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ボール盤で四角い穴を開ける 角のみアタッチメントで二刀流

丸い穴は簡単だけど、四角い穴は一手間かかる。

手のみでやればいいわけだけど、この手の加工は難しいイメージが付きまとい、チャレンジを避ける人が多い気がする。

実際は超初歩的な技法だし、やり方を調べれば誰でもそこそこにできる。

ただし面倒臭いのは事実。これを一発で開ける工具がまさに角のみ。

そしてボール盤に角のみアタッチメントをつければ、動作はしっかり角のみになる。

しかしそれだけではまともに使うことはできない。その辺をクリアする方法を実践を交えながら解説する。

角のみの基本と種類

名前は知っていても趣味的に持っている人は少ないと思う。

なんせ四角い穴を開けるだけというピンポイントすぎる役割に対して値段が釣り合っていない。

だからこそボール盤にその機能を付加するのはアリよりのアリだと思う。


余談だけど自分はインパクト、丸ノコと手に入れた後、3個目に買った電動工具が角のみだ。

中橋製作所の入門機でこれを使っていくうちに角のみという機械の特性や欲しい機能が全く足りていないことに気づいた

当時SK11の激安の刃が無くて本体3万、刃が2本で1.5万くらい払ったんじゃないかな。


まず角のみと言ってもいろいろある。

おおざっぱ分ければ「建築用の角のみ」と「家具用の角のみ」と2種類だと思う。

建築用は105mm角とかの材料に機械本体をかぶせて加工するタイプ。

プレカット主流の2023年現在はかなりレアな存在だし、おそらくDIYにも最も縁遠い存在。


続いて家具用は「角のみ盤」と称されることが多く「盤」の上に材料をおいて加工するボール盤と似たような動作で加工を行うもの。

DIYerが欲しいのはほとんどこっちだよね。

ボール盤と似たような動作ということで、ボール盤を角のみ化するのが今回のメインテーマだけど。

その上で弊害となる角のみとボール盤の決定的な違いについて話したい。

ボール盤移植で問題になる角のみの特性

  • 加工負荷が特大
  • 材料を持ち上げる力も特大
  • 前後左右の移動が必須
  • 上下に長い

加工負荷が特大

特大の加工負荷はボール盤とは比にならないレベルで、刃の構造に由来する。

角のみの刃は内側のドリルと、外側の角のみの2パーツで構成される。

丸いドリルが先行し、残った部分を四角い刃が削り落とすと言う素直すぎる設計思想で作られている。

なので四角い刃による加工は基本的に100%人力入力。

刃がすくった切り屑はドリルが送り出してくれるとはいえ、直線刃のノミ4つ分の加工なのでその負荷は半端ない。

杉とかならまだしも、ホワイトオークを相手に12.7mmの加工とか結構やってたので大変だった。

材料を持ち上げる力も特大

ドリルの加工でも引き抜く時は回転させて抜かないと簡単には抜けない。

角のみはもちろん回転させられない上に、刃物でグイグイ圧迫しながら切っているので尋常じゃない圧がかかってる。

これを抜く時に問題になるのは材料側の押さえであって、正直人間の手で抑え込めるレベルではなく、バイスなどで左右からギチギチに掴む、あるいは上方向の抑えが本体に備わっているものも多い。

杉のような軟材であったり、刃が小さければなんとかなるかも。

前後左右の移動が必須

上記の理由から角のみの加工は材料の押さえが大事だということがわかってもらえたと思う。

ただ、角のみの用途は正方形の穴を開けるだけということはあまり無く、ほとんどがホゾのような長穴を開ける用途だと思う。

なので、プロ用の機械は材料を固定したままテーブルが前後左右に動く機能が備わっている。

これは加工性にめっちゃ大きな影響を与える部分なので、ボール盤で加工する場合もこの機能を組み込むことは必至。

先に紹介した自分が持ってる入門機はその機能がないという悲しみを背負っている。

上下に長い

これはボール盤に機能を付加しようとした時に問題になる。

角のみの刃は20cm~23cm程度あり、その辺の小型ボール盤だとテーブルとチャックの間に必要なものが収まらない。

前述の前後左右の移動装置の高さを考えると余計大変。

ボール盤を角のみ化する必須ツール

上にあげた角のみの特性をクリアし、ボール盤をマルチプレイヤーにするために、以下のものを用意した。

まずは角のみの動作を付与するアタッチメント。

これは取り付けサイズが色々あって、下の取り付けの項目で説明する。

次に材料の保持と移動をクリアするためのバイス。

そしてベースとなるのはアタッチメントがしっかり収まる上下の余裕のあるでかいボール盤。

ボール盤はデカさが汎用性であり、さらにモールステーパーNo.2というさらに汎用性を高める主軸テーパを持ったこいつは最強のカスタムベースと言える。

こいつのコストとパフォーマンスどれほどずば抜けているかは下の記事を見て欲しい。

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なにより上にあげたアタッチメントはこのタイプのボール盤でないと多分装着できない。使えるかどうかは以下の表を見て欲しい。

なので多くの人々が持ってるDIY用ボール盤だと使えないことが多いので、ボール盤の買い替えを検討してる人に向けての記事にはなってしまう。

アタッチメントの取り付けとセッティング

早速取り付けていくけどまずこの部分の直径が重要。

この機種の場合は55mmということで、 Amazonのここで65から55に変換するスリーブがついたものを選択する。

サイズがあれば取り付けは簡単。

さきに後ろからスリーブを差し込んで。

したから本体を差し込む。

結構キツイ。

この時アタッチメントの穴がドリルの通るラインと(なるべく)直線上に来るように設定して締め込む。


完了すれば角のみ本体を取り付け。とりあえず回転止めのノブを回して四角いノミが回らないようにする。

この時四角いノミ(箱ノミ)と中のドリルのスクイ刃が接触しないようにする。僅かに箱ノミを少し上にあげて固定すると接触しない。

一旦この状態で回してみて「シャリシャリ」と干渉音が鳴らなければOK。

ただ角のみのクオリティによってはどうしても干渉するし、どうしてもベストパフォーマンスはでない。

Amazonで流通してるSK11や海外の安いやつで、これらは四角い穴の1辺に少しスクイ刃の円弧がでてしまうとかが起きたりする。

パーフェクトなクオリティを発揮してくれるのは中橋製作所の小林式というやつ。

ただしめっちゃ高いので、よっぽどのことがない限りSK11の安いやつで済ますのが妥当かも。

価格差は実に8倍。

3,000円くらいは払うからその中間くらいのやつを用意して欲しい。

このセッティングが終われば次はバイスの設定。

クロスバイスの設定

数千円から1万円程度で買ったクロスバイスには正確な動作が期待できないので、当然のごとく修正する必要がある。

写真は0.25mmの木口テープを貼り合わせたり、受け面に厚紙を挟んだりして調整している。

これ自体はすごく簡単なもの。

角のみで使う時に修正したいポイントは以下。

  • 水平移動軸とバイス保持面の平行出し。
  • 高さの水平

フライスとして使うならもっと修正したいポイントは増えてくるけど、角のみ用途なら限定される。

誤差を把握するために、まず鉛筆をチャックして、バイスに材料を挟んで動かしてみた。

この時引かれた鉛筆のラインを測ってみると、下の写真のようにずれていた。

1.平行が1/100mm狂っている。

2.鉛筆の圧が左右で変わっていて、左が少し下がっている。

というわけでさっきみたいに修正した。

分かりにくかったら動画で確認して欲しい。

再テストして水平などが出ていればOK。というか高さはそこまで影響しないから移動軸との水平だけみれば良いかも。

加工直前のセッティング

とりあえずバイスをテーブルに置く。

今回脱着速度を考慮してクランプで固定してるけど、あまりお勧めしない。

次に角のみの刃を材料と並行にしなければならないので、まずは材料を上にはみ出させてセット。

次に材料に刃を側面から当てて、なるべく水平になるようにセット。

これで基本的な準備は完了。

加工する

それでは本番です。

硬い硬いと評判のタモを加工していく。

加工位置端っこにぴったり合わせて掘っていこう。

お次は反対側に合わせて。

そして真ん中。

残り。

端からジワジワやっていくのは良くない。

なぜなら刃が圧力に負けて逃げて曲がってしまうから。


こんな感じで加工できた。

刃がSK11の安いやつだけど、まあホゾとして使えそうな感じにはなった。

中橋製作所のノミを使えばもっと上手くいくとは思う。

後、硬い広葉樹を相手にするなら加工負荷的に8mmくらいを限界としておいた方が良さそうだ。

ボール盤のテーブルの剛性だけではなく、スピンドルにもなかなかの負荷がかかってるように感じたので。

加工自体は1〜2分でできるので手でやるよりはかなり楽だ。

というわけで興味があれば試してみて欲しい。

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