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【後編・ラタンの張り方】ラタン張り引き戸の作り方

2021年7月28日

ここでいうラタン張りは1本づつ編んでいくのではなく、編み込んでシート状態にした「ラタンシート」を丸芯を使って打ち込んでいくやり方だ。

椅子の張り替えなんかに特に需要があると思う。

今回は引き戸の面に張るのでイチから溝を掘って張っていく。

しかし溝掘りなんていう技術を使う必要は必ずしもなく、裏からテープやボンドで留めるだけで十分その魅力を楽しむことができる。

ちゃんとした作り方をしたから正しいわけではない。使い手が満足できることがDIY、そしてインテリアデザインの最も大切なところだと思う。

なので初心者向けの解説も写真付きで説明しているので【超簡単】の項目を見て欲しい。


ちゃんとした作り方はというと、今まで4枚ほど張ってようやくコツが掴めてきたので、DIY流ラタン張り術として、誰でもうまくできるように解説したい。

ラタンシートと丸芯いろいろ選び方

シートといっても本物のラタン(籐)なので問題なし。

編みパターン

かごめ編み

一番ポピュラーで人気のあるパターンだと思う。

ちょうどいい感じで向こうが透けて見えて、単純にかっこいいのでこれ以外のパターンをあまり使おうと思ったことはない。

有名な椅子なんかに使われてるのもほとんどこれかな。

四つ目編み

あまり主張のないシンプルなパターン。

こちらも隙間のある編み方で、洋服キャビネットの扉なんかにもいいかもしれない

目積編み

目が詰まった編み方で、なんかゴザっぽい感じがする。

今はほとんど使われないとネットで書いてあった。

網代(あじろ)編み

いわゆるヘリンボーンで、使う角度を工夫して使ってもいいかもしれない。

中は見せたくないけど、涼しげに見せたいキャビネットや引き出しの前板なんかにいいだろうなあ。

網目の大きさ

カゴメ編みの場合、DIYerでもパッと手に入るサイズは1/2と3/8インチとがある。

このサイズは網目のリピート一つ分の大きさを示しており「1/2inch=12.7mm」か「3/8inch=9.52mm」の違い。

厚みも違うので要注意。

結構違う。色が違うのは日焼けのせい、ラタンも焼ける。

今回は1/2を使ったけど、太い分だけかなり硬い

以前より、やたらと難しく感じたので触り比べてみたら全然違った。

初心者には3/8をお勧めする。

丸芯のサイズ

まずラタンシートは上の写真のように、溝に対して丸い棒を使って打ち込む。この棒が丸芯という材料

丸芯のサイズバリエーションは結構あって、1mmから6mm超まで0.5とか0.25ピッチでかなりある。

とはいえ悩む必要はない。

DIY流の選び方は下の通り。

  • 3/8サイズのカゴメ編みシート - 丸芯3.5mm ミゾ4mm or 丸芯4mm ミゾ5mm
  • 1/2サイズのカゴメ編みシート - 丸芯4.5〜5mm ミゾ6mm

すこし幅を持たせたのは、荷重がかかる場合とそうでない場合。

椅子などの場合はキツキツでやった方がいいけど、扉だったらぶっちゃけタッカー留めでもいいんじゃない??

ただこの丸芯はオモテ面に打ち込むのが主流で、意匠としての側面も高い。

買った場所(ネット)

DIY材料としては間違いなくマニアックな部材なので取扱店舗は多くないけど、ちゃんと誰とも話さず買えるので、コミュ障も買える。

国内入手先(高い)

メインとなる販売店は福島工業さんだけど、注意点がある。

販売ページのユーザーエクスペリエンスが底辺。なんとかしてよ。

検索ワードに「カゴメ」と入れても全部でない。ページ送りができない。売る気ない。

なので各種販売ページを以下にまとめた。

Amazonでも売ってるけどなぜか異様にシートが高い。

ブリーチと書いてある商品は高すぎるので選択肢に入らない。

ちなみにAmazonはなぜか送料が安い。色々あるんやろうな。

海外入手先 Aliex(安い)

明らかに安い。

加工も含めて原産地は東南アジアだと思うので品質に差はないと思ってる。知らんけど。

AliExpressいいよ。今回初めて買ったし、ちゃんと届くのかなーと思ったけど届いたし、物も梱包も問題なかったので一万円ほど浮いた。

ちなみに今回使った1/2inchタイプはこちらで購入。この店は1/2inタイプしか扱っていない。

というかAliではこのサイズしか見つけられていない。小さい3/8inサイズなら国内で買ってもいいかもね。

ラタンシートって幅が決まってて長さはロールだからほぼ無制限なんだけど、国内仕入れだと60cm幅からいきなり価格上がるんだよね

Aliは配送手段は選択できて、FedExだと9-14日で2000円程度。(福島さんより安い・・)

1ヶ月待つなら1,000円以下で買えるで。

買い方は英語入力あるからちょっと悩むけど、適当に買い方検索すれば色々出てくるので簡単よ。

海外入手先 Amazon

アメリカAmazonもいいかも、Aliでは丸芯が見つからなかったので。

検索する時は英語で↓

ラタンシート = Cane webbing

丸芯 = Reed spline

ちなみにships to japanと表記のあるものは全て購入可能。

カートに進んで住所情報を入れれば送料がわかるぞ。

溝加工

溝加工については前の記事を参考にしてほしい。

繰り返しになるけど、これが原因でラタン張りを諦めて欲しくないので、下の方に簡単なやりかたを書いてあると重ねて申し上げておきます。

【前編・トリマーによる曲線加工】ラタン張り引き戸の作り方

3枚引きの引き戸を作った。建具は初めてだけどまあまあ満足できてる。この記事では、いかにも難しそうな継手にまたがった曲線加工のトリマーによる攻 ...

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動画解説

結局こっちの方がわかりやすいと思う。

上にあげた座学的な内容がブログ記事の重要ポイント。

ラタンの張り方って情報少ないよね。

張り方 下準備

準備しよう。

用意するもの

  • ラタンセットとはめる枠
  • 薄いベニヤ
  • 丸芯を打ち込むため当て木(幅広と幅狭)
  • 金槌
  • 木工用ボンド
  • プチプチなど

1.ラタンセットとはめる枠

今回ラタンはプリーチしていないものを使っている。

2.薄いベニヤ

ラタンを溝に押し込むのに使うので、溝より1.5〜2mmほど薄いものが良い。

角を軽く削っておくとラタンシートを傷つけにくい。形はなんでも良い。


3.丸芯を打ち込むための当て木(幅広)

金槌で叩きまくるのでなるべく硬い木が良い。写真はウォルナット。

杉なんかで作るとバラバラになるかも。

溝に丸芯を押し込みやすいように先を狭めておく。

4.丸芯を打ち込むための当て木(幅狭)

カーブしてるところに打ち込むときにはこの幅が狭いものがあると便利。

力が伝わりやすいので入りにくいところにも○

5.金槌、ボンド、プチプチなど

金槌はなんでも良くて、ボンドも普通の木工用(タイトボンドはよくない)。

結構叩くので作業台の上にプチプチを敷いておくとなお良い。

水につける

まずは水につける、これ絶対。

お湯につけるって言う人もいるけどこれで十分。冬場だったらわかんないけど。

お風呂があったらいいんだけど、そんな贅沢品うちにはないからポリバケツ買った、ホームセンターで800円。

「蓋は大丈夫ですか?」って聞かれたけどいらないよね。

全身入ってないけど半分入ればOK。たまにひっくり返したりで15分つけたら十分だと思う。

これで抜群に柔らかくなるのと、伸びるので乾いた時にピント張る。

初めての時はバカだから水につけずにやって、張れたんだけどちょっとたるんでしまった苦い思い出がある。

張り方 本番

セッティング

軽く水を切って貼りたいものの上に置く。

適当な大きさにハサミでカット。

網目3つ4つは残した方がいいと思う。

次に貼り始めようと思ってるところに用意した薄ベニヤを打ち込んで軽く型をつける。

ここでは目じるし程度で良い。

打ち込み

続いて木工用ボンドを溝に注入。

【重要】続いて、薄ベニヤを使ってラタンを溝に押し込んでいく。

しっかり底に着くまで押し込むべし。

写真のようにラタンの端っこが垂直に立ち上がるはず。

これをちゃんとやらないと丸芯を押し込むのに結構難儀する。


いよいよ本番、丸芯を打ち込んでいく。

指でぐいと押しつけて、当て木を当ててひたすら叩く。

ラタンに押し込んだ型がついていれば比較的簡単に入る。

薄ベニヤで押し込む→丸芯を打ち込む

このサイクルを繰り返していくだけ。

カーブしているところは打ち込みにくいので幅狭の当て木を使おう。

今回は用意してなかったんだけど、幅狭の薄ベニヤを用意しておけばもっとやりやすかったと思う。

とにかく打ち込む前に薄ベニヤで奥まで押し込んでおくと言うのが一番のコツ

全部打ち込むとこんな感じ。

太鼓の打面のようにテンションがかかっている。

打ち込んでいくと自然にテンションがかかっていくので、無理にピンと張りながらやる必要もない。

また濡れた状態で多少弛んでいたとしても、乾燥することで収縮するのでおっけー。

カット

外側ギリギリいっぱいにカッターの刃を入れる。

ピロピロと取れる。

きもちい。

綺麗にカットすればこんな感じになる、勢い余って変なところ切らないようにね(切った)

綺麗に張るための始点や分割の考え

布であれ、板であれ、うまくテンションをかけて均質に張りたいときにはしばしば「対角に固定」していく方法がとられると思う。

しかしラタンは丸芯で埋めていくので一つの始点からぐるりと張っていくことになる。

初めてやる時もこのやり方だと柄がズレたりするんじゃないかなーと思ってた。

なのでこんなやり方でやってみた。

今回はこのようなやり方をした。

数字の順番に打ち込んでいったんだけど、丸芯を2つに分けるだけでほぼ対角にテンションを掛けながら張っていけるので、悪くないやり方だと思う。

初めて張ったときはこんなやり方をした。

単純にカーブつけて溝掘るのが面倒臭かったんだけど、このやり方だと非常に簡単。

【超簡単】両面テープとボンドとビスで止める方法

トリマー持ってないって人でも裏側からしっかり固定できる方法を考えてみたので参考にして欲しい。

まず貼りたいところに両面テープ。

貼ってさらにボンド。

押さえの木をビス留め。

やってみたけどめっちゃ強い。引っ張っても絶対取れない。

扉の裏から付けたりするならこのようなサンドイッチ構造で十分すぎるほど強い。

初心者でもできるはず、やってみて。

ラタンを使ったデザインいろいろ

今回の引き戸。

我ながら満足している、目隠しはしたいけど風通しも良くしたい衣類収納に最適だと思う。

北欧のミッドセンチュリーヴィンテージにはチーク材の曲線的な造形とラタンの組み合わせがめちゃくちゃ多い。(これはブラックチェリーだけど)

初めてラタンを貼ったんだけど、実は濡らさずに張ったのでテンションがかかっていない。反省はしている。

ちなみにチークもラタンもインドネシアでよく採れるんだよね。ヨーロッパのデザインムーブメントの中心的素材がアジアに集中してるって不思議。

いわゆる戦後ミッドセンチュリーモダンの時代にはインドネシアは独立を勝ち取ったばかり。

CONVENTO CHAIR コンヴェントチェア

やっぱ椅子張りかっこいいわー。

椅子作ったことないけどチャレンジしてみたいね。

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