速乾ボンドとは、主に面と面を非常に強力かつスピーディーに貼り合わせてくれるボンドで、メラミンやポリ、突き板などの化粧板を貼り合わせるのが主な用途。
その名の通り初期接着能力が非常に強く、負荷がかかるものでもない限りクランプなどの仮押さえが不要。
化粧板以外にも、キッチンにステンレスを貼るとか、ランバーコアで作った家具の天板の縁材(フチザイ)など、木口に材料を貼ったりするのにも使える。
内装の現場では結構使われるすごく便利なボンドだけど、使い方も特殊で、DIY界隈ではあまり知られていないので解説してみようと思う。
知ってるとめっちゃ便利、あなたのDIY作品に使われるビスが減る。
Contents
具体的に何ができるのか
やりかたの前に、いったい何ができるかわからないとやる気も出ないと思うので、使用例とともに貼っておく。
メラミン化粧板・ポリ合板・突き板合板など化粧板の貼り付け
この辺はホームセンターではあまり売ってないけど、ある程度ハマってるDIYマンは知ってるだろう。
ポリ合板は主に厚み2.5mmで大きめのホームセンターで売ってる。(プリント合板は別物)
メラミン化粧板は「アイカ」という看板を出してる建材屋か材木屋じゃないと買えない。
突き板合板は材木屋さんでも扱ってないところが多い。僕はGIFUというネットショップで買ってる。(1枚だと送料が高いのがネック)
Gボンドで貼れるのは「突き板合板」というタイプで下の記事に詳しく書いてある。
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下は組み立て屋台の天板。
針葉樹合板24mmの上にポリ合板を貼ったものだが、木口は剥き出しでも十分耐水性は高まる。合板の断面を見せるのもオシャレだと思ってる。
この写真は昔自分用に作ったデスクで、天板は同じく24mmの針葉樹合板に、2.5mmの突き板合板を貼ってある。
こちらは天板にメラミン化粧板を貼ってある。
落とし込むような形状にすることで、木口を隠してある。
これはとある店舗の床の段差部分で、「上がりかまち」とか言われる部分のステンレス。
なんとこれもGボンドで貼り付けてある。
板なら鉄でもなんでも貼り付くがいいところ。
同じ要領でキッチンの天板のステンレスを自分で貼ったこともある。
板貼り造作
面で強力に接着するGボンドは板貼りなんかも可能。
この写真のチェストは、天板をメラミン、引き出しの前板が板貼りになっている。
これはオークのフローリング材が余ったものをベニヤにGボンドで貼り付けて、それをカットすることで引き出しの前板にした。とってはまだついてない状態。
これはとあるオフィスの壁の板貼り。
業務時間中に施工する必要があったので、現場で切ってベタベタ貼るわけにはいかないので下のようにベニヤに貼り付けてカットして持っていった。
取り付けは1時間ほど。
はみ出てるベニヤが下地。あとでカットしてから現場に持っていった。
下のような貼りパターンなんかも速乾で可能
木口の縁材などの貼り付け
化粧板などをGボンドで貼ると面はしっかり仕上がるが、木口はやっぱり断面が目立つ。
ならば木口にもGボンドで何か貼ってやればいい。
さっきも載せた写真だけど、天板の木口の縁材としてブラックチェリーの無垢材が貼ってある。
実はこれもGボンドによる速乾固定。
というわけで、この家具一つ作るのにめちゃくちゃGボンドが活躍していることがわかってもらえると思う。
まさに万能。
これはタイル貼り予定の造作キッチン。木口は合板を重ね貼りしてて、さらにタイルが乗るので絶対隠すべき場所。
そこもGボンド先生の活躍でこんな感じで縁材をまわせた。木はヤマザクラ。
ランバーコアのカウンターの断面にもこんなふうに加工したタモを取付け。これだけでイメージが全然違う。
具体的な貼り手順
それでは具体的なやり方の解説をしていく。
速乾ボンドは一般のボンドと使い方がまったく違うので注意されたし。
必要なもの
- 速乾ボンド G10Z
- 竹ブラシ
- 薄ベニヤのかけら
- ゴムハンマーなど
Gボンドは非常に粘度が高いので、塗装用の刷毛などでは代用不可。
希釈することで塗れなくもないが素直に竹ブラシを買った方が良い。100円くらいなので使い捨てでも良い。シンナーで洗えばリサイクルできる。
薄ベニヤのかけらはなんでもいい。実は広い面を塗るのに非常に有効。
広い面の接着の場合はゴムハンマーは必ず必要だが、狭い面に縁材などを接着するときは、正直手でグイグイ押し付けるだけでも十分だったりする。
ちなみにGボンドにはいくつか種類があるが、木工ではこのG10Zがメイン。というか僕はこれしか使ったことがない。
手順 - 塗り工程
まずは塗りたい面に直接落とそう。
次に塗り広げる。
速乾ボンドは広げる際に外気に触れて、急速に粘度が高まっていくので素早く作業しよう。
広い面だと下の写真のようなベニヤの板切れを使うほうが、圧倒的に塗り伸ばしやすい。
動画のように竹ブラシを使っても良いが、少しダマになりやすいので、最近はいつもこの方法でやっている。
写真ではポリ合板を使っているが、ただのベニヤでよい。薄い方がしなりが効いて塗りやすい。
こんな感じで塗り伸ばした。
続いて相手方の材料にも塗っていく。
撮影用ににブラシで塗ってみたものの、やはりベニヤの方が塗りやすかった。
ブラシが役立つのは木口などの狭い部分や、小さいパーツに塗る時だけかもしれない。
手順 - 待ち工程
速乾ボンドが他のボンドと違うところはここ。
ボンドを貼り合わせる材料2枚に塗ったあと、一定の乾燥時間をおいてから貼り付ける。
すると驚くべき接着性能が得られるという算段。
メーカーによってこの期間は「貼り合わせ可能時間の目安」として明示されている。
- 冬(5℃) - 10-20分
- 春秋(20℃) - 10-30分
- 夏(30℃) - 5-40分
職人さんは「タバコ2本分や」とか言ってたけど、指で触ってなんとなくベタつかなくなってきたら十分。
ダマになってるところはまだ手につくだろうけど、それくらい問題ない。
この感覚はやって実感するしかない。ビビらなくても大丈夫、大体くっついてくれる。
手順 - 貼り合わせ工程
この瞬間がすこし緊張するポイント。
初期接着力がめちゃくちゃ強いので、合わせたらまず剥がれない。ずれても修正は不可能。
写真のように貼り合わせ面に角材か何かを挟んで、全ての面が接することのないようにして作業しよう。
とはいえ、貼り合わせの際は必ず少しずれるので、大きめに作ってあとでカットするなど、余裕を持った設計が大切。
下地のサイズがすでにカット済みだったりする場合は、貼る材料だけを大きめに貼って、トリマーのベアリング付ストレートビットを使って、倣い加工の要領ではみ出した分を落とせば良い。
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位置が決まって貼り合わせたそのあとは、しっかり叩く。
写真は悪い例。
板を当ててゴムハンマーで叩くべし。
しかしながら「貼った瞬間剥がれない」というくらい強度があるので、スキマが関係ないような場面では軽く叩いたり押さえたりするだけでも十分だったりする。
ようはケースバイケース。
僕の場合、化粧板の貼り付けで、木口を見せっぱなしにする場合なんかは、端っこは徹底的に叩くし、時には圧着のためにクランプで順番に押さえていったりする。
完成
完成したら使用サイズに合わせてカット。
基本的に乾燥を待ったりせずに、すぐ次の作業に入って問題ない。
はみ出した部分などはシンナーで拭けば取れるので、そこもあまり神経質になる必要はない。
動画解説
まとめ
速乾ボンドは非常に使える有用な手段だ。
初めてのチャレンジには突き板のダイニングテーブルなんか作ってみてもいいかも。
縁材に同じ木の無垢材を使えば、ぱっと見、総無垢の高級家具がかなり安く作れる。
というわけで今日はここまで。