オススメ 電動工具 作り方 考え方 ジグ作り

【前編】ルーターテーブルをインサートプレートから自作する ハイコーキM12V2使用

2022年9月29日

とりあえずルーターテーブルを作ろうと思いたったはいいけど、考え始めたら盛り込みたい機能がたくさん出てきて、なんやかんやてんこ盛りのテーブルが完成した。

作業手順など感覚的なところは動画が一番わかりやすいと思うけど、図面も含めて動画では解説できていないところを書き記そうと思う。

インサートプレートに盛り込んだ機能と図面

インサートプレートはミスミで購入したアルミ10mm(5052)を使用。

盛り込んだ機能は下の写真と図面を見て貰えば大体わかると思う。

この図面はハイコーキM12V2を使う場合はそのまま転用できる。

リンクを貼ったものの、36Vのコンパクトなルーターが出てるので、こいつはルーターテーブルにする以外に使い道はないと思う。

ルーター昇降機能

写真のようにインパクトなりドリルなりを突っ込んで回せばルーターの昇降、切り込み深さの調整が盤面から可能。

是非とも盛り込みたかったこの機構はM12V2には標準搭載されていないので一工夫必要。

とは言え本体側のネジをちょいちょいと交換してやれば結構簡単にできる。

やり方は本体の項目で書く。

盤面高さ調整機能

盤面とインサートプレートの平面を一致させるには調整機構が必要。

上写真の左に高さ調整用のイモネジが仕込んであって、盤面固定ネジと一緒に回しながら調整する。

下は芋ねじをねじ込む前の写真。

このイモネジが盤面に当たって高さが変わるわけだけど、盤面側が凹んでは意味がないのでステンレスの丸棒を仕込んである。

スピードコントロール機能

この機能も盤面から操作したかったので盛り込むことにした。

この納まりっぷりはトリマービットで削っただけだけどかなり気に入ってる。

ダイヤルコントローラーは本体から取り外したわけだけど、それ自体は説明するまでもなく簡単。

それを裏に取り付けたわけだけどこんな感じ。

取り付け面をヤスリで荒らし。

コッパ材を介してボンドでベタ付け。めっちゃ適当。

ちなみに長方形穴の加工はエンドミルで、面取りはこれで行った。

ネットで探してみたけど単品だと見つからない。E-valueのセット品に入っていたもの。

インサートプレートの加工手順

印刷した図面をアルミに貼り付けるところからスタート。

これ以上に精度を出す術を自分は知らない。

貼り付けに使ったのはスプレーのり。

ポンチング

金属の加工を行う時には写真のようなオートポンチを使って10数カ所のマーキングしていく。

凹み跡をつけて、ドリルの先がずれないように導いてくれる。

これは絶対必要、写真のものはシンワ。

スポッティングドリル

シンニング加工されていない大きめのドリルを誘導するにはオートポンチの跡だけでは不足することが多い。

「ドリルの違い」の記事で少し書いたけど、鉄工用ドリルの先端は基本的に尖っていないから。

今回はスポッティングドリルというもので、本番のドリル加工の前のセンター出しを行った。

センタードリルというものを使うことが多いようだけど、なにぶん短すぎるものが多く、うちの激安ボール盤だと扱いにくいので比較的長さのあるスポッティングドリルを選択した感じ。

φ16の穴を掘る場所は結構深く掘った。

皿取り2段穴

皿ネジをねじ込むためにはこのような穴を開けたい。

今回初めて知ったんだけど、この2段穴加工は使用するネジの大きさによって専用のものが存在する。

今回使ったのはM5サイズの専用キリ。

思った以上にジャストフィットの穴が空いた。

あと、今回くらいの加工になると流石に切削オイルがあった方がいいと思う。

タッピング

タッピングとはネジ山を切る作業。

下穴もサイズが決まっているので下のようにセットになったものを買っている。

ボール盤で下穴を開けてから、手回しでねじ穴を切っていくでもいいんだけど、それだとどうしても傾斜してしまうのは宿命。

なので今回はボール盤に装着して。

手回しで切った。

このやり方はバカっぽいし面倒臭いけど、タッピング専用マシンを持っていないDIYerにとっては間違いなく正攻法。

最初数ミリだけこれで回してあとは手持ちでやってもOK。

タッピングにおいても切削オイルがあるのとないのとではスムーズさが違う。

サークルカットなど

さらにアクリルのインサートプレートを嵌め込む部分。

見ての通り少し底が荒れている。

でも深さの平均は5.2〜5.25mmとしっかり出ているので問題ないと思う。

ここに入れるアクリルは規格的に5mmだけど、実際測ったら5.17mmくらいだったのでそのような寸法にした。

手順的にはまず下のように浮島が残る状態にした。

ここで深さをしっかり出してから浮島をくり抜いた。

スピコンの穴

スピコンがはまる穴はこんな感じ。

これはテンプレートガイド用の型を作り、いつものエンドミルを使って加工。墨から少しずれてるけど指が入るように面取りしたので問題なし。

使ったのは普通の木工用ビット。

昔買ったE-Valueのセット品に入ってたもの、単品はないっぽい。

インサートのインサート

この丸いプレートはアクリル。

トリマー+プランジベース+サークルカットジグで切り抜いた。

ちなみにトリマーで加工する時はキャストというタイプのアクリルを使うこと。

アクリルにはざっくり言って「キャスト」と「押し出し」という製法があり、押し出しのアクリルは熱で溶けて残念なことになる。(ホムセンのは押し出しが多い)

ネジ穴はもちろん皿取りしてある。

アルミをどう仕上げるか?

アルミは一般的にアルマイトという表面処理で仕上げるのが基本で、これをしてない生地のアルミは一瞬でズタズタになり、そのうち腐食してくる。

アルマイトをDIYでやるためのセットはアマゾンでも買えるけど結構高い。

買うかどうかかなり迷ったけど、今回はランダムサンダーを使って、いわゆる「バイブレーション仕上げ」っぽい研磨パターンを入れて、腐食対策にシリコンスプレーを塗りたくることでDIY仕上げとすることにした。

ランダムサンダーで均質に削るにはコツがある。動画で見て欲しい。

使ったペーパーの番手は#320まで。

↓Before

↓After

作業でできた傷はほぼ全て消えたけど、買った当初の平面加工の跡が浮かび上がった。

もう少しやれば全部消えるかもしれないけど、あまりやると平面性が崩れるのでこのくらいにしておいた。

盤面の加工

盤面は反ったらお終いの精神で、硬い硬いアピトン合板24mmを2枚重ねの48mmにした。

材質

アピトンとはラワンに似た南洋系の硬い木、その合板。

他の選択肢としては針葉樹合板の24mmは手に入りやすいけど、表面が柔らかすぎて摩擦で削れてしまうため不向き。

MDFでもいいけど湿気の多い日本では反りまくるのでしっかりとした塗装が必要。

固くて狂いが少なく、綺麗なバーチ(カバ)合板が欲しかったけど、行きつけの材木屋さんではアピトンしか取れなかったのでアピトンにした。

精密なジグを作りたい人はバーチ合板がいいと思う。

最初は板とアルミフレームの幕板を組み合わせて構造体を作ろうとしたけど、ゴツくなりすぎるので、天板を48mmにして独立した構造体として成立させ、キャビネットにはほぼ載せるだけ。みたいな感じで考えた。

今のところ全く反ったりたわむ気配はない。

最初の加工

盤面サイズは450mm x 600mm で作った。

これは結構小さいので作業場に余裕があるなら600x750くらい欲しいところ。

切り出したあとアルミのプレートを落とし込むための2段開口を掘った。

アルミ10mmに対して深さは10.5mm程度とした。

トリマーのベアリングビットでやったけど、具体的な作業手順は動画で見てもらうといい。

張り合わせ

片方だけくり抜いた状態で張り合わせ。

写真のように普通の木工用ボンドをちゃんとボンド用のローラーで伸ばして貼り合わせ。まじめ。

大きい面の張り合わせは下のような便利グッズもある。

張り合わせたあとは踏みつけて。

そしてコンクリートブロックx3。

これでどこまでうまく圧力がかかるか心配だったけど、ほぼ完璧と言える感じに仕上がった。

ネジ仕込み

インサートプレートを受けるための鬼目ナットとステンレス棒を仕込む。

いうまでもなく鬼目ナットの位置は1mmでもずれるとかなりまずい。

頑張って慎重に仕込んだ。

Tスロットトラック取り付け

基本的に溝を切って仕込むだけ。

間違えないようにしたいのが、このパーツは19mm規格と30mm規格が存在していてどちらも同じ名称で販売されていることが多い。

19mm規格はTボルトを使った材料の固定に使うことが多く、こちらをTトラックと呼ぶことが多い。

30mm規格はバーを挿入してスライドさせたりする用途に使われることが多く、マイタースロットと呼ばれることが多い。

2本ある方が19mm、1本長いのが30mm。これはルーターテーブルの最も標準的な仕込み方だと思う。

19mmの方でフェンスを固定し、30mmの方はマイターゲージを使ったり、フェザーボードなんかを固定したりする。

今回用意したのは以下の通り。

サイズもこの通りで、19mmの方は2つにぶった斬って使った。

その場合ネジ穴は自分で開ける必要がある。

塗装

盤面をどう塗装するか?

摩擦があるのでウレタン系はどうしても避けたくて、結局オイルに行き着いた。

基本塗りはこいつ。

ひまを見つけてはしつこく4,5回ほど塗ったと思う。

木口にもとことん吸い込ませた。

滑りを良くするためにさらにこいつを塗った。

これを塗るとスベスベになりすぎるので床なんかには塗らないようにと注意書きがある。

木材にシリコンスプレーはちょっとアレなのでベストチョイスだったと思う。

オイルフィニッシュのやり方や考え方は以下にまとめてある。

【#01座学編】オイルフィニッシュとは?【特性・種類】

木工DIYをやってたら「オイルフィニッシュ」とか「オイル仕上げ」というワードにぶち当たると思う。そしてネットなんかで色々調べるにつれて、それ ...

続きを見る

続き

非常に長くなったので記事数を稼ぐためにも前編後編に分けることにした。

フェンスやキャビネット、本体の加工については後編でまとめる。

【後編】ルーターテーブルをインサートプレートから自作する ハイコーキM12V2使用

後編ではフェンスやキャビネット、引き出し、ルーター本体の加工についてまとめていく。 図面や盤面関係は前編で。 作業工程はぶっちぎりで動画がわ ...

続きを見る

-オススメ, 電動工具, 作り方, 考え方, ジグ作り