平成8年の日立のスライド丸鋸があまりにズタボロになってきたので、リョービ TSS-192という丸ノコを買った。
ハイエンドがすげえ誘惑してきたけど、自分にあったスライド丸鋸が買えたと思う。
新調に際していろいろ調べたり、触りに行ったりして集めに集めた各種情報をここにまとめたい。
いろんな比較サイトではハイエンドも混じった比較が多かったので、DIYユースに厳選して紹介したいと思う。

昔大工さんにもらった平成8年のスライド丸ノコ。もらった時からズタボロ。
Contents
スライド丸ノコ選びの予備知識
買おうかどうか悩んでる人は、スライド丸ノコとはなんぞやと知識を求めてるだろうから、僕的に知っておいた方が良さそうな情報をまとめてみる。
スライド丸ノコと卓上丸ノコ(切断機)は違う
まずは予備知識として、似たような姿で勘違いしがちだが、この両者は違うもの。
何が違うかと言えば切断できる幅が違う。
なぜ違うかと言えば、卓上丸ノコは上から下にチップソーを振り下ろすだけ。
スライド丸鋸は、振り下ろした後にスライドするので、広い幅が切れる。

卓上丸鋸は結構安いし、軽量で機動力もあるので広い幅を切らないなら十分だけど、120mmくらいしか切れないので、スライド丸ノコと比べるとちょっとストレスが多いと思う。
スライド丸ノコのチップソーの標準サイズは190mm

チップソーのサイズが大きくなると切断の深さが大きくなる。あと直線の切断面の精度が出やすい。
190mmだと大体50mm以上は切れるのであまり問題は出ないだろう。なのでDIY向けのラインは190mm用のものがほとんどだ。
デカければ良いかというとそういうわけでもなく、本体もデカくなるし、なによりチップソーの値段が跳ね上がる(種類も少ない)。
逆にその辺が気にならなければデカければデカいほどいいと思う。

対応のノコ刃のサイズでガタイもだいぶ変わってくる。(左190mm、右225mm)
作業場で使うなら充電式はネックになりうる
スライド丸ノコを買おうとするDIYerなら、マキタかハイコーキのバッテリを複数持っているという人も多いだろう。
DIYユースであってもハイエンドに手を出すのは、資金さえあればお勧めできるが、充電式となれば話が違う。
電源の確保が難しい現場で作業するなら大いに価値があるが、作業場に据え置きの機械を充電式にしてしまうと、充電の手間が増えるだけ。
18Vで190mmのチップソーを回すなら2本挿しになるし、無駄にバッテリをとられてしまう。
マキタの18V互換バッテリーを買って使ってみた感想と選び方の記事
ハイエンドだと何ができるか?
5万円以下がDIYモデルとすればハイエンドは8万以上が相場となる。上乗せ価格で何が変わるのか?
マキタのACタイプのLS0717FLはまもなく10年選手になろうというお年頃で、ハイコーキのC7RSHDに設計の新しさで押されているため、ハイエンドとなるとハイコーキ一択と思われる。
というわけで下はC7RSHDの主な特徴。
- 右45度傾斜が可能 - 左45°傾斜はDIYモデルも大体搭載しているが右傾斜も対応している。
- 傾斜角微調整機能 - ダイヤル方式で微調整が可能。
- コンパクト化 - スライドパイプが後ろに出っ張らないなど、現場での作業性が改善されている。
- レーザーマーカー - レーザーによる切断位置を確認できる。
- LEDライト - 手元が照らせる
- 静音性が高い、駆動が滑らか。etc.
ざっとこんな感じだけど、これらの機能が必要かと言われれると、ぶっちゃけ僕には必要ない。
初めてのスライド丸ノコ候補は限られる
というわけでDIYに必要十分な機能を考えると、選択肢は限られてくる。
そもそもDIYモデルのラインナップは少ない。
参考になれば幸いだ。
ハイコーキ FC7FSB
Amazonにて5/31現在42,000円。
ハイコーキ唯一のDIYモデルで3つの中では最も古い日立時代の製品。
ハイエンドに搭載されてる右側のスライド方式はまだ採用されておらず、シンプルなスライド機構はウチにある25年前のものと同様。
なのでスライド時に、後ろに思いっきり飛び出すためその奥行きがネックになる。
ただし長年のノウハウが詰め込まれた1段スライド方式は精度の面で信頼性が高いと思われる。
ハイコーキ FC7FSB | |
Amazon価格(2021/5) | 42,000円 |
発売年(当ブログ調べ) | 2011年 |
本体重量 | 11kg |
本体寸法(最大時) | 奥行き945mm 幅405mm 高さ420mm |
のこ刃直径 | 190mm |
切断寸法(幅) | 305mm |
切断寸法(高さ) | 50mm(305mmカット時) |
テーブル回転角度 | 左45° 右57° |
傾斜切断角度 | 左45° 右5° |
回転数 | 6000min-1 |
集塵機接続 | 可能 |
スライド方式 | 1段 |
レーザーマーカー | なし |
定格電流 | 11.0A |
消費電力 | 1050W |
マキタ M244
Amazonにて5/31現在42,000円、ハイコーキとほぼ同世代でほぼ同額。
ハイコーキとの主な違いはマキタ特有の2段スライドが搭載されている点(最新のものとは少し違うが)。
これによってスライド丸鋸のネックだった奥行きが、カタログ数値でなんと670mm!いやこれ収納寸法じゃないか?そう思ってこっそり店で測ってみた。
奥までスライドさせて測ってみると875mm。この辺の数値を比較材料にする人もいるだろうから、表記のルールはメーカー間で統一してほしい。
マキタに関してはこの辺は狙ってやっているんじゃないかと思ってる。40Vmaxという詐欺表記しかり。
また、2段スライド方式については意見が分かれるところだが、スライドの変わり目で確かにコツンと当たる感覚がある。
パイプの長さが短い分だけたわみが減るとも言えるし、可動部位が増えることでガタつきが増えるとも言える。
正直わからん。
マキタ M244 | |
Amazon価格(2021/5) | 42,000円 |
発売年(当ブログ調べ) | 2012年 |
本体重量 | 12.3kg |
本体寸法(最大時) | 奥行き |
のこ刃直径 | 190mm |
切断寸法(幅) | 312mm |
切断寸法(高さ) | 50mm(312mmカット時) |
テーブル回転角度 | 左45° 右57° |
傾斜切断角度 | 左45° 右5° |
回転数 | 6000min-1 |
集塵機接続 | 可能 |
スライド方式 | 2段 |
レーザーマーカー | なし |
定格電流 | 11.0A |
消費電力 | 1050W |
リョービ TSS-192
Amazonにて5/31現在35,000円と3者の中で群を抜いて安い。そして発売が新しい。
ハイコーキとマキタにスペック的な違いがほとんどない中で、こちらには明確な違いがある。
まずは幅の切断寸法が両者は305mm以上と1尺切りができるのに対して、こちらは220mmしか切れない。
1尺切りは一般的な複合フローリングの寸法で、床張りを仕事にする人には必須。同じく右傾斜5°も床貼りで使うカットだ。
僕は1尺の床は貼らないし、貼っても120mm程度の無垢フローリングを使うことが多いし、面倒くさいので5°傾斜も使わない。
これに伴って奥行きが短く、重量が軽く機動力に優れている。個人的には作業場が狭く、スライド丸ノコを出し入れする必要があったため、ここが結構重要だった。

あとハイエンドにしか許されないレーザーマーカーがついている。
レーザーマーカー自体は精密な加工をするときには使うものではないが、大量の加工をザクザクやるときには一気に効率を上げてくれる。
調整も3次元的にできる。
リョービ TSS-192 | |
Amazon価格(2021/5) | 35,000円 |
発売年(当ブログ調べ) | 2017年 |
本体重量 | 10.5kg |
本体寸法(最大時) | 奥行き750mm 幅420mm 高さ480mm |
のこ刃直径 | 190mm |
切断寸法(幅) | 220mm |
切断寸法(高さ) | 51mm(220mmカット時) |
テーブル回転角度 | 左47° 右47° |
傾斜切断角度 | 左45° 右なし |
回転数 | 5000min-1 |
集塵機接続 | 可能 |
スライド方式 | 1段 |
レーザーマーカー | あり |
定格電流 | 11.6A |
消費電力 | 1100W |
こいつは実際使っているので、調整法含めてレビュー&HOW TOの記事を書いてるので気になったらみて欲しい↓
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リョービ(京セラ)スライド丸鋸 TSS-192【レビュー&マキタハイコーキ比較】
この記事で、はDIYラインのスライド丸ノコ三闘神の一角をになう「リョービ(京セラ)TSS-192」のレビューと、初回調整でやった事全てを書い ...
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おまけ 髙儀 SM-190A
Amazonにて5/31現在、驚愕の21,500円。
スペック的にはほぼハイコーキマキタのものと変わらない。
調べてみると髙儀という会社は、金物屋を前身にその歴史は古く、戦前より大工道具の製造を開始し、90年代には電動工具のブランドも立ち上げていたらしい。
戦前からモーターを作っていたマキタなどと比べるとその歴史は浅いかもしれないが、事業所も全国にあり、サポート体制も悪くないようだ。
スライド丸ノコという複雑な可動域を持つ機械を製造するにはそれなりのノウハウが必要と思われるが、正直リョービじゃなかったらこっちでもよかったと思ってる。
3者のスペックの比較
ハイコーキ FC7FSB | マキタ M244 | リョービ TSS-192 | |
Amazon価格(2021/5) | 42,000円 | 42,000円 | 35,000円 |
発売年(当ブログ調べ) | 2011年 | 2012年 | 2017年 |
本体重量 | 11kg | 12.3kg | 10.5kg |
本体寸法(最大時) | 奥行き945mm 幅405mm 高さ420mm | 奥行き | 奥行き750mm 幅420mm 高さ480mm |
のこ刃直径 | 190mm | 190mm | 190mm |
切断寸法(幅) | 305mm | 312mm | 220mm |
切断寸法(高さ) | 50mm(305mmカット時) | 50mm(312mmカット時) | 51mm(220mmカット時) |
テーブル回転角度 | 左45° 右57° | 左45° 右57° | 左47° 右47° |
傾斜切断角度 | 左45° 右5° | 左45° 右5° | 左45° 右なし |
回転数 | 6000min-1 | 6000min-1 | 5000min-1 |
集塵機接続 | 可能 | 可能 | 可能 |
スライド方式 | 1段 | 2段 | 1段 |
レーザーマーカー | なし | なし | あり |
定格電流 | 11.0A | 11.0A | 11.6A |
消費電力 | 1050W | 1050W | 1100W |
というわけで全ての比較表。打つの面倒くさかった。
注目ポイントにはマーカーをつけておいた。
マキタかハイコーキかの違いはなかなか難しいが、床を貼る仕事をしてないなら個人的にはリョービのTSS-192をオススメしたい。
てかコンパクトでレーザーついてるし、大工でも現場用にかなり使えると思う。
加工精度の議論には果てがないが、スライド丸ノコはハイコーキが強いという意見が多めかもしれない。
しかしマキタもリョービも非常に優秀な国産メーカーであって、DIY使いでその精度の違いを感じ取るのは難しいんじゃないかな。(ちなみにハイコーキは日立グループを外れて今は外資系)
あと、こんなことを言うと元も子もないが、僕はスライド丸鋸には荒加工だけで大した精度を求めてなかった。
可動部位が多いという構造上、左右のブレが発生する可能性が高いし、精密加工はテーブルソーに限ると思っていた。
しかしながら新しい相棒は思った以上に精度が高く、ホゾの胴突きとか切れるんじゃないかと思えた。
以上、また今度リョービのTSS-192のレビュー記事も上げたいと思う。
それではよいスライド丸ノコを。
その他電動工具の選択基準
あらゆる電動工具の特性や選び方について自分の知識と体験に基づいて徹底的に解説している。よかったら見てもらえると良い
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【まとめ】DIY電動工具の選び方徹底解説&おすすめ品・マキタ・ハイコーキ・リョービetc.
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