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テーブルソー SKILSAW(スキルソー) SPT99T-01のレビューとDWE7485、TS6307-00の比較

2022年12月22日

自分の中でこのテーブルソーは2022年、買って良かったものトップに君臨することが決まっている。

おすすめできる人は、既に持ってるものに満足できなくなって、次のレベルを求めたいけど大きさはジョブサイトソーに限定したいという人かな。

木を切るという超基本的加工動作において、テーブルソー間違いなく主役。

最初のうちは丸ノコで十分だけど、テーブルに乗るサイズであれば、精度においてもスピードにおいてもテーブルソーが絶対正義なので「テーブルソーが工房の精度を左右する」だの言われたりする。

ようするに、一番お金をかけるべきはテーブルソーだと自分は思っていて、実際に今まで自分が買った工具の中で一番高いものがこいつSkilSaw SPT99T-01だ。

満足してるけど現状ではぶっちゃけコスパ悪いので、DEWALTSKILなど他の数万円で買える選択肢も紹介する。

SKILSAW SPT99T-01とは

まずSKIL社はいわゆる手持ちの「丸ノコ」をこの世に生み出したアメリカの会社。(すごい)

ブランドとしてはプロ向けの「SKILSAW」とDIY向けの「SKIL」の2ラインがある。

SPT99T-01はプロ向けの「SKILSAW」ブランドのJobsite Saw(ジョブサイトソー)、つまり現場向けに持ち運びできるコンパクトなテーブルソーで、ガチの家具工場で使われるようなものではない。

しかしガチ工房を持っていないサンデークラフトマン目線ではこのクラスが最高峰になり得ると思う。

刃の径は8-1/4インチ=210mm相当。

国内255mmのテーブルソーに比べて切り込み深さは控えめだけど68mmいければ十分。

リップカットの幅は635mmいけるので、別売り延長テーブルをつけていないマキタ2703(10インチ)の倍は切れて、SK11(10インチ)とほぼ同じ。

自分は将来的にクソでかいキャビネットソーを買おうと思ってるけど、コンパクトなサブ機として作業テーブル直結で運用する事を見越してこいつを買った。

見た目がカッコ良すぎるのも買った理由の10割くらいを占めている。

発売年度は正確にはわからないけど、多分2019年くらいだと思う。

SPTシリーズは動力伝達がダイレクトドライブではなくウォームギアであることが最大の売りとされているけど、自分はそれ以上にフェンスの機構がラックアンドピニオン方式となっている点に価値を感じていて、これは向こう10年のスタンダードになると言って差し支えないと思う。

金はフェンスに払った

というわけで最大の価値は新世代のフェンスの実力。

  • ブレードと水平が常に維持される
  • 位置決めが正確で固定するとき左右にズレない
  • フェンスの固定が強固

この3つは正確な加工をする上で欠かせない要素だと思うけど、これを高い次元で実現する要因となっているのは「ラック&ピニオン」によるフェンススライド方式。

特に水平維持能力は構造上そうなります」という絶対性があり、従来の原始的なスライド方式とは全く異なる。

個人的にこの方式はジョブサイトソーにおいては時代の転換点の一つであり、今後の基本形となっていくものだと思う。

残念ながら国内のマーケットにこれを取り入れたものは存在せず、今後を考えても日本の現場環境ではジョブサイトソーを求める層自体がマイノリティであり、メジャーメーカーにおいてテーブルソーの更新が行われることは金輪際ないんじゃないかと思ってる。

もし期待するとしたらSK11やパオックなんかで、海外工場で製造したお手軽なものを日本市場に供給してくれるかもしれないけど、安全性が重視される日本の市場において「DIY向けテーブルソー」という定義自体が危ういけどね。

ラックアンドピニオン方式

ラック&ピニオン方式のフェンスについて大言を壮語しまくったけど、なぜ「構造上そうなる」のか説明したい。

まず、2本のアルミフレームがインナーとアウターの組み合わせでスライドするようになっており、これが前後に備え付けられている。

このアッセンブリのアウター側にフェンスを取り付ける事で、H型の構造体がフレーム全体で広い接点を持ってスライドするので、従来の小さな接点でスライドするフェンスよりも平行を含む誤差は少なくなると考えられる。

そしてこのフレームをスライドさせるのに用いられるのがラック&ピニオン方式で、この駆動方式は、直線のラックギアと、円形のピニオンギアが噛み合って駆動するもの。

ラックギアはアウターフレームに取り付けられていて、正面のノブ=ピニオンギアを回すことでスライド移動する。

そしてピニオンギアは1本のシャフトで後方にも繋がっているため、前後のアウターフレームをギア比に従って同じ量だけ移動させることができる。

つまり

フェンスの前後が同じだけ動く


ここがポイントでありこの機構の最大のポイント。

「フェンスの平行を維持するには前後同じ量だけ動かす必要があります、だからそうなっています」と非常にシンプル。

従来の単純スライド方式のフェンスはそうなってない。前後のレールにフェンスが噛み合ってスライドするので遊びが必要。その遊びはそのまま平行の狂いとなる。

これを解消するにはとにかく剛性を高め、締め付けるときの圧力でレールと垂直に持っていくというのが有能なフェンス。


それでも移動中は水平じゃないので、狙った寸法にしても締め付けた瞬間少し動いてずれる。というのがDELTAの高級社外フェンスBIESEMEYERでも生じていた。

もっともこれは工房据え置きのキャビネットソーレベルの話なので、ジョブサイトソーでは締め付けた状態でも直角水平にはなりませんよ?もちろん調整機構もありませんよ?というのが基本のき。

適当に切る時はさほど問題にならないけど、完全に水平を出したい時は、前で後ろで何度も測ったり締め直したりして調整する手間がかっていた。

設定が正確簡単そして強固


・調整にめっちゃ時間がかかるけど固定さえ万全であれば(万全でないものが大半だけど)、十分使えていたのが従来のジョブサイトソー。

・この調整がめっちゃ楽で、固定したフェンスは微動だにしないのが新世代のジョブサイトソー。



水平維持はさっき述べた通り、位置調整はノブを回して狙った寸法に移動させるだけ、

そこで赤いレバーを締め込めば。

マジで一切動く事なくその場で固定される。このありがたみ伝わるかな。

締め込みはアウターフレームを外側に引っ張り、フレーム同士の摩擦力で止める方式。

接点が広い分、摩擦力が高いせいか一切動かない。

従来のテーブルソーは、特に後方がほぼ点で固定されるため、強い力にはどうしても弱かった。

設定が正確かつ簡単にでき、その維持が強固。ようするに無敵。

フェンス調整機構と誤差

ところでフェンスと刃の平行は本当に狂わないのか?

まあ普通に使っていれば狂うことはないと思うし、出荷時点で求める平行は出ていたけど、基本的にこの平行は調整できるようになっている。

このフェンスはこのようにフレームのネジに引っ掛けることで左右の位置が決まる。



なのでこのネジの位置を変えることで左右の調整ができる。

二つある理由は、幅広のものをカットする時フェンスをこちらに移動させる必要があるため。

フェンスがテーブル外に出る時は右側にあるガイドをクルッと回せば。

こうなって材料を受け止めてくれる。

ちなみにフェンスの直角は普通に出ていなかった。

そこはこの裏側に適当なものを直角が出るまで貼り付けてあげればいいだけの話。


そしてフェンスの縦方向の直線精度も完璧ではない。

これはまあなんというか、アルミ押し出し成形の限界じゃないかな。メーカー的に平面加工もできなくはないとは思うけど、気になればベニヤかキャストアクリルなんかを両面テープで貼れば解消できると思う。

BIESEMEYERのフェンスも狂ってたのでアクリルで調整してあるし機械ってそういうもんじゃないかな。

自分的にはそんなに問題になってないのでそのまま。

他の調整機構

まず刃の深さの調整、これはレバーを回して調整するという昔ながらの方法だけど、スムーズになんの問題もなく昇降してくれるので、特筆すべきものは何もない。

ひとつ注文をつけるとすれば、ロックレバーがあればなお良いってところ。

次に角度の調整、これも赤いレバーのロックを解除して振り回すだけ。

もちろん問題もなくスムーズに動いてくれるんだけど、やはりギアをつかった回転レバー式の調整方式の方が正確な角度は狙いやすいと思う。

動きのスムーズっぷりは完全無抵抗と言った感じでSK11を使ってた人は驚くと思う。


90度と45度の位置極めについては、それぞれ調整ねじがついていて、これを回すだけで内部の偏心プレートが回って調整が可能。

ブレードとマイターレールの平行調整も従来通り裏側のボルトを緩めることで調整が可能だけど、出荷時点で平行はバッチリだったので怖くて触っていない。

ブレードの交換については、ワンタッチの回転止めレバーがついているので交換しやすい。

天板のゆがみと修正

駆動部にいくら工夫が凝らされ、進化しても、アルミダイキャストのテーブルの歪みに進歩はない。

このテーブルソーにもはっきりと歪みがあるし、ジョブサイトソーの宿命だと思ってる。

その調整方法や付き合い方について説明しておく。

ざっくり言って全体的な歪みと、局所的な歪みがある。

全体的な歪みは天板の固定ネジの位置調整や脚の高さを変えることで対応できる。つまりアルミの天板は生物のようにフレキシブルだということ。

局所的な歪みは削るしかない、そしてこれが発生しやすい場所は個体差もあれど設計上ある程度決まっているように思われる。

写真を見ればどこを削ったかは一目瞭然だと思う。

この部分は薄くなってるので歪みやすい、正直この位置は左のマイターレールを使ってホゾ切りなんかするときにめっちゃ関わる場所なので、もうちょっとなんとかして欲しい所だった。

個体によっては歪んでないかもしれないけど、ウチのやつは見事に盛り上がっていたので削った。

凹みならパテかなんかでやりようはあったと思うけどもう削った。

何で削ったかというと直線の出た棒に120番のペーパーを貼り付けたものでネチネチ削った。

まあそれなりに細かい加工でも問題は起きないくらいにはなった。

ウォームドライブと日本の電圧について

これについて全く詳しくないんだけど素人なりの解釈で説明しておく。

ウォームドライブとはモーターからブレードまでの動力伝達を直ではなくウォームギアを使って行うので、回転数が落ちにくく高負荷に強い、ようするにトルクが強い。らしい。

あと静か。これは初めて回した時に感じたこと、動画ではSK11のものと比較してみたい。

ギアってガチャガチャすんじゃないかって思ったけど、静かでぬるっとしてて、なんか知らんけどトルクが強いんだろうなって感じ。


あとこのテーブルソーのモーターはアメリカ仕様なので120V-15A、定格出力は1800Wだ。

しかしながら日本の標準電圧は100Vなので出力は1500Wしか得られない。

その辺もウォームギアであることがトルク低下に対して何かしら有利に働くかなとも少しは思った。


本来のパワーを発揮するために手っ取り早い方法は、

家に125V 20Aまで使える100Vコンセントが無いか見つける。

見た目で区別できるように、平成初期以降のものは大体このような形をしていて、100Vエアコンのコンセントに多い。

ここに最低でも2KVAまで容量のあるアップトランス(電圧をあげる機械)を繋いで115Vの方を使う。

125V 15Aと書いてあるの普通のコンセントの場合は子ブレーカーが20Aなら動くけど基本的にダメ。

単相200Vのコンセント(ほぼエアコン用)があるなら、ダウントランス(←これは兼用)を繋いで115Vで使う。


とはいえ100Vで使っていてもパワーにおいて特に問題を感じたりはしていない。

集塵

集塵能力については普通に集塵ポートがあり、普通に集塵できると言ったところ。

うちの集塵機はしょぼしょぼのリョービVC1100、これの余ったアダプタを無理やり養生テープで巻いて使っている。

パワー不足は当然だけど、これでも無いよりかなりマシなので、マキタの410とか使ってる人ならそれなりに集塵してくれるんじゃないかな。

とは言え、下からのみ吸塵するテーブルソーで100%集塵するは不可能だと思う。

ジョブサイトソーとしての不要な能力

ジョブサイトソーとしてDEWALTとやり合ってるだけのことはあって、運搬能力については非常に考えられている。

簡単にいうと持ち運びやすい取っ手がついていて

アメリカの大工はこうやって運ぶらしい。

残念ながら自分には全く不要の機能ばかりなので、そこに製造コストを割いて欲しくないのが本音だけど "Jobsite-Saw" だから仕方ないね。

あらゆる備品も本体に収納できるようになっている。

中でもプッシュスティックは非常に取り出しがしやすく収納もしやすい。

なので自分は純正のやつを少し削ってそのまま使っている。

マイターゲージ

自分はマイターゲージをよく使う。

用途は単純な横切りから、角度切り、ホゾの胴つき加工まで。

クロスカットスレッドを作らないのかと言われれば、あれば便利だと思うけど、今のところマイターゲージで解決できることがほとんどなので作っていない。

それくらいマイターゲージを頻用するけど付属のマイターゲージはやっぱりしょぼい。

基本的にマイターバーのガタつきは写真のように、ゼロクリアランスにするための黒いリングの入ったタイプのものでないと解消することはできない。

なので自作するかこういうやつを買うしかない。

自分なら買うと思うけど、手元にデルタのこれがあったのでこれを使ってる。(ずるい)

まあこれも定盤に対して直角は出ていなかったので自分でアルミフレームの裏にテープを貼って調整している。

入手手段

ラック&ピニオン方式のフェンスは作業性を格段に上げてくれると書いてきたけど、残念ながら日本に正規代理店を通して100Vモーターを搭載して入ってくる機種は今のところ存在しない。

並行輸入品を国内事業者から買うか、eBayなどで個人輸入することになると思う。

自分は最初eBay代行のセカイモンを使って、送料見積もり済みで諸税見込んで8万ちょっとの商品を購入手続きしたけど、途中でサイズオーバーの超過送料が発生すると連絡があり、11万ちょいまで膨れ上がったのでキャンセルした。

で、結局Yahooショッピングで100,100円で買った。それが一番安かった。

自分が買った7/29はドル円133円、12/19現在は136円と大して変わらないのに、同店舗で127,700円まで膨れ上がってて正直手が出ない。

もう少ししたら下がるかもしれないけど。

現地での底値は420ドル=57,000円程度なので、どのみち日本から買うには倍近い金額を払う必要がある。

そしてぶっちゃけコスパで言えばSPT99T-001はDIYerにベストではないと思うので、他の選択肢を紹介しておく

他の選択肢と比較表

一番DIY向けで汎用性が高いと思うのは

SKIL TS6307-00

現地価格は底値350ドル=47,000円。

国内価格は送料全込み88,460円(DADOインサートプレートセット)。

SKILSAWがプロ向けでこちらのSKILはDIY向けだけど、どちらもラック&ピニオン方式のフェンスを採用していながら、天板サイズもブレードサイズもSKILモデルの方が大きくて、折りたたみ脚までついている。

なんでSKILSAWの方が高いかと言えば、モーターからの駆動方式がベルトじゃなくてウォームギアを採用している点が大きいっぽい。

実際にSKIL TS6307-00は本国レビューサイトでもめっちゃ評価が高い逸品。比較してSKILSAWは割高感が否めないとする評価が多かった。


DEWALT DWE7485

現地価格は底値283ドル=38,500円。

国内価格は送料全込み69,136円(安全メガネセット)。

アメリカの現場で最も信頼されるDEWALTがこの値段なら、国内流通製品と十分戦える。

おそらくラック&ピニオンフェンス搭載の初代だと思うけど、上のTSより一回り小さく、各種切断寸法はSKILSAW SPTとほぼ同じサイズ。

DADOは使えない。

しかし安い、前はこんなに安くなかったと思うけどなんでや。

他にもラック&ピニオンを搭載したものはDELTAやMETABOとかミルウォーキーとか色々あるけど、日本から手に入れやすいのは上の2つかな。

比較表はこんな感じ。

機種刃径切込深さテーブル奥行き縦切り幅DADO
SKILSAW
SPT99T-01
8-1/4"
210mm
66.7mm480mm635mm
SKIL
TS6307-00
10"
255mm
88.9mm570mm647.7mm
DEWALT
DWE7485
8-1/4"
210mm
65.1mm485mm622mm×
SK1110"
255mm
76mm570mm635mm不明
MAKITA
2703
10"
255mm
91mm560mm305mm
延長テーブル別途

ブレードについて

こいつのブレードサイズは8 1/4なのでmmだと210mmが適合するんだけど日本にはタマ数が少ない。

正直ブレードはアメリカAmazonなんかで買った方がいいと思う、このサイズのチップソーは送料を入れてもアメリカAmazonから買った方が安い気がする。

手っ取り早く替え刃が欲しければ、カット深さは10mm減るけどスライドマルノコ用の2mm厚以上の190mmのものを買えば良いけど、穴径の変更アダプター(20to15.88mm)が必要。

ちなみに216mmは使えないかと思いきや。使えた。でもブレードが割り刃に近くて少し怖い。

こちらはまた25.4to15.89mmに変換する別のアダプターが必要。


ちなみに普段のリップカット(縦切り)とベニヤカットにはこのDiabloの超硬ブレードを使ってる。

セカイモンで2枚セットで買った、なぜかAmazonでは買えない。

Amazonでは横切り用にIRWINのものを注文してみた(まだ来てない)

送料入れてもこんなもん、2枚買えば間違いなく日本より安い。

動画解説

動画でも是非みて欲しい。

製品リンクまとめ

とりあえず3つのテーブルソーのリンク。

SKILSAW / SPT99T-01 SKIL / TS6307 DEWALT / DWE7485

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