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【安全対策】丸ノコを使う前に知っておきたいこと色々

2023年2月4日

丸ノコはDIY初心者が材料をまっすぐ切るために最初に触れる電動工具だと思う。

初心者であっても、ドリルドライバーなんかを買った時、ロクに使い方も調べずにとりあえず使ってみた。それで特に問題はなかった。という人は多いと思う。

でも丸ノコはちょっと気をつけた方がいい。

その辺の最低限の安全性についてまとめていきたい。

基本の安全対策

まずは当たり前すぎるけど確認しておきたいことを書いておく。


切る時は刃を回転させてから、やさしく材料に当てる。

刃を当てたままスイッチをオンにするのはどんな工具においても危険。

電子制御じゃない丸ノコなんかはモーターが急速に回転し始めるので、かなり強烈に跳ね返ると思う。


材料から刃を抜く時は回転が止まってから離す。

これもしっかり止まるまで待つ事。回転したまま変に動かすと刃が材料に干渉してこれまた吹っ飛ぶ原因になる。


安全カバーは固定しない、プロがやってても真似しない。

丸ノコの刃には樹脂のカバーが付いててこれが邪魔だと感じることもあるかもしれない。

でもこれはいざという時0.1秒くらいで刃をカバーしてくれる最終防衛システムなのでこいつは常に有効にしておいた方がいい。


巻き込まれる服は厳禁。

ヒラヒラした服、パーカーのひも、これらは回転に巻き込まれると大変なことになる。

もっと言うと手袋なんかもいざ巻き込まれた時には逆に怪我を大きくする危険がある。

キックバック

丸ノコを操作する上で最も気をつけるべきはキックバック。

キックバックは刃に一定以上の負荷がかかったとき、丸ノコが自分に向かってぶっ飛んでくる現象のことを指す。

これはチップソーと呼ばれる刃物を使う工具には共通する現象なので、知っておけば近縁の工具を扱う時の危険の予測にもつながると思う。

キックバックは死亡事故も起こしている非常に危険なアクシデントで「起こさない工夫」と、「起きた時の備え」の二つの対策が考えられる。

キックバックの二つの要因

起こさないためにも発生の機序をしっておいたほうがいい。

何らかの原因で刃が材料に止められた時、回転エネルギーがそのまま車輪運動に置き換えられて、材料の上を走ってくるのがキックバック。

ではその刃が止められる原因となるのは?ほとんどがチップソー側面への負荷。刃の切れ味はあくまで副次的な要因。


大前提として、チップソーはほとんどが直線カット専用に作られており、切れるのは先端のチップのみ。

丸ノコであれば先端チップで1.5mm少々の幅の道を切り開き、そこに薄い鉄の円盤を通していくような作業。

とにかく側面を干渉させず、いかに真っ直ぐ切り通すかが丸ノコのキックバックを防ぐコツとも言える。


なので意に反して側面に負荷をかけてしまう例をざっくり2つに分けて考えてみる。


1.ひねられて側面が圧迫される

これは先ほどの前提違反。

直線しか切れないチップソーにひねりを加えると。

このように負荷が加わる。

わずかなひねりでも音と感触が大きく変わり、ボーダーラインを超えた瞬間たちまちキックバックでぶっ飛ぶ。

これが起きやすいシーンってのはやっぱりガイドを使わずフリーハンドで切ってる時だと思う。

フリーハンドで墨線からずれそうになった時、修正しようとする力がまさにひねり

もちろんどの方向に捻っても同じように負荷がかかる。

例えば丸ノコが停止していない状態でカットラインから引き抜こうとすると非常に危険。


2.材料が刃を強く挟み込んで、側面が圧迫される

原理を知ってないと必ずやらかすのがこのパターン。


典型的な悪い例が、このように下地を組んで材料を切り落とそうとする作業。

いかにも簡単に切り落とせそうだけど、絶対に上手くいかないし危険。

図のように切ってる最中であっても材料は重みで下に垂れ下がってくる。

そして刃を強く挟み込んで、丸ノコのモーターが「もう無理です!」ってなった瞬間後ろにキックバックを起こす。


じゃあ切り落としてはいけないからと、なにも考えずにこんな下地を組んでも当然NG。

このように切った後でも材料が落ちたり動いたりしないように下地を組む事が前提となる。

そもそも角材を下地に使う事自体がイマイチなので、もっといい方法を後述する。


しかしながら、これら全てに気をつけていても予想外の負荷が生じることがある。

たとえば無垢材を縦方向に切り裂く時なんかは、刃を締め込む力が加わることが結構ある。

これは絶妙な力関係で今のカタチを保っていた無垢材の繊維を切断する事で、一瞬にして反ってしまうという事。

マジで迷惑。

無垢材を縦びきする時はこういう事が起こりうると認識しておいて、回転数の低下と負荷の上昇を感じたら丸ノコを抜いて、狭くなった所ごと切り直すのが安全。

もちろんこれじゃあ綺麗に切れないけど、そもそも無垢材は一回で狙った寸法に切ることはできない。

切る最中も切った後でも大なり小なりねじ曲がるので、マジで厳密に加工したければ1、2ミリ余裕を持ってカットして、数週間寝かせてから設計寸法にカットするなどいろんな工夫が必要になる。

カット下地に便利なスタイロ

スタイロフォームというのは軽くて凹みにくい断熱に使われる発泡性の板。

平面の作業台を用意することは安全かつ効率的な作業につながるので、下地にこれを敷くのは一般的。

加工の負荷にならない程度に柔らかく、材料を支えてくれる程度に硬い。

安価で長く使えるので最初に3x6サイズ、厚み50mmくらいのものを買っておくのがオススメ。

メーカーはなんでもいいと思うけど自分が使ってるのはカネライトフォームってやつ。


一応リンクを貼ったけどネットじゃ3x6サイズは買えないor高すぎるのでホームセンターで買うのがおすすめ。

刃の交換を怠らない

これはそのまんま。

刃の切れ味が悪くなると作業効率が悪くなるばかりか、負荷がプラスされるのでキックバックも飛躍的に起きやすくなる。

ホームセンターのレンタルなんかもたまにヤバい刃がついてることがある。

安物の丸ノコに付属してる刃も使い物にならなかったりする。

個人的にも世間でも評価が高めなのがSK11のくろシリーズ。

色々目新しいのは買ってみるんだけど、これがコスパ最強。

特に精密な造作にはくろプラスの72Pがおすすめ。

絶対ダメな作業姿勢

最後にキックバックが起きてしまった時への備え。

普段は慎重であっても、嫌な事があった日とかは乱暴な作業になりがちなのが人間。

丸ノコが自分にぶっ飛んでくる。ならばぶっ飛んでくる方向に立たない。そして人を立たせないことは非常に重要。

まず最低最悪な姿勢を一つ。

丸ノコの真後ろに太ももがある。

この体勢で太もも内側の大動脈を切った死亡事故があるらしい。

チップソーの延長線上に体を置くのはめっちゃ危ない。

丸ノコと自分の位置関係は下の図のようにしておくのが比較的安全。

こちらは危険。

丸ノコの真後ろから押す方がやりやすいので、自然に構えるとそうなってしまいがちなので要注意。

なので安全な位置に立とうとすると、材料の大きさや取り回し的に切りにくい事がある。

そういう時は台の上に登ってカットすることも多い。

あと、自分以外にも人がいる時、見学者の立ち位置も気にした方がいい。

特に丸ノコの真後ろ、左後方はぶっ飛んできやすいので危険。

安全性の高い製品を使う

丸ノコにはキックバック軽減装置が搭載されているものがある。

マキタであればAFTというシステムだけどハイエンドのハイエンドにしか搭載されていない。

ハイコーキは特に名前はないかもしれないけど(RFC?)搭載機種が多い。

自分はマキタの18Vバッテリ式HS631Dを使っていて、これにはキックバック軽減装置は搭載されていないけど、負荷に応じて回転数を電子制御してくれる電子丸ノコタイプ。

体感値だけど、先代の日立FC5MAやリョービW-1900と比較して明らかにキックバックしにくく感じる。

電子制御のもたらすわかりやすい例として、材料に刃を当てたままスイッチをオンにすると、いわゆる電気丸ノコは勢いよく回って材料を跳ね飛ばしてしまうけど、電子制御のHS631Dは負荷を感知してそもそもスタートしない。


あと、古い丸ノコなんかは設計年代の安全意識が今とはだいぶ違うし、普通にブレーキが壊れている(または無い)ものもあるので、うかつにお下がりを貰うのもいいとは思わない。

あとコードを引っ掛けて刃先がブレることなんかもドジっ子なら普通に起きる。

なので、ハイエンドの安全装置が搭載されたコードレスのバッテリタイプを買うことが製品で安全を得る近道だと思う。

いわゆるDIY向け製品はただの廉価版であることが多く、DIYerにこそ必要な安全性はプロ用にしか搭載されていないのが現実。

つまり現実は厳しい。

まっすぐ切る方法

次の記事ではまっすぐ切る方法について解説してある。

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