後編では実際に加工と組み立てまで説明していく。
寸法の決め方や考え方などは前編の記事を見てほしい。
【基礎編】トリマー1本でできる片胴付き追い入れ接ぎ【引き出しDIY】
箱物の固定で最もポピュラーで簡単な方法がこの「片胴付き追い入れ接ぎ」(覚えにくい)だと思う。引き出しの箱なんかはビス留めでも十分使えるんだけ ...
続きを見る
実際の図面
いままでの説明を踏まえてこのような図面になった。
そして実際の完成品がこちら。
ちょっとだけオシャレをした片胴付き追い入れ接ぎの発展系となっている。
この作り方を通して基本形の作り方と、より正確に作るためのコツを伝えたいと思う。
製作の流れ
まずは図面に従ってこのように材料を切り出す。
そして後は図面で決めた寸法に従ってトリマーで加工するだけ。
ではあるんだけど、それで終わってはアレなので簡単なジグを使ってより正確に加工するコツを書いていく。
製作のコツ 目じるし
今回のトリマー加工には基本墨付けは不要。
だけどどこに加工するのか、材料の方向を間違えないように目印をつけることは結構大事。
特に前後板の溝の位置は加工と反対側なので間違えやすい。
製作のコツ 側板加工ジグ
というわけで下のような加工をしていく。
今回は発展系なので溝を途中で止めるけど、基本形は最後まで通す。
側板には前後の区別があるので間違わないように。
この加工をスムーズかつ正確に行うためにこのようなジグを用意した。
ベニヤを貼り合わせただけのもの。
これを加工材にセットすれば。
131mmという寸法を守りつつ、加工の直角ガイドになってくれる。
でもこれだと左右の位置が決まらないので、同じような仕組みのガイドをフロント側に当てる。
これでフロントを基準に56.5mmという位置を出せた。
あとはしっかり固定して左右を3mmエンドミルをつけたトリマーで加工するだけ。
このようになる。
わざわざジグを作るほどの加工ではないかもしれないけど、引き出しは同じ加工を何枚もの板に行うことが多いので、1つ専用定規を作ってしまった方が正確だし、結局作業も早くなると思う。
複数ある時は刃の深さは絶対変えずに全ての加工を終えること。
実はフロントの位置出しジグは図面通りに行くと55.5mmなんだけど、わざと1mm出っぱらせるために56.5に設定してある。
製作のコツ 前後板加工ジグ
こちらの加工はオザネ側。先ほどのミゾ(メザネ)に合わせていくので比較的シビアになる。
前板と向こう板には前後の区別がないので、同じ加工でOK。
この加工で重要なのは326.5という寸法で、引き出しの横幅に関わってくる。
小数点あって難しそうに見えるけど、大事なのは寸法の厳守するというよりも、全ての引き出しを同じ寸法で作ることだと思う。
というわけでまた適当な端材でこのようなものを作る。
オモテ側が326.5mmで、裏に貼ってあるのが4mmづつ足した334.5mmの幅になっている。
これを材料にセットすると。
このように端っこがぴったり合うようにセットする。
そして次のようなベアリングつきビットで加工する。
これで下のようになる。
ちなみに加工の時の刃の深さの設定は非常大切になってくる。
必ず同じ厚みの端材などで加工してみて、先に掘った溝にしっかり入るように設定しておこう。
深さは一回設定したら絶対変えないのが基本、同じ設定で全ての材料の加工を終えてしまおう。
キツさだけど、広い面積で接着するし、抜ける方向に荷重がかかることはないのでホゾみたいにキツくする必要はない、組む時大変だし破断する恐れもある。
スッと入るが僅かに圧を感じる程度がいいと思う。もしガバガバになってもDIYだしまあボンドでなんとかなるよ。
溝は通しでカットした状態が一番弱くなるが引き出しであれば全く問題ない、でも棚とか色々な荷重がかかる家具のフレームなんかは溝をぶつ切りにしていくほど強度が出る。
製作のコツ 底板の溝加工
底板の溝加工は最後でいいと思う。
はっきり言って一番簡単な作業。
特にジグは必要なく、ただストレートガイドで加工していけばいい。
5.2mmの底板なので余裕を見て6mmビットで一発加工。
特別な事情がない限り端から端まで切り通してOK。
見ての通りめっちゃ簡単なので、自分は箱組みがビス留めであっても底板だけは溝入れすることが多い。それだけで圧倒的に強度が増すので。
やったことない人はこれだけでも真似してみてほしい。
組み立て
というわけでこんなパーツが完成した。
言ってしまえばあとはボンドを塗りつけて組み立てるだけ。
手順は自分のやりやすい方法でOKだと思う。
注意したいのは上から見た時の直角。
このような構造の場合、底板をボンドなりタッカーなりで固定することで直角がキマる。
まあ底板のミゾに遊びが少なければ固定しなくてもほぼ直角が狂うことはないけど、僕は強度的にもボンドを入れる。
底板を三方で支えるようにすれば後入れできるので組み立て時に直角を気にする必要なないけど、今回は4方かつ底板をボンドで固定してしまうので箱組みの段階で直角が狂っていたら取り返しがつかない。
まあ急ぐ必要はなく、直角を出すのはクランプで挟んでから。
こんな時もユニクランプが最高に便利。
測り方は単純に差金で測ったり。
対角線の長さを比較したりする。
測った結果このように歪んでいる。
これを修正するにはクランプの角度を変える。
クランプは加圧面と水平になろうとする。これはビスも一緒だね。
直角の調整は、クランプをかけ直して、測って、またかけ直してと繰り返すのが基本。
最終的に対角で誤差1mm以内くらいに治れば十分だと思う。
直角を出す必要がないときはこんな掛け方もできるぞ。
こんなふうに干して置けるのも便利、ユニクランプの記事も見てほしい。
パラレルクランプ、ユニクランプの違いやオススメは?【KDS・ベッセイ・トラスコ】
木工などのDIYをやる時に欠かせないクランプ。 その中でもボンド接着時のクランプとして非常に便利なのがパラレルクランプやユニクランプと呼ばれ ...
続きを見る
完成
こいつの引き出しに使った。
完成した引き出しはこんな前板がついてパーフェクトに納まった。
いきなりぶっ飛んじゃったけどスライドレールの付け方、計算なんかが知りたい人は下の記事を読んでほしい。
スライドレールの選択・取り付け・設計 徹底解説【DIYで引き出し作り】
スライドレールは初めての人でも難しくない、吊り桟形式なんかよりも簡単だ。 まず計算が簡単で、次に作り方の面でも簡単だ。 幅の設定はシビアだけ ...
続きを見る
この記事の動画バージョンと、このローボードの製作過程の動画も下に貼っておく。