穴あけは奥が深すぎる。
まっすぐに穴を開ける。という加工は、もはや一つの「道」とも言えるかもしれない。
先人の工夫で、ボール盤や、市販のドリルガイドなんかを使わずに真っ直ぐ穴を開ける手段はたくさん考えられてきた。
今回は、自分が普段使いする方法から、アイデアや知識として知っている方法も含め、実際に試しながら考察を含めた解説記事にしていこうと思う。
ボール盤を持っていない人はもちろん、あっても使えないシーンなんかでもきっと役に立つ。かもしれない。
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LV.1 端材ガイド

めちゃくちゃ簡単にできて、ボチボチの精度だけど、フリーハンドと比較すると雲泥の差なのがこのやり方。
角材を2本ずらして繋いだだけ。なんだったら握り込むだけでも無いよりマシ。(ただしドリルが当たる面が直角かどうかは見た方がいい。)
穴の深さによるけど、この手のガイドはドリルの長さがある程度ないと加工可能範囲が狭くなる。
でも、どんなサイズでも対応できて準備も簡単なので、一番使い勝手がいいかもしれない。
ネットで調べてみると、L型やT型に組んだりするパターンをよく見かける。
でも写真の組み方の方が握って保持がしやすいし、細長い面にも合わせやすいと思っている。

そもそも作るのがめっちゃ楽。
底にサンドペーパーなんか貼り付けると滑り止めになって、連続作業がめっちゃ早くなる。
ちなみに、ドリルの側面がガイドを削りそうに見えるけど、実際は刃になっていないので(あまり)削れない。
LV.2 ミラーを使う
CDの中身はなんでも良い、TMレボリューションでもいい。普通の鏡でも良い。

どのくらい慎重にやるか、それ次第でそこそこ真っ直ぐ開けられるのがこの方法。
そもそもフリーハンドで穴を開ける時、直角にドリルが当たっているのかどうかを確認する術がない。
鏡を使う事で、それを確認することができ、自分が直角だと思い込んでいたポジションが、すごく斜めになっていたことを思い知らされる。
この方法は知ってたけど、実際やってみたのは初めて。(ちなみにWood Magazine っていうサイトで知った。英語が苦手でも絵が多くて楽しい)
で、実際にやってみると下のような気付きがあった。
まず、鏡自体は物理的なガイドにはならないので、コントロールが非常に重要。
なので先ネジビットよりも、先三角か竹用ドリルみたいに、コントロールしやすい形状の方が相性がいいように思う。
少し進めては、見る角度を少し左右に振って、とやっていくと結構正確に加工できる。
ただし、ある程度大きい穴になってくると負荷が大きく、これまたコントロールしにくい。
その場合は次のような方法がいいと思う。
LV.3 ミラーと下穴を使う
細い穴であれば、その気になれば結構正確。
なので細い穴をガイドに使う。
この方法は、ボアビットのように本体が短くて、真っ直ぐ掘りにくいドリルにも向いている。
尖った先っぽが、抵抗のない空洞に誘導されるので、ほぼ下穴と同じルートで穴あけができる。
下穴の径は2mm〜3mmくらいのドリルがいいと思う。

大きすぎると、本番の入り口が定まらず、ケガキ刃が暴れやすくなってしまう。
こちらも本番のドリルは先三角形状でゆっくり進める方ががよい。
試しに先ネジタイプで一気に開けてみると、下穴を無視してあらぬ方向に行ってしまった。
とはいえ、ミラーを使ったやり方自体、仕上がりに個人差の出やすい方法だ。
ものづくりにおいて、技術を磨くのも重要かもしれないけど、DIYだって小さな産業革命の繰り返し。
より簡単に、より正確で均質な加工を行うための工夫はたくさんある。
LV.4 卍ガイドを作る
卍じゃないけど卍っぽい雰囲気なのでこう呼んでおく。

このガイドになれば、ドリルの4方をガイドするのでほぼブレないし、誤差もかなり少なくなると思う。
ただし、ドリル径に合わせてピッタリ作るのは結構難しい。
よく見ると接合部に隙間があるのがわかると思う。

これはまず、上のパーツと下のパーツに分けて作って、わざと隙間が開くようにした。
で、現物のドリルを挟んで、ビスを斜めに打って引き寄せることでギチギチになるようにした。
ただし、作るのが難しい割には、1サイズのドリルしか使えないし、このやり方は個人的にどうも微妙だと思った。
このあたりを改良すると次のようになる。
LV.5 2枚ガイドを作る
こちらをちゃんと作れば、複数サイズの穴に対応したドリルガイドを作ることができる。
ボール盤がない人にとっては結構優秀な働きをしそう。

穴を開けたベニヤ板2枚で角材をサンドイッチしたもの。

2枚の穴の位置がズレるとガイドの意味をなさないので、1つの角を基準点とし、直角を出し、全作業を写真のようなガイドをあてがって加工した。

詳細な説明はブログだと難しいので、動画を見て欲しい。
長持ちさせるには、せめて硬いラワンベニヤなんかでやった方がいいかも。
ボール盤を持っているけど、サイズ的に使えないシーンで垂直に穴を開けたいと思ったなら、こんなものを作ると手っ取り早い。

ボール盤で穴を開けただけ.
木材なので消耗品だけど、ほぼ市販のドリルガイドだ。
どちらにしても、ドリルは暴れにくい先三角系を使うほうがジグが長持ちすると思う。
ガイドに使ってるのはこれ↓
長らく眠ってたけど、最近めっちゃ使うようになった。
LV.6(チート) プランジベースを使う

ボール盤を持つのが先か、プランジベースを持つのが先か。
というか、ボール盤を持っていたとしても、大きな板への穴あけはプランジルータが活躍してくれると思う。
中心の出し方、深さが限定される、対応する穴径が限られるなどの弱点はあるけど、直角精度はショボいボール盤より出ると思う。
注意点として、底刃のついた底切りビットかエンドミルなどを使う必要がある。

左は中心に刃がないのでダメ。右はOK。
このように全てのビットが真上からの切り込みに対応しているわけではない。
あと、当然ながらトリマールータービットは横方向にも加工できてしまうので、左右の動きを完全に止めてしまう必要がある。
自分の場合はこのようなサークルカットジグを使う。

コイツごとクランプしてしまえば動かない。

さらにセンターを出すには、材料側に直角の十字線を引く必要があるけど、ジグ側にも基準点を入れているので合わせることができる。
ただしこの合わせ方だと、最大±1mm程度の結構大きい誤差を見込む必要がある。
さらに正確に加工するなら、このような先の尖ったビットで位置合わせをしてから本番のビットに変えるなどの工夫が必要。

他にも、ベースの開口円にぴったり合う、アクリルのプレートを用意するなど、いろんなやり方が考えられるけど、なにぶん手間がかかる。
そこまでして正確さを求めるならの話。
加工面の美しさは抜群。見せる2段穴とかにも最適。
番外 両側から正確に穴を開ける
実際、完璧な垂直穴を加工するのはとても難しい。
しかし、角度うんぬん以上に、出口と入り口の位置関係を重視して合わせたい時もある。
そう言う時は片側から開けるのでは無く、両側に正確な加工位置をマーキングし、上にあげたような方法で、半分半分に掘り進めるのがベターだと思う。
折り畳み家具の回転部とか、シャフトさえ通ってしまえば、穴の中の角度が多少ズレていても、出入り口が正確な方がうまく可動すると思う。
例えばダボ接合だって、双方の角度の和が180°になるならば少し角度がついてても問題ないし、むしろ両方直角よりも強いかもしれない。(知らんけど)
いつも直角が必須の絶対正義とも限らない。
いつなん時でも、DIYはケースバーケースだと思う。
動画解説
この記事はぶっちゃけ動画の方がわかりやすい。なんでもそうかもしれない。
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