バンドソーの活かし方を考えてたら、スプーンを作っていたので記事にしてみる。
簡単に作ろうと思えば1,2時間でできるし、完璧なすべすべを目指せば5時間くらいはかかると思う。
もし木の塊から手彫りでスプーンを切り出そうと思ったら、尋常ではない手間がかかるので参考にして欲しい。
しかしこの作業、自分との対話が捗る最高のDIYやで、ジョエルが木彫りで色々作ってた気持ちわかるわ。
製作動画
Youtubeにも製作動画をアップした。
削る様子はもちろんこっちの方がわかりやすい。あとチャンネル登録してくれたらめっちゃ嬉しい。
適した木材 樹種
そこそこ硬い広葉樹で作らないとお話にならない。ちょっとした端材ならホームセンターでも売ってないかな?
チェリーとか桜系がきめ細かくて加工も楽。初心者向きだと思う。
ウォルナットは少し硬くなるけど良い仕上がりになる。これも初心者に易しい。
メープルはめっちゃ硬くて大変だけど流石の絹肌で耐久性も高い。
ブナ(ビーチ)なんかも無印とかでよく使われてるけどいじったことはない。
楢(オーク)やタモ(アッシュ)は硬くてささくれも起こしやすいので大変だと思うけど仕上がったらかっこいいと思う。
樹種選定には下の記事も参考になるかも。
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図を用意
今回はこんな図を作ってみた。
CADで書いたけどもちろん手書きでも良い。
欲しい人がいたら実寸pdfであげるよ。ちょっと小ぶりだったけど。


それをこんなふうに、木材の2面に貼り付けた

スプレーのりで貼り付けたけど木に直接書いてもいい。
でも左右対称の加工をきちんと行おうと思ったら、手書きじゃなかなか難しいと思う。
だからデータで作ってしまえば正確だし、また作りたい時に再利用できる。
スプレーのりは77か99などのしっかりつくタイプがおすすめ。
凹面の加工
バンドソーでザクっと行きたいところだけど、先に凹んだところを掘っておいた方が作業がしやすい。

写真のように作業台にしっかり固定するのがポイント。特に両面テープを仕込めばずれない。
刃物は丸ノミ15mmを使ったけど彫刻刀でもなんでもいいと思う。でも大きさは大事。
加工に際して伝えたいことは以下の通り。
- 全方向から中心に向かって彫る
- 無理に深く彫ろうとせずに薄く彫る
- 最初が一番彫りにくく、掘り進めるごとにやりやすくなる
- 持ち手をグリグリ左右に振りながらえぐりこむのもアリ
- キワは全集中で正確に彫る
- 絶対に刃の前に手を置かない!

全方位から攻めよう。刃は両手で持って彫る。
片手で持って片手を前にとか絶対やっちゃダメ。

刃跡は残っているが、ほぼ完成というレベルまで彫った。
バンドソーで荒加工
やっとこさバンドソーの出番。
このバンドソーTBS-80をもっと使いたくてスプーンを作った。
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切る順番を間違えると困るので注意。
まずはこの方向からラインに沿ってカットする。


こうなる。
そして次は表に向けてカット。


9割ほどの不要な体積がバンドソーで削ぎ落とされ、すでにスプーンの機能を有している。
数千年前はこのようなスプーンも盛んに使われただろう。
ひたすら手加工
まだ角はバリバリに立っているので、ベルトディスクサンダーなんかで丸めていくと早い。
なければ全部手動だ、今回めっちゃ使えると思ったのはオルファのゴツめのカッター。
ナイフなんかなくてもいける。さらにスクレーパー的な使い方もできて、これがめちゃくちゃ役に立った。

棒巻きペーパーも使える。#80〜120くらい。

途中経過。

ある程度の整形が完了し、荒いポリゴンみたいになっている。
これを細かいポリゴンにしていくんだけど、この加工でオルファが大活躍してくれた。
二つの動きで攻めて行ったんだけど、ひとつ目が皮むきナイフのような動作。

これはポリゴンの角が大き目の時の動作で、薄皮を削って整形できる。
皮むきでさらに細かくなった角を、スクレーピングで滑らかにしていく。

これは刃がしなるという特性が大いに役に立ってくれた、シャーシャーといった感じでスピーディーに削ることができて、非常に滑らかな面が得られる。
斬りつける動きにならないので安全性も高い。
整形がほぼ完了したら#120程度のぺーパーで磨いた。

そしてこんな感じになった。

外面はほぼ完了なので中を攻めていく。
中の仕上げ加工

凹んだ部分の整形は最初にほぼ完了してるんだけど、今回は滑らかさを目指しているのでペーパーで磨き上げるしかない。
内側を効率的に研磨する方法は結構試行錯誤した。
指でジョリジョリ地道にやってもできるけど、せっかちDIYなので均一かつ高速で加工したい。

インパクトの先に何かをつける方法とかも考えたけど行き着いたのはこれ。
使って柔らかくなった#180と240のペーパーで、ウェスで作った団子を包んだ。
あとはこれを高速でグルグルする。
みるみるうちに滑らかになっていく。めっちゃ早かった。
しかも縁のエッジをあまり丸めない。
仕上げに棒巻きペーパーに表面を擦り付けてほぼフィニッシュ。

このあと#240で全体を整えた。
食器の塗装に適したオイル
僕はリボスのアルドボスを使った。
食器に塗ったことがなかったので調べてみたけど、オッケーだった。

自信満々に言い切る感じかっこいい。
天然塗料にありがちなアレルギー対策も万全なのがリボス。さすがリボス。
リボスはドイツのメーカーで、ドイツは塗料の安全基準は世界一。
日本のメーカーは全然追いつけてない、まあそれは基準の有無の問題だけど。
完成



メープルの絹のような木肌が映えるスープンができた。
色が濃い方はブラックチェリーで試作1号機だ。
実はこれが人生で初めて作ったスプーンなので、全然人に教えれるようなレベルじゃないんだけど結構綺麗にできた。
事前の勉強と準備と作戦をしっかり練って当たれば良い成果物ができる。
それがDIY。