
まあこれでもやれなくはない。実際には型を作ってトリマーでカットしているので、削るのは5.5mmの型の方だ。
それでもべらぼうに時間がかかるのが現実。
他の代用法として最近使ってるのはこういうやつ。
数百円で売ってるものだけど、ボール盤につけてしまえばこれが結構使える。
ものによって軸が笑っちゃうくらいブレてるものもあるんだけど、これもまたSK11のやつは開封時の精度が結構出てる。
ただし1箇所に当たるので偏摩耗しやすいのが難点。その場しのぎ的な削りには十分使えるけど。
スピンドルサンダーは上下の動きがあるので偏摩耗しにくいし、傾きがあったとしても分散されるので直角も出やすいと思われる。
回転ドラムは最大76mmまでいけるのでそれなりに大きな円弧でもなめらかに削れるだろうし、もちろん集塵もできる。
なので近日中に買ってレビューしたいと思う、レビューしたらここに貼る。
近しいことができるユニバーサルサンダーというものもある。
これはこれで広い面の削りなどもできていいんだけど、DIY用はなく、どれもこれもべらぼうに高い
以前に曲線造形の三種の神器という記事を書いたけど、やっぱりスピンドルサンダーも欲しいところ。
DIYでパーフェクトな曲線を加工するための方法と3種の神器(電動工具)
たとえば家具を作ろうと思えば、あこがれの名作あれニトリであれお手本になる所はめっちゃある。どれも素人には実現不可能と思える造形で溢れているけ ...
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FESTOOL DOMINO フェスツール ドミノジョインタ DF500,700
結構有名なドミノはフェスツールの革命的なホゾ切り工具。
というかホゾっぽいダボでジョイントするシステムそのもの。
国内での入手経路は限られているにもかかわらず、プロフェッショナルはかなり持っていると思われる。
木組で最も強度が出ると言われているのはホゾ組とよく言われるけど、ドミノはまさにその代替システム。
具体的には角丸のついた横溝を掘り、そこにドミノチップと呼ばれるブナの圧縮材を使用した専用のパーツを差し込んで固定する。
写真のように、丸いものでも幅広の板でも多種多様な形状のものに加工できる。
正確な位置決めを行い、正確な加工を行うことに全霊を注いでいる感じ。
だからガイドも多種多様。
穴あけ自体はエンドミルのような刃が搭載されていて、写真のように振り子状の動作を行う。
これをジョイントカッタと同じように人の力で押し込む。
かなりの高負荷の作業だと思うし、ずれたりキックバックしたりしないのかって思うけど、それが起きないのがポイントの一つでもあるらしい。
トリマに置き換えて考えれば「穴を掘り込む動作」と「溝切り」の2段動作。
この動作においては回転する刃が受ける負荷は常にバランスが取れているため、ぶっ飛んだりしない。つまりそういうことなんだと思う。
ありえない使い方だけど、刃の側面がが材料表面をなぞるような加工をすると、右方向にぶっ飛ぶ力がかかるかも。
そんな正確な穴に正確にフィットするドミノチップはこんな感じ
厚みも長さも様々なので、2枚ホゾのように入れることもできる。
圧縮材なのでボンドで膨らみ、がっちりホールドする。
似た姿をしたビスケットジョイントとは全く異なる。
横方向の精度と、何より強度。
自分自身使用経験がなく、強度についてはっきりしたことは言えないんだけど、個人的には圧縮材を使うという点でホゾ組と同等か、それ以上の強度が出る可能性は十分にあると思っている。
少なくともホゾ組は作業者の技量で強度が圧倒的に変わるし、万人に一定の加工精度を担保するという点では本当に価値があると思う。
効率で言えば、一工程でホゾ穴が掘れるドミノに圧倒的な軍配が上がるのは言わずもがな。
精度の話をすると、まずホゾ組は胴付きの部分が一番難しいと思う。
オス側は出っ張りを残したまま、周囲を完全な平面にしなければならない。
精度の高い木工機械を持てない&置けないDIYerにはかなり大変。
ドミノであれば胴付きはスパッと切るだけ。めちゃくちゃ簡単だよなー。
まあ技術的難易度を追求する喜びは、機械で再現できない様々な組み方にチャレンジすることで補えると思う。
一般的なドミノであるDF500ラインは深さ28mmまでの加工。DF700は70mmまでの加工と結構差がある。
ただし国内正規代理店のハーフェレではDF500までしか取り扱っていない。
DF700が欲しかったらebay(セカイモン)とかで買うのが手っ取り早いと思う。ドイツに旅行するついでに買ってもいいかも(電圧に注意)。
マキタ充電式ピンタッカ PT353DZK
ピンタッカとはピンネイルという0.6mmのめっちゃ細くて、目立たない釘を打ち込むマシン。
入り隅なんかに打ち込んだら絶対バレない。正面から打っても意識しないとわからない。
こいつは15mmから35mmまでのピンネイルを打ち込むことができる、家具木工には結構使える代物。
似たようなものに面木釘打ち機というものがあるんだけど、そちらは仕上げ釘(フィニッシュネイル)を打ち込むもので、頭が1.9mm、軸が1.05mmと少し太いので少し目立つ。
その分フィニッシュネイルは材料を押さえ込む力がピンネイルより強いので、僕は床を貼るときなんかにもボンド併用で使ったりする。
(でもプロ的にはNGで、本来はステープルというホチキス状のものか、ブラッドネイルというさらに頭の大きいものを使う。)
ピンネイルの主な用途としては、ボンドで取り付けるけど、押さえに仮釘なんか打ちたい時や、クランプほどの保持力は必要ないけど、一定時間抑えたい接着面など、代わりにこいつをバシバシ打てればとても便利。
その場凌ぎのジグを作りたい時も、ビスなどと違ってほとんどズレずに抑えることができる。
そして、材料にもよるけどピンネイルの穴はとにかく目立たない。
というわけで、フィニッシュネイルに比べると力は弱いが、目立たなさで軍配が上がる。
力の弱さは「ハ」の字に打ったり、数である程度カバーできる。
両方あれば一番いいけど汎用性と、少し安いという点で僕はピンネイルが欲しいと思っている。
ちなみにこれらはエアー工具の代表格みたいなもので、コンプレッサーという機械があればもっと安価に、もっと軽量のネイラを使って、もっと長い釘の打ち込みができるようになる。
他にも吹き付け塗装やダストの吹き飛ばし、エアインパクトやサンダーも使えるので、家具製造の現場には間違いなくでかいコンプレッサーがあるもんだ。
でもウチは狭いし、エアホースの邪魔さは知ってるし、コンプレッサーはうるさいので、動力はなるべくAC電源と18Vバッテリに集約したいと思ってこいつに恋焦がれている。
エアータイプと違って少し反動が大きいみたいだけど、コードレスってのは正義だと思う。
価格がずいぶん高いのは、市場が日本に限定される独自構造を採用していることにも原因があると思われる。
海外のものは電動であっても空気を圧縮して打つようになっているようだけど、これの多くが日本の銃刀法でいう「空気銃」に該当するらしい。
これを回避するために日本のバッテリ方式のものは多くがバネ式になってるんだって。
そしてマキタのピンタッカの特に優れる点は「ドライバ」というピン釘を打ち込む消耗部品がユーザーでも簡単に交換できること。この辺はハイコーキも真似できてないポイント。
ピンタッカは交換サイクルが早く、数箱打てば交換期が訪れるようなので、これを自前でちゃちゃっとできるのか、いちいち販売店やメーカーにお願いしなきゃならないのかは結構違うと思う。