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【#02塗り方編】オイルフィニッシュとは?【塗装と原理】

2021年6月16日

ワックスの塗りかたと同様に、オイルフィニッシュに絶対的な方法というのは存在しない。

自分の求める仕上げレベルや、材料なんかによっても変わってくる。

なので結構私見が入ってくるとは思うんだけど、とりあえず基本的なオイルフィニッシュ(塗装)の作業手順や、塗装の原理から解説したい。

ここで述べることが全てではないが、原理を理解し、多くの情報に触れて知識の引き出しを増やすことで、自分の木工に適した仕上げの方法が定まっていくと思う。

何事も、見境のない知識のインプットと試行錯誤の末のアウトプットの繰り返しが大事だと思う。知らんけど。

その一助になれば幸いだ。

#01でオイルフィニッシュの原理や概要についても話してるのでそっちから読んだほうがいいかも。

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オイルを塗る理由

木材にオイルを浸透させ硬化させることで、木材の表面の保護を行い、反りや割れなどを抑制つつも、一定の吸放湿の機能、将来のメンテナンス性は担保する。

これが機能面における理由。

そして何より、肌触りを含めて木工製品を「仕上げる」

これが美観的な理由。

詳しいことは重複するので#01の前記事を読んで欲しい↓

【#01座学編】オイルフィニッシュとは?【特性・種類】

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機能面は何度も塗って拭き取れば十分満たすことができる(と思う)。

ここでは木工品ならではの「仕上がり」を求めていく内容を書いていく。

下地調整

下地調整とは仕上げのオイル塗装にかかる前に、サンドペーパーで木材の表面を均質に荒らし、小傷を取り払い、平滑な面を用意する調整。

この工程をすっ飛ばすと仕上がりは抜群に雑になる、とても重要な工程。

ここで一番重要なのはサーパーの番手。やたら細かいので磨く人が多い気がするけど#240くらいを塗装前のMAXと考えて良いと思う。

下準備の水拭き

濡れたウエスやタオルなどで表面濡らすイメージで拭く。なぜか。

木材は水で濡らすと表面が毛羽だってバサバサになる。この作業によって、製作の最中に生じた当たり傷や、細かい凹みなどが浮き上がる。

これによって、次の工程のペーパー掛けでよりスベスベの面が得られやすくなる。

当然、お湯で濡らしたタオルなどを使うと、浮き上がらせる効果はより高くなる。

正直言ってかなり丁寧な工程で、個人的にはここまでやらないことの方が多い。

サンディング

僕は(#120)→#180→#240と番手を上げてサンディングしていく。それ以上の番手はここでは使わない。

#120に関してはやらないことも多いかも。

#240という番手はあれこれ悩んでたどり着いた番手で、今のところベストだと思っている。塗料屋さんやメーカーなどでもこの辺を推奨してることが多い。

塗装を行ってからもサンディングは続くので、ここで番手を上げたからといってより綺麗に仕上がるということではない。

基本のきだけど、サンディングは木目方向に沿って行うのが原則だ。

少しでも木目と直角に削ってしまうと、絶対の絶対に研磨傷が目立つ。


ちなみにサンドペーパーはコバックスというメーカーの白っぽいやつがおすすめ。柔らかくて耐久性もかなり高い。

一番安い赤茶色のやつはすぐダメになるし嫌い。

#120〜180のサンディング

僕はいつもこの棒巻きペーパーを常備している。30x45のスギにペーパーを巻いてボンドで貼っただけだ。

こいつは幅の狭い面専用のサンディングで使っていて、大体80mm幅以内の材料にとどめている。

広い面はというとランダムサンダーを使っている。オービタルサンダーは基本的に使わない。明らかに研磨傷が目立つ。

ランダムとオービタルの違いについては下の記事を見て欲しい。

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また、ランダムサンダーはこのような接合面にもかけることができる。

手で研磨すると木目方向の問題で接合部にまたがった研磨ができないので、このような面の下地調整はランダムサンダーなどが必須になる。

#240のサンディング

#240は、基本的に素手で研磨している。

#180まででほぼ平滑に仕上がった研磨面を、お肉の弾力で優しくすべすべに仕上げていく感じ。

上の写真のような接合面は、ランダムサンダーの#240(たまに#320)くらいで研磨するんだけど、神経質な時はキワキワまで木目に沿って手研磨を行ったりもする。

なぜサンディングが大切なのか

傷を消すとかももちろんそうなんだけど、一番の理由は、オイルの吸い込みを均質化して塗りムラをなくすため。

ワイドサンダーなどの兵器を除き、木材は刃物で平面加工する場合が多い。

ホームセンターの材料であればプレーナーという電動カンナがかかっているし、ネット注文した広葉樹でもそう。手鉋でもそう。

まず、「手鉋で仕上げた天板は水を弾く」とかいう伝説があるように、刃物で加工された面は塗料の吸い込みが悪くムラになりやすい。

これは刃物で圧力を掛けながら木材の道管をぶった切ることで、道管の口が塞がることに起因する。そして道管の方向は一定でないので塞がり方もまちまちになる。というわけでムラが出るのは避けられない。

なのでスパッといかれた木肌をもう一度荒らしてやって、道管の開き方をなるべく均一にしてやるって感じだ。

この辺はワックスの話でも細かく書いてるので気になったら見てほしい。

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塗装は組み立ての後か前か問題

これはケースバイケースで明確な答えはない問題。

職業で木工をやってる人は後で塗る場合が多い。なぜなら時間と空間と手間とがかかるから。

バラバラのパーツを一つ一つ塗って乾かすのは場所も必要になるし、ボンドで接着する場所はマスキングして保護する必要がある。

また組み立て中にアタリ傷なんかが入ることもある。

しかし組み立てた後では塗るのが困難な場所や、先行塗装でも組み立てに問題が出ない場所はさきに塗って問題ない。

むしろ塗った方が良い場合も多い。

そもそも後先で完全に切り分けるのではなく、下地調整のサンディングまでは組み立てまでにやっておいて、組み立て後に補助的なサンディングを行うなど、作業効率を考えて変えていけばいいと思う。

塗装工程

オイルフィニッシュの良い点は、大きな失敗もなく、塗り重ねれば塗り重ねるだけ深みを増していくような気がするところ。

やればわかるがとても楽しい。頑張って作ったものにオイルを塗った瞬間、鮮やかに木目が映え、まるで命を吹き込まれたかのよう(ポエミック)

デカイものならハケの方が効率がいいが、塗装にはやっぱりウエスみたいに使えるショップタオル。何回でも言おう、ショップタオル最高。

一回塗り

ワックスのような薄塗りではなく、たっぷり染み込ませるイメージ。塗り方にルールはないのでぐるぐる塗り込んでやろう。小口などは吸い込みが激しいので多めに塗る。

重要なポイントは耐水ペーパーを使った磨き。下地処理と同じ#240を使って濡れた状態で木目方向にしっかりサンディングする。

なぜかというと、このサンディングで生じる木粉がオイルと混ざることで木の繊維の細かい隙間を埋め、より滑らかでシルキーな肌触りを生み出してくれる。

研磨してる瞬間もヌルスベ感を感じられると思う。しっかりサンディングしたらワックス同様、表面のオイルはしっかり拭き取る。

一回塗りは材料に浸透する量が多いので乾燥期間は長めに取ったほうがいい。具体的には2晩ほどは寝かせておくといいと思う。

しっとり感が残っていれば3日ほどおいた方がいいかも。

2回塗り

濡れたことで少なからず表面が毛羽立っているので2回目は必須。

同じくオイルを塗り、今度は#320の耐水ペーパーで研磨していく。

1回目ほど塗料は吸い込まないので少ない量で済む。ひたすらサンディングすることで前回以上のヌルスベ感がでてくる。

オイルの拭き取りは1回目以上に「磨く」という気持ちで拭き取る。

木肌のきめ細かい樹種などはこの段階でかなり仕上がった感が出てくると思う。ラワンとかケバ立ちやすい木でもそれなりにスベスベになる。

自分が満足できればここでフィニッシュしても良いんじゃない?

3回塗り以降

以降は同じことの繰り返し。間隔は一晩で十分。

番手を#400に上げて、暇があれば磨くといった感じで、どこまでも美しくなっていく(気がする)。

#400の次は#600くらいでイイんじゃないか。

仕上がりは自分との対話なので、その手触りとツヤ感に満足したらそのへんがゴールだと思う。

塗り残しの注意

オイルフィニッシュは木の呼吸を止めない。と言われているものの実際は結構止まっている気がする。

なので、天板などの裏面を塗るのをサボったりすると、呼吸のバランスが変わってしまうため、反り方のバランスも変わってしまう。

塗り重ねるごとに吸い込みは少なくなるので、僕は裏面でも2回は塗るようにしている。

塗装環境の注意

calm body of wate r

これは経験談なんだけど、直射日光の当たる場所で作業をすると、塗ってる最中に急激に乾燥が進んで粘度が異様に高まってしまう。

こうなると拭き取りも困難でベタベタの表面になってしまって、どうやってもうまく仕上がらない。

塗る時はなるべく屋内の涼しいところで塗った方がいい。商品によってはドクロマークとかついてるし換気も忘れずに。

おすすめ塗料

イチオシしたいのはこいつ。リボスのアルドボス。

仕上がりがとにかく好き。シルキーな鈍いツヤという表現がぴったり。

粘度もちょうど良く、オスモより少し安い。

オイルの中では耐水性もかなり高い。万能感がある。

僕はあんま気にしないけど、ドイツの自然健康系の塗料として名高く、クリーマとかで人に売る時も信頼性が高い。

ちびっこワークショップの講師をするときとかも使ってて、案内に書いてもらうようにしてる。

他の塗料については前回の記事で詳しく書いてるので参考にして欲しい。

以上、それでは良い肌触りを。

動画解説

実際に塗ってみる動画解説。

選び方の記事いろいろ

塗料の安全性をどのように考えたらいいか。選択のご参考に。

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