板に脚を4本つければテーブルになるはずだけど、基本構造を知らないと意外と難しいと思う。
なので今回は、ダイニングテーブルなどの大型テーブルの、脚を外せるノックダウン方式の基本構造について書いてみる。
この構造が素晴らしい点は、ホゾ組などの加工が不要で、結構簡単に市販品と同レベルの構造が作れるというところ。
無垢材であっても天板の板接ぎなどをしない限り、電動工具は丸ノコとインパクトさえあれば可能。初心者が作る大物としてもおすすめできる。
というわけでかなり昔に作ったベーシックなホワイトオークのダイニングテーブルを引き合いに出して説明してみる。


全体構造
まずは全体構造から、構成は至ってシンプル。
上にあげたダイニングテーブルと同様の1800x800x720mmのサイズとして書いている。

このように天板と脚をそのまま接続するのではなく、幕板、そしてコーナー金具というものを介して接続する。
この幕板は天板の補強だけでなく、木の伸縮で天板が反ったりするのを止める役割も果たす。
コーナー金具は見ての通り脚の接続と取り外しを可能にする金具で、木材でも簡単に作ることができる。

脚を外すときにはこのように裏返すことになるけど、図のように幕板は天板に常に固定された状態で、脚だけが外れるようになる。
ただし注意したいのが、幕板と天板はボンドなどで接着せず、下のような駒止め金具で固定する。
これは木材の伸縮による力を逃すための接続方法で、特に無垢材で製作するときは注意したいポイントだ。

拡大すると図のような感じ。溝に差し込んで、天板にビスで固定することで幕板と接続を行う。
天板
甲板(こういた)と呼んだりもするテーブル天板。
このくらいのサイズ感(1800x800)だと、厚みは25mmは欲しいところだけどデザインによってはもっと薄くてもいいと思う。
今回は無垢材の想定だけど、決して一枚板のことを言っているわけではない。無垢材といっても大きい天板となると、板接ぎ(いたはぎ)という難易度の高い技法で何枚かジョイントして作るのが基本だ。
パインの集成材なんかもこのサイズになると結構伸縮するので同じやり方をお勧めする。
せっかくの大物なので広葉樹の無垢材なんか使ってみてもいいと思う。ネットのカット販売だと、サイズさえ入力すれば難しい板接ぎは何食わぬ顔でやってくれる。まあ高いけど。
幕板(まくいた)

さきに述べた通り、幕板は天板の補強だけでなく、木の伸縮で天板が反ったりするのを止める役割も果たす。
長手の方向は基本的に2本。短手の方向は反り止めの意味合いが強いので600mmピッチに1本は入るようにした方がいい。例えば今回は長さが1800mmあるので外2本の中2本入っているけど、1200mmくらいなら中は1本でもよいと言った感じだ。
この幕板はいわゆる「脚もの」と呼ばれる、脚のある家具を作る上で基本となる構造で、非常に応用が効く。
多くの家具において、脚は天板につけるのではなく、幕板に取り付けて、その幕板をビスや金物で天板に取り付けている場合が多い。

これはローテーブルの脚。変わった形をしているが幕板の役割を果たす部位があるのがわかると思う。この幕板をあとで天板にビスで留める。(この脚だけだとグラつくので中棚が入って補強の役割を果たす)
ノックダウン方式をとらない場合、幕板と脚はホゾ組などで完全に接合してしまう。
コーナー金具(隅木)

テーブルの裏で見かけたことがあるかもしれないコーナー金具。呼び方は他にもあると思うが、ここではコーナー金具としておく。
金具の耳が幕板に食い込むようになっているので、溝を切っておく必要があるが、これは丸ノコで十分だ。
上の写真のボルトは主流のやり方と少し違うので下の図で説明しておく。

上のリンクの写真に写っているものが使うパーツ一式。
- 金物本体
- 鬼目ナット
- ボルト
- フランジナット
まずは脚がコーナー金具に干渉しないように切り欠いておく必要がある。手鋸で切ろう。隠れる部分なので多少汚くなっても大丈夫。
次に、切り欠いた面に鬼目ナットを埋め込んでボルトを差し込む。
鬼目ナットとは、木に埋め込むことができるナットのこと。下穴を空けて六角レンチをつかって締め込む。これを入れると木にもボルトが効くようになる。

ボルトが付いたら図のようにセットして、フランジナットを取り付けて締め込む。

締め込むことで幕板の木口に脚が引き寄せられ、かなりの強度で固定が可能。グラつくこともほとんどない。

事務所にあったIKEAの家具も形状は違うが同じ構造だ。
駒止め金具

駒止め金具について解説する。
前述した通り、こいつは天板と幕板を繋ぐ金具。天板を幕板に引き寄せて反りを防ぎながら、さらに伸縮によって掛かる力も逃してくれる。
その辺の詳しいことは下の記事でも書いてるので参考にして欲しい。
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無垢材の天板は(集成材でも)湿度によって幅方向に大きく伸縮し、年月を経ていくと最終的に痩せて縮んでいく。

片側を幕板の溝に差し込んで片側をビスで天板に留める仕組みで、ひっかけて固定するイメージ。写真を見てもらうとわかると思うけど、負荷がかかった時に力が逃げるようになっている。
ちなみにこのZ型の黒いのはめちゃくちゃ使いやすくてビジュアル的にもいいんだけど、輸入商品で僕が知る限りKQLFT TOOLSさんしか取り扱ってないと思う。
取り付け方としては溝を切る必要があるが、こちらも丸ノコで加工するのがベスト。一般的な丸ノコの刃だと少しだけ幅が足りないので入らなければ2回切る必要があるが、少しキツいくらいで丁度いい。
気をつけるのは上下の位置で、天板側に少し隙間ができる位置に加工して、ビスを打ったときにしっかり吸い寄せる力が掛かるようにしよう。
ちなみにこの駒止めも木で作ることができる。(面倒だし僕はやらない)
まとめ
そんなこんなで作り上げたテーブルは冒頭にも貼ったがこんな感じになる。
ホワイトオーク無垢材の重厚感は素晴らしく、ベーシックな形だけど買ったら10万前後はする。木工家のブランド付きなら30万くらいするだろう。

これ自体は7,8年前に製作したものだが、天板自体はもっと昔のインパクトすら持ってなかった時代に材木屋さんで安く買ったもの。
最初は、ワックスで塗装したあと、無印で買った机の脚をつけてワークデスクとして活用していた。
結婚したタイミングでダイニングテーブルに改造したが、離婚したのでまたもやワークテーブルに改造した。
このように無垢のデカイ天板は一度買ってしまえばいろんな用途に使えて、生活の変化に合わせて改造していける。
削りなおせばすぐに綺麗になるし、1つの財産とも言えるかもしれない。
よい材料を使って、しっかりした構造のテーブルを作ってみるのも楽しいぞ。
無垢材に手を出す時はマルトクさんのカット販売がお勧め。
コスパの良い寸法などもあるので、初めて買う時は、下の記事も参考にしてもらった方がいいと思う。
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【無垢材】マルトクショップで安く買うコツ5選【集成材】
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