結局3編構成になってしまったが今度こそまとめる。ツキ板(突板)の話もします、本当です。
無垢材については楓&メープルと胡桃&ウォルナットの話をする。
ツキ板が気になる人は、販売店から貼り方まで結構詳しく書いてるので目次から飛んでね。
中編はこちら。
【中編・サクラ&チェリー・タモ&アッシュ】DIY家具でも使える広葉樹とツキ板の話
引き続き大好きな広葉樹たちの話をしていこうと思う。前編ではホワイトオークについて話したいことが多すぎてほぼ冒頭の延長みたいになっちゃったけど ...
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Contents
楓(カエデ) メープル
国産の楓(カエデ)で木工に用いられるのはイタヤカエデという種類だが、輸入材のメープルというとまさに樹液からメープルシロップを抽出するもので、木材としてはハードメープルと総称され、シュガーメープル、ブラックメープルとあるが普通区別しない。
メジャーリーグのホームラン記録を塗り替えたバットでもある。
ソフトメープルという総称もあるが、硬さがソフトという意味で家具にはハードメープルが用いられることが多く、よく知らないのでこの記事では触れない。
上の写真の通りカナダの国旗になってるやつで、北米が主な産地。
日本では材木としてだけではなく、街路樹としても輸入されており「サトウカエデ」という和名がある。
材木として「カエデ」と表記されるのは主に国産のイタヤカエデだけど、前回記事の山桜と同様そこそこレア。
なので僕は残念ながら使ったことがない。
種類と特徴
- 楓 - 色味は赤みがかった白。重厚で加工は困難。比重0.67
- メープル - カエデより白くやや黄みを帯びている。重厚で加工は困難。比重0.7
イタヤカエデにはお目にかかったことがないのでなんともいえないが、メープルの方が白っぷりが良い。
メープルはサクラやチェリーと同様に非常に目が緻密で滑らかなのが特徴だが、比較して強度や耐衝撃性は抜群に高く、そこに加えて白すぎる白さが最大の特徴で、子供に向けたような優しい造形の家具に最適だと思う。
凹みにくさはオークより上と思われる。経年で黄色さが増してくるが、それでも圧倒的に白い。
子供が生まれたら楓と名付けてメープルの家具でも作ったらどうや。
僕はこの白さとメープルシロップの原料という点にかけて「Pancake Clock」なるものを作った。
もっとメープルシロップがかかってるようなデザインにしたかったけど技術不足で諦めた。今ならもうちょっとできるかも。
下はちょうど新品のメープルがあったので経年変化の比較写真。
左の時計が1年ちょっと日焼けしたもの、右が新品にオイルを塗ったもの。上は焼けまくったブラックチェリー。テーブルは同じく焼けまくったオーク。
バーズアイメープルとカーリーメープル
メープルと言えばのこのワード。
玉状の模様がバーズアイメープルで、タモにも書いた縮み杢が出るとカーリーメープル。どっちも最上級とされる杢目でギターとかで馴染みがあると思う。
カーリーはすごく綺麗だと思うけどバーズアイはグロイと思う人もいる(私)
下の写真はヤフオクで手に入れたバーズアイが僅かに見え隠れするメープル。
材木屋さんでもバーズアイとカーリーメープルは、一般のハードメープルとは金額的にも区別して売ってるところが多いんじゃないかな?
ちなみにこの辺の杢目が出るとカンナがけの時、非常に逆目をくらいやすい。
下の写真は側面から見たもの。年輪の見える木口ではなく側面。
見ての通りあらゆるポイントで逆目が出る。
しかしながら目が緻密なので、裏金を詰め詰めにしていればDIY的にはなんとかなるので、オークのように取り返しのつかないことにはなりにくい。
胡桃(クルミ) ウォルナット
ウォルナット(ブラックウォールナット)さんは家具としてはオークと並んで大人気の樹種で、家具でも化粧板でもめっちゃ見かける、特徴はなんせその黒さだろう。
輸入材の中でも特に有名で、チーク、マホガニーと並んで世界三大銘木にも数えられる。おかげさまで金額もそれなりに高い、でもチークなんかと比べると断然安い。
産地は主にアメリカ東部。
国産の胡桃と比較されることが多いけど、色が全く違ってオークと似たような色をしているし、強度や重さにも結構差があったりするので親戚としては遠め。
どちらも白太が混じるとかなり目立つ。
種類と特徴
国産で木材として扱われるのは「オニグルミ」という種類。
- 胡桃 - 色味はオークやタモとよく似ている。木肌は荒めだが仕上がりは滑らか、加工はしやすいが傷つきやすい。比重0.53
- ウォルナット - 紫っぽさのある黒で比較して白太はかなり白く見える。木目は胡桃と似るがより緻密かつ強度も高い。比重0.63
木目は似てるが強度や加工性なんかは比重に準じた違いがある。「胡桃をギュッと凝縮したら黒くなった。」みたいな感じだと思う。
胡桃は床材に使ったことはあるけど加工したことはないので特に何も言えないんだけど、ウォルナットは加工性もよく、オイルの馴染みもよく、木肌の荒さの割には非常にクリーミーに仕上がる。
タモやオークのようなワイルドさに、チェリーの繊細さが加わったような粗細併せ持つ木肌、たしかにこれは三代銘木。クルミはそれをちょっと柔らかくした感じだと思う。
クールで複雑な表情
ウォルナットはその黒さにばかり目が行きがちだけど、よくみてると年輪ごとに結構色が違っててなかなか複雑な表情をしている。
下はタモとの比較だけど、ほぼ単色のタモと違ってたくさんの明暗と色彩が混じり合っている。
全体像としては彩度が低く青みがかって見えることもあるため、非常にクールで木製品らしからぬ印象がある。
例えば肌色の木質空間に、ウォルナットのダイニングテーブルを一つ置くと、あまりにも自己主張が強く、めちゃくちゃ浮いたりするので、ナチュラルな空気感の中で使うのは結構難しい。
石や金属などの要素も加わったモダンな空間に相性がいい。複数の樹種を混ぜ合わせてカラフルな面を作るときなんかはアクセントとして絶大な力を発揮する。
レストランの壁面の装飾。
オーク、チェリーなどの色味が異なる木と混ぜ合わせて見せることで、空間に許容されるトーンの幅が広がる。
知っておくべき異質な経年変化
木材の一般的に経年変化と言えば、だんだん色が濃くなっていくというのがスタンダードだけど、ウォルナットさんは「人と同じはヤダ」とか言っちゃうタイプなので逆に色が薄くなる。
結構知られてないので、知ってるとドヤれる。普段扱わない人はプロでも知らないので家作ってる時なんかに設計の人に講釈たれて嫌われてみよう。
残念ながら手元に残ってるものがないのでフォトショップでイメージを作ってみた。
左が仕上げ直後で右が経年のイメージ、クールな感じだったけど赤みがさして優しさが少し生まれた気がする。
あくまでイメージだけど個体差あるし所詮写真だからね。
ツキ板 安く簡単に無垢材の仕上がり
無垢の広葉樹を使って家具を作るのはそれなりにコストが嵩むもの。
例えばダイニングテーブルの天板や箱モノを無垢材でやろうとすると軽く数万は吹っ飛ぶ。
そこで最高におすすめしたいのがこの「突板(ツキ板)」
ツキ板とは無垢の木を0.2〜0.3mm程度に専用機械で薄くスライスしたものを指す。
これを完成した家具などに貼り付ければ、表面の質感は完全に無垢材となる。
しかし実際にペラペラの突板を貼るのはアイロンとか使ったりでちょっと面倒くさい。
そう思った時にDIYでも超簡単に扱える選択肢が存在する。
DIYで簡単に貼れる突き板合板
そのままではペラペラな突板を、薄い板(基材)に貼り合わせたものを突板合板と呼んだりする。
基材に使われるのは、薄いラワン合板やMDFなど。
大体は2.5mm+ツキ板程度の厚みで非常に扱いやすく、ランバーコアなどで作った家具などにも簡単に貼れる。
ポリやメラミンなどの化粧板の類を扱った人ならわかると思うけど、あれと全く同じなので貼り合わせはGボンドでOK。
Gボンドの使い方は下の記事で詳しく解説している。
速乾ボンド(Gボンド)の使い方・メラミン化粧板、突き板などの貼り方
速乾ボンドとは、主に面と面を非常に強力かつスピーディーに貼り合わせてくれるボンドで、メラミンやポリ、突き板などの化粧板を貼り合わせるのが主な ...
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断面は薄いベニヤそのものだ↓
もちろん反ったり割れたりしない点も無垢材より扱いやすい点と言える。
突き板合板が買えるネットショップ
坂商会さんが運営する「ツキ板屋GIFU」。
無垢材のカット販売が大きく広まったにもかかわらず、DIYユーザーに優しいツキ板のネット販売はあまり多くない。
GIFUさんの扱う樹種は多種多様で、「安い」「早い」「選択肢があまりにも多い」
上に述べたツキ板合板ももちろんだけど、シート状のものもいろいろあって、DIYでもできそうな状態に仕上げてくれている。
突板合板は2.5mmだと樹種にもよるけど3x6サイズで3,000〜5,000円程度。基材を厚くしてもたいして変わらない。
実にランバーコア程度の金額で買える。本物のツキ板がメラミン化粧板よりやすい。
貼り付け基材は3mm、4mm、5.5mm、9mmとさまざまな厚みで用意してくれる。大きさも3x6から4x8まで対応。
ランバーコアに貼ってくれたりもするし、両面張りだって可能。これはツキ板が受注生産だから成せる技でもある。
受注生産というと納期がかかるような気がするが7枚注文しても3営業日で発送という迅速さ。
属性は違うが無垢材のカット販売はマルトクさん29営業日だってよ(2021/07/14現在)。昔は2週間で届いたのに。
唯一の弱点は送料で3000円〜5000円程度かかる。これはサイズがでかいからしょうがないんだけど、1枚で頼むのはアホらしいので複数買った方が良いかも。
あと最近は個人宅には送れなくて営業所止めとかもある。
配送に困った時には、やはり丸めて安く送れるシートに分があるので、貼り方も徹底解説した以下の記事参照。
初心者でもできる 突き板シートの貼り方と買い方・種類など【DIY】
突き板といってもシート状のものや、薄い合板に貼り付けられたものなど色々種類があって、貼り方も色々ある。 どちらのタイプであっても、手順をしっ ...
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木口を隠さずに使う
それではこの素晴らしき突板の使いたかの例を上げていこう。
突板合板はベニヤに貼り付けている以上、断面が見えてしまうと無垢材ではないことが丸わかりになってしまう。
とは言え、見えたからと言って特に問題があるわけでもないので、無垢広葉樹の仕上がりを生かして自由な使い方ができる。
下は楽器のカホンを作るのに使ってみたもの。
カホンとはパーカッションのひとつで座ってバシバシ叩く楽器でカラオケなんかに持っていくと楽しい。でもクラブに持っていったら止められた。
カホンの打面は薄い合板なんかで作ることが多く、ペイントしたりする化粧面でもあるので、まさに2.5mm基材の突板合板はドンピシャ。
これはオークの突板合板を赤いオイルステインで染めたもの。実物はもっとかっこいい。
通りすがりのお金持ってそうな服屋さんが欲しいというので「2万円」と言ったらマジで買ってくれた。
中身はスネアドラムのスナッピーや調整機構も仕込んであったので結構ちゃんとしてる。
またカホンの作り方も載せたい。
下は即席で作ったデスク。
天板がツキ板で、針葉樹合板の24mmに貼ってある。引き出しの前板はフロア貼りの工事で余ったアルダーの無垢材。脚は鉄やってる友達に作ってもらった。
木口を見せてもかっこよくなるかと思ったけど、針葉樹合板の木口はあまりかっこよくない。ラワン合板にすれば綺麗だけど高いのでしょうがない。
しかし肌触りは無垢材のそれなのでなかなか良い。でも新しいの作ろうかなと思ったり。
木口を隠して無垢材の雰囲気で使う
本領はこれ。
突板を使う場合は木口を同じ材料の無垢材で隠すのが基本。
下のようにオークの突板をオークの無垢材で囲う。これを框組(カマチグミ)と呼んだりもする。
ツキ板は嵌め込み造作に非常に相性が良い。
内側に溝を掘って嵌め込んでいるだけなので、トリマーさえあれば非常に簡単だ。
下のチェストは側板もホワイトアッシュの無垢材で作ってあって、正面からさらに無垢材を貼り付けてある。
この側板を突板にして、フロントから無垢材を貼り付ければ材料費は大幅に節約できる。
ただし上にRの面取りが施されているので、その部分は無垢材にする必要がある。
下の写真も框組(カマチグミ)。
別のチェストの側面だけどこれもツキ板でやってしまうとローコストだ。というか突板でやるべき部分だ。
タモの無垢の薄板が余ったいたので無垢でやったけど、無垢だと隙間が空いたり目違いが出るのでわざわざ相欠きしてボンドで接ぎ合わせみたいにしてあるのでアホらしい。
別に全部無垢でやるのが正義ってわけじゃないよな。
ツキ板の仕上げ方
基本的に無垢材と同じで結構、やっぱりオイルフィニッシュに限るわ。
【#02塗り方編】オイルフィニッシュとは?【塗装と原理】
ワックスの塗りかたと同様に、オイルフィニッシュに絶対的な方法というのは存在しない。 自分の求める仕上げレベルや、材料なんかによっても変わって ...
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他の樹種一覧
他の木と突き板の話は別記事で書いている。
内容は以下の通り。
【前編】
- 針葉樹と広葉樹について
- 楢(ナラ)・ホワイトオーク・レッドオーク
【中編・サクラ&チェリー・タモ&アッシュ】DIY家具でも使える広葉樹とツキ板の話
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【中編】
- 山桜(ヤマザクラ) ・ブラックチェリー
- 梻(タモ) ・ブラックアッシュ ・ホワイトアッシュ
【中編・サクラ&チェリー・タモ&アッシュ】DIY家具でも使える広葉樹とツキ板の話
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