DIYレベルのバンドソーでもわずか数分で簡単にドリフトフリー化できて、しかも平行精度がめちゃくちゃ良かったのでその方法を解説したい。
これをやってみようと思ったのはYouTubeのコメント欄でドリフト調整についての記述があったので、需要を感じてやってみた次第。
個人的にそこまで重要なスキルとは思わないが、求めてる人はいそうだし、たしかこれをマスターしてから細かいものの挽き割りが簡単になったので、先日は9x9程度の引き出しの吊り桟なんかも切り出してみた。
いざというときに便利、それがドリフトフリー化技術。
Contents
ドリフト現象とは
そもそもドリフト現象とは、ガイドフェンスを設置して直線切りしようとしても、切断中に刃が左右にずれていってしまう(ドリフトしてしまう)現象で、バンドソーの宿命とも言える。
このドリフト現象の原因は「ガイドフェンスに対して刃が平行でない」の一言で説明可能。
つまり帯ノコ刃はちゃんとセットしたとしてもわずかに左右に傾いてるってことだ。
刃に対して斜めに材料が当たるので、直進させても刃が途中で耐えきれなくなって傾いた方向に逃げてしまう。
なので刃の角度を確認して、まっすぐ材料を当てるようにガイドフェンス側を傾けてやれば良いということになる。
ドリフト調整(フリー)の仕組み 対応機種の例
この機能を標準搭載したバンドソーはどれも10万円以上するのでDIY向きではない。
じゃあそんな高級バンドソーはどうんなふうにドリフト調整できるのかは下のお店の動画がわかりやすい。
どうだろう、え?そんなアバウトな感じで合わせるの?って思うよね。
要するに材料をフリーハンドでカットしてみて、まっすぐに切れる角度がわかったらそこでストップ。ガイドフェンスがその角度になるように調整するというのがドリフト調整のしくみ。
超簡単な自家製ドリフト調整の用意
こんなの簡単じゃない?と思ったらめちゃくちゃ簡単だった。
まずは下のようなガイドフェンスを用意した。

まっすぐな材料を2本用意して蝶ボルトで固定。受けに鬼目ナットを入れている。
というわけで下のように角度を変えられる。

でバンドソー本体にはこんなふうに付く。

適当なクランプで固定するだけ。
本当はガイドになるフェンス部分はもっと厚みがあった方がいい、さらにアルミなんかだと狂いも少なくなるのでそこはお好みで。
いざ調整 ドリフト角度のチェック
まずは直線が出てる適当な材料を引っ張り出して、毛引きで平行なラインを引く。

ラインが引けたら上にあげた動画のように(見なくてもいいけど)引いた線に沿ってフリーハンドで中腹あたりまで切っていく。


このくらい。
刃に対してまっすぐ切ることができたこの瞬間の角度が大切。このまま動かさないように角度を取っていくのでクランプなどで押さえておけば間違いない。

このように先程のガイドフェンスを合わせて角度を記憶した。
これでまっすぐ切れる角度のフェンスが完成した。
いざカット 誤差0.1mm以内
と言うわけで早速切ってみよう。

まずはしっかり設置。
超硬いタモを薄切りしてみた。厚みは35mmくらい、堅木を切るときはバンドソーの速度はやや落とし気味にするのがコツ。


見事、薄いタモができあがり。フリーハンドでは絶対できない精度だ。


ノギス計測でどの程度平行にカットできてるかを測ったんだけど、ほぼ0.1mm以内の誤差でカットできていた。
この結果は自分自身全く予想してなかったほど正確なもので、正直かなり驚いた。

格安バンドソーでもドリフトフリー化はできると言うのは知っていたけどまさかここまでとは。
最後の項目で実践動画を丸ごと載せてるのでそこで測りながらやってるのもみて欲しい。
1mmの薄板が量産可能
下の写真は最初に実験でやってみた杉の1mmカット。


バンドソーのカット面はもちろんノコ目が残るので何かしら仕上げの処置は必要だけど、杉なんかだと棒巻きペーパーでも楽勝。扇子とか作れそうだと思った。
広葉樹なんかだとバンドソーで挽き割り→プレーナーで平面加工が基本なのでプレーナー持ってたら便利だと思う。
さらにプレーナー使う場合はそこまでの精度も必要ないかもね。
誤差が出る時の原因と対処法
とはいえ何回か失敗もした。
失敗の原因は調整不足ではなく、カット中のミスだ。
一番の要因はカット中に負荷がかかって一回止まること。
この場合、再度中腹から切り始めても0.2mm強のズレが出た。そして今のところこれが唯一の失敗の要因だ。
なので対処法としては先にも述べたが、負荷がかかりそうな場合は低回転に落としてゆっくり切り進めること。さらに同じ速度で切り進めるのが上手く切るポイントとなる。
もう一つ、どうしても生じてしまうのが切り始めの誤差だ。
これは切り始めが僅かに膨らんでしまい(0.2mm程度)20〜40mm程度切り進めると定位置で切れるようになると言うもの。
これに関しては解決法がないので、それを把握しておいて、最初の30mm程度は切り捨てる前提で計画すれば問題ないと思う。
0.2mmの誤差と言うのは1mm程度で切ろうとすれば目視でわかる。逆にプレーナーでそのくらい削る想定であるならば問題にならないだろうね。
なぜこんなアバウトな調整で正確に切れるのか
と思わない?
なぜかと言うとガイドフェンスを設置する時点で、本来は平行に切るためのお膳立てはできているはずだ。
これにより刃にはガイドと平行を維持する力がかかる。
なのにドリフトしてしまうのは刃が傾きすぎてて耐えられなかったと言うだけの話、なのである程度刃の向きに合わせてあげるだけで、ドリフトさせる力は軽減されて刃はガイドと平行を維持する。
それだけ。だからアバウトでも正確に切れる。たぶんね。
使ったバンドソーについて リョービTBS-80
リョービのTBS-80は超格安のバリバリのDIYモデルだけど、速度調整の幅ととフトコロ寸法の広さで他のDIYラインの商品とは一線を画すスペックを誇る。
見ての通り正確な挽き割りもできたので気になる人は下の記事もチェックしてみて欲しい。
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動画解説
この記事は動画が先行しているので是非参考にして欲しい。
正直なところ動画の方がわかりやすいと思う。