個人的には1択。
それぞれどんな機能の違いがあり、それによって何が予測されるのか、体験と考察と独断と偏見を交えて書いていく。
一応自分自身で実際に使った経験があるのはスポークシェーブとデルタのプレーナー。
とりあえずランキングにしてみよう。
Contents
【1位】スポークシェーブ 40200H-JP
設計はカナダとアメリカで、発売時期はおそらく2008〜2009年あたりと思われる。
なんちゃってヘリカルカッターヘッドを搭載し、26枚の14.3mmハイス刃を標準装備。
加工幅は13インチということで最大330mm。
標準的な直線刃とは構造が全く異なり、多くの点で高いパフォーマンスを発揮する。
具体的には以下の通り。
- 加工時の騒音が小さい
- 切屑が細かく集塵機に詰まりにくい
- 抵抗が小さく堅木でも回転数が安定し、加工面が綺麗
- なので逆目掘れが起きにくい
- 欠けが発生しても1ピースの交換で済むので経済的
- そもそもの刃の交換が容易
さらに販売店の工夫として、Wixeyのデジタルスケールがセット販売されていて、これを装着すれば物理的なゲージやストッパがほぼ不要になる。
ヘリカルならではの弱点として、刃が分離しているために加工面にうっすらと直線の筋が出る点が挙げられる。
ただしサンディング工程で勝手に消える程度。
そして純粋な加工回数が少ないため刃欠けの影響が出やすく、ハイスの刃と相性が悪いような気がしている。
変えたい場合、販売店ではハイス刃しか扱ってないのでアメリカAmazonで超硬刃を買うのがいいと思う。しかも価格はハイスの6割程度。
26枚必要なので、10枚セットを3つ買って10,000円以内。あ、本当に装着できるかどうかは試していない。
ただしユーザーとしては超硬にすればもっと良くなるんだろうなって程度で、ハイス刃で問題なく使えてる。
今後派手に欠けたら超硬に変えてみたいと思う。
価格 | 79,000円程度 |
ヘッド | ヘリカル26枚刃 |
加工幅 | 330mm |
加工厚 | 150mm |
カッターヘッドロック | あり |
接触式深さゲージ | あり |
目盛りゲージ | あり |
デジタルゲージ | セット |
深さストッパ | 段階式 |
集塵アダプタ | セット |
このリンクはデジタルスケールが別売りになってるんだけど、セットはこっちの楽天でしか売ってないのでこっちの方がいい。
実際に使ってるので詳細記事も書いてある。
スポークシェーブ なんちゃってヘリカル刃自動かんな40200H-JP解説【Spokeshave】
ヘリカル刃とはなんぞや?マキタとどっちを買うべきか?木工DIYをやってると必ず行き着くのがプレーナー(自動かんな)そしてこの40200H、楽 ...
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【2位】パオック PP-330
発売時期は不明だけど、近年の機構が結構搭載されているので、スポークシェーブより新しいかもしれない。
カッターヘッドは一般的な直線2枚の替刃式。
加工幅は最大330mm。
切り込み深さの確認ダイヤルゲージも搭載し、深さの物理ストッパも段階的に複数設定できる。
鼻落ちを軽減するためのカッターヘッドロック機構も搭載し、近代的なベンチトッププレーナーとしての機構を最低限全て備えている。
北米の製品の機構を参考にしていると思う。ちなみにパオックというのは国内メーカー(といってもほぼ輸入販売と思われる)。
価格 | 63,000円程度 |
ヘッド | 直線2枚刃 |
加工幅 | 330mm |
加工厚 | 150mm |
カッターヘッドロック | あり |
接触式深さゲージ | あり |
目盛りゲージ | あり |
デジタルゲージ | - |
深さストッパ | 段階式 |
集塵アダプタ | セット |
実に優秀だと思うんだけどどうだろう。
【3位】マキタ2012NB
発売時期はおそらく1999年あたり。一世代古い。
カッターヘッドは一般的な直線2枚の替刃式。
加工幅は最大304mm(1尺)。
切り込み深さの確認は目盛りのみ。深さの物理ストッパも1点のみの設定。
鼻落ちを軽減するためのカッターヘッドロック機構は搭載していない。
搭載する機能面ではどうしても設計の古さを感じるが、それを「使用実績が豊富」とポジティブに捉えるならいいのかも。
幅の狭いリョービのものとも比較されがちだけど、そちらより発売時期はあたらしく、モーターの動作音も静かだったらしい。
価格 | 87,000円程度 |
ヘッド | 直線2枚刃 |
加工幅 | 304mm |
加工厚 | 155mm |
カッターヘッドロック | - |
接触式深さゲージ | - |
目盛りゲージ | あり |
デジタルゲージ | - |
深さストッパ | 1点 |
集塵アダプタ | 別売 |
研磨式があるけど替刃式の方がやさしいと思う。
【番外】京セラリョービ AP-10N買うくらいならHL6A
リョービのものは多分90年代の発売でマキタ2012NBより古い。
加工幅もマキタ304mmに対して254mmで、深さストッパも搭載していないので、スペック上全ての点で劣る。
さらにパオックに価格で劣る。
京セラカラーのものに変わったけど、さすがに売れると思えないし、Amazonレビューも2016年以降見当たらない。
骨董品の色を塗り替えたと言ってもいい。
京セラリョービは自動かんなよりもこれを買うべき。
自動かんなは手押しかんなとセットで使うべきものなので、よく一体になったものを目にすると思う。
厚みだけ揃えるなら自動かんなだけでもいいけど、反りやねじれをとるには先に手押しかんなを通して平面を作る必要がある。
この(A)HL6Aは小さいけどDIY用として唯一無二の価格帯なので、自動かんなAP-10Nの1000倍程度の存在価値がある。
僕はズタボロのものをヤフオクで安く買った。
キャパオーバーの長いものを完璧に平面にすることはできないけど、10のねじれを1くらいにすることはできるので重宝してる。
3つのスペックまとめと比較
スポークシェーブ | パオック | マキタ | |
---|---|---|---|
価格 | 79,000円程度 | 63,000円 | 87,000円 |
ヘッド | ヘリカル26枚刃 | 直線2枚刃 | 直線2枚刃 |
加工幅 | 330mm | 330mm | 304mm |
加工厚 | 150mm | 150mm | 155mm |
カッターヘッドロック | あり | あり | - |
接触式深さゲージ | あり | あり | - |
目盛りゲージ | あり | あり | あり |
デジタルゲージ | セット | - | - |
深さストッパ | 段階式 | 段階式 | 1点 |
集塵アダプタ | セット | セット | 別売 |
スペックに現れない加工的な要素でスポークシェーブ40200Hが他を上回り、微妙な筋という点でのみ下回る。
パオックはカッターヘッドロックができるので、鼻落ち防止にはマキタより有効だと思う。
その他、加工幅、ストッパーや深さ確認ダイヤルなどの機械的な構造の工夫もパオックの方が多く、スポークシェーブとほぼ同等。
でもその辺りの差はデジタルゲージを使われたら天と地の差となる。
ちなみにWixeyデジタルゲージは基本的にどの自動かんなにもつくので別売りで買ってもいいと思う。
価格はパオックが大分安い。
マキタが優れる点は「ブランドネーム」「20年以上の運用実績」「営業所が多い」の3点。
高価な買い物であるからこそみんなが使ってる実績のあるものを選択するというのも大きな理由になると思う。
ただ個人的にこの3つは優先順位が低かった。そもそもどのメーカー品もアフターフォローのお世話になった経験はほとんどない。
マキタ純正なら特別綺麗に切れるとも思える理由もなかったので、今回はこのような順位付けになった。
一応言っておくとマキタはめっちゃよく使ってる。
自動かんなに必要なもの
第一に加工面の綺麗さを求めると思う。
必要な要件を考えてみると以下の通りになった。
回転数が低下しないこと
刃物は減速すれば切れなくなる。
という大原則があるので、自動かんなは回転を落とさない工夫がいるよね。
一応材料によってこうなる。
- 柔らかいものほどスピードが必要だが、そもそも抵抗が小さく減速しにくい
- 硬いものほどスピードが不要だが、そもそも抵抗が大きく減速しやすい。
どれもモーター出力は15A、1500W近くを発揮する。
20年以上前のマキタのモーターがパオックやスポークシェーブのモーターより圧倒的に優れているとは言えないので、これに違いは見当たらない。
刃の切れ味も同じであれば刃の構造で、瞬間的な負荷の比率を計算できる。
直線2枚刃のマキタとパオックの1回転あたりの総負荷が100だとする。
これを2枚の刃で分散するため、瞬間最大負荷は50となる。
スポークシェーブのヘリカル刃の場合、そもそも刃の接する回数が少なく総負荷が57となる。
これを6段に分けて切削するため、瞬間最大負荷は9.5となる。
というわけで減速する要因はスポークシェーブの方が少ない。
刃の切れ味がいいこと
3社とも標準はハイス。
そしてハイスより超硬が圧倒的によく切れる=抵抗も減る
マキタは研磨式なら超硬がある。(といっても替刃式のものに研磨式の刃はつけられないので注意)
スポークシェーブは海外購入で超硬刃が手に入る。
パオックは多分ない。
一応ハイスの方が靭性に優れるので欠けにくいとされるけど、いろいろあってそうでもないと思ってる。
靭性があるということは刃がぶれやすいとも言える。
トリマのエンドミルなんかだと特に体感しやすく、ハイスだと刃が材料がら逃げるような高音を感じたりする。まあ間違ってるかもしれないけど。
特にヘリカルは刃の固定点が少なく、直線刃よりぶれやすいと思うので、デフォルトなら結果的に直線刃の方が切れ味に優れると思われる。
スポークシェーブのヘリカルを生かすならやっぱ超硬に変えたい。
逆にいうと直線刃は無理に超硬に変える必要もないかも。
スポークシェーブ40200Hがいい
デルタからの乗り換えだけど、やっぱりこいつは使いやすい。
デルタは2スピードタイプでヘッドロック機構も備わってる、ベンチトップとしては少し高価で近代的なプレーナー。(ちゃんと日本向け電源)
その辺の比較もしてるので下の記事も見てもらえると良いと思う。
スポークシェーブ なんちゃってヘリカル刃自動かんな40200H-JP解説【Spokeshave】
ヘリカル刃とはなんぞや?マキタとどっちを買うべきか? 木工DIYをやってると必ず行き着くのがプレーナー(自動かんな) そしてこの40200H ...
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このリンクはデジタルスケールが別売りになってるんだけど、セットはこっちの楽天でしか売ってないのでこっちの方がいい。
動画解説
こちらの記事は動画でも取り扱ってるので参考に。
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自動かんなはヘビーすぎて必要ないかもしれないけど、その他さまざまな電動工具の特性や選び方について、オタクDIYerたる自分の知識と体験に基づいて徹底的に解説している。
よかったら見てもらえると良い
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