電動工具 使い方

SK11テーブルソーをこき下ろす、でもライトDIYには最適かも

2022年8月20日

ポータブルテーブルソーはDIYの強い味方だけど、ぶっちゃけ日本であまり普及してない。メジャーメーカーが全く作る気がない。

マキタも高性能なものは海外でしか販売してないため、国内での更新は完全に止まってるし、多分今後も期待できないと思ってる。

需要がないから作る理由がない(悲しみ)。だからこの記事にも需要がないかもしれない。

だからそれなりのものが欲しかったら海外からお取り寄せするしかない。

でも電圧や保証の問題もあるし多くを求めないので国内で買いたいならこのSK11でいいと思う。何より安い。

妥協に妥協を重ねて買ったコイツにはめちゃくちゃ不満はあるけど、2万円と言われたら文句は言えない、そんな感じ。

テーブルソーに求めたいもの

そもそもテーブルソーってどのような目的で買うのか、何ができるのか?そのへん分かりかねてる人もいるだろうし、主観が混じるがまとめておく。

精度

テーブルソーは「工房の精度を決める」と言われたりするほど作業の中核を担う機械。(ちなみに日本の家具製造でよく使われてる昇降盤とはちょっと違う。)

全体のカットから、ホゾなどの仕口の加工まで守備範囲がめちゃくちゃ広い。

なのでその精度がバグってると全体の精度がバグる。

そもそもテーブルソーはテーブルにチップソーを取り付けただけの非常に単純な構造をしている為、そもそもの精度がでやすい。

スライド丸ノコなんかと稼働部位の数を数えてみれば一目瞭然。

ゴツくて歪みにくいテーブル、重くて微動だにしないフェンス。これだけあればOK。

多少狂っていてもいい。ゴツいので調整さえして仕舞えば歪まない。

つまりテーブルソーはゴリラだ。ゴリラであるほど信頼性が高い。

しかしプロの飼育員で無く、広い設備も持たない人間がでゴリラを飼うのは現実的ではないので、軽量なポータブルタイプを買うことになるが、軽量である時点で精度(ゴリラ度)を捨てることになる。

作業効率

テーブルソーはフェンスなりマイターレールを使って、同じ加工をべらぼうに早く繰り返すことができる。

一番簡単なところで言うとところで言うと同じ幅のものの量産。

例えば長さ450mm幅80mmの材料を正確に20枚切り出す。でも丸ノコしかない。なんて考えただけで吐きそう。

でもテーブルソーなら設定も含め10分程度でできる。もちろん丸ノコでは不可能な精度で。

こんなん丸鋸じゃ絶対無理。

なんのジグも使わず、特に高精度で行うことができる。

マイターレールを使えばスライド丸鋸の担当領域まで侵攻できる。

長すぎるものは難しいけどテーブルで捌けるものはなんでも切れる。

スライド丸ノコに優れる点は精度だけど、特に一定深さの切り込みをしたいなら構造上テーブルソーに軍配があがる。

菱形の量産

汎用性

テーブルソーは考えられるジグが無限に近い。

加工が直線でさえあれば、斜めだろうが二軸傾斜だろうが工夫次第でどうにでもできる。

直線と言わず丸棒や錐狀体を作ってる動画なんかもあったりする。

古い昇降盤とボール盤しかない狭い工場で、信じられない形を生み出す魔法使いも存在する。

一つまとめてみると魔法型のゴリラ。

SK11のテーブルソーいい所

1、テーブルソーの形をしているところ。

2、安いところ。

以上。

SK11のテーブルソーダメな所

冒頭に書いたように精度が出ないところなんだけど、自分が前使っていたのはDELTAのキャビネットソーっぽいやつ。つまりゴリラなので、ポータブルがそれに劣るのは当然と言える。

場所の問題もあって今は倉庫で眠ってるDELTA

これはゴリラしか見たことない人が、ニホンザルを同じ括りで比較して「貧弱」と言っているようなもの。

でも精度が出ない原因はやはり貧弱であることに原因がある。

特に

フェンスがふわふわ

という点。

買ったときすごく後悔した。

DELTAのフェンスとの比較

だからこの問題を他のメーカーの製品なら解決できるのか?について調べていたけど、国内製品はぶっちゃけどれも同じような問題を抱えている模様。

なので以下に書き連ねる問題は、どのメーカーの製品でも多かれ少なかれ共通する問題と考えた方がいい。

(ちなみに海外の最新型はというと、かなり改善されているように見えるので、確認するためにSKILSAWの新しいやつを注文してみた。届いたらしっかり検証してみたい。)

追記: 届いたからこの記事で検証したよ

フェンスの設定が大変

フェンスはテーブルソーの精度を決める最も大切な可動パーツで、大半の加工の寸法はフェンスに依存する。

フェンスは左右に平行移動させて材料の加工幅を決めるので、いかに速やかに望む寸法でセッティングできるかが重要になる。

それが速やかにできない。

というのもテーブルソーは刃とフェンスの距離をダイレクトに測って設定することが多いと思うけど、このフェンスは容易く刃と並行になってくれない。

刃の前と後ろの2点で測って合わせて、初めて平行に設定できる。

そして、合わせても、固定の締め込み時に若干動くので、コンマミリ単位で合わせたい時はかなり大変。(締め込み時のブレはDELTAでもわずかにあったけど)

フェンスが直角じゃない

これは大袈裟にズラしている

やっとこさ設定していざ切ろうと思ったらそもそもフェンスが直角に立っていない。

これはフェンス前部のレールにゴミが溜まってたりするとフェンスが浮き上がって起きることが多い。

しかしゴミを除去しても垂直に立っていない時もある。

そんな時はフェンスのレール滑走部に何か貼り付けたらある程度は解消される。

ただし、いくら直角を完璧に出したとしても、材料を縦置きして木端や木口を刻むような、フェンスの直角に強く依存する加工は現実的じゃない。

だってそもそもの高さも幅も小さすぎて、ガイドにできる気がしない(ジグ側に直角を担保させるならやれなくはない。)

逆にそのような加工を諦めてからは、この直角の狂いを気にするシーンは少なくなった。

フェンスが動く

これもポータブルテーブルソーの宿命かもしれない。

貧弱なパーツで組み付けられた小さいフェンスがしっかり固定されるわけがない。

締め込み強さ自体は調整できるのでその不足によるズレは起きない。

でも構造上、最後部に遊びがあって、押せば最大1mm程度動く。最前面はまあ動かない。

ここに遊びがある

実際の加工では最後部に思い切り力をかけるわけではないし、カットに直接関わるのは中腹あたりなので、実際は0.1〜0.3mmあたりの動きで収束すると思う。

まあ均質に力をかけて加工するなら、材料ごとの違いはほとんどないと思うし、いざというときはクランプで固定すれば解決できたりするけど、加工の時に余計な神経を使うのは否めない。

クセを見抜けば遊びを押し込む方向に寄せれるのでなんとかなる部分ではある。

フェンスが曲がった

これは注意したい。

フェンスが動くので締め込みを強くして使ったりクランプで締めたりしていたが気づいたら曲がってた。締め込むとさらに曲がる。

このフェンスは構造上、締め込みの応力がテコの原理でフェンス上部にかかり、フェンス全体を長さ方向に圧縮する力がかかる。

厚み1.2mm程度のただのアルミ角パイプなのでこれはもうどうしようもない。アルミフレームみたいな構造ならもう少し違うかもしれないけど。

力の掛かり方が違えばこれは起きないと思うけど、他のメーカーのものでも力をかけすぎるとそうなるかも。

天板が水平でない

これは個体差があるし一概に言えないけど、他のメーカーのものなら水平が出ているというわけでもない。

運搬に適した軽量のアルミダイキャストである以上、強度もないので些細なことの繰り返しで将来的にも歪むと思う。

まあでもうちのはそんなに悪くないし、正直そこまで気になっていない所。

そもそも、それなりにデカい定盤の水平が数万で手に入ると思うのが間違いかも。

上下すると刃の角度が微妙に変わる。

どういうことかというと刃を出し入れするとユサユサと刃がブレる。

これは個体差というか、他の人の動画なんかでも見たりするSK11の機種の特徴。

どうなってるんだこれと思ってデジタル角度計で測定してみると

およそ89.9〜90.2あたりで動いた。思ったほどブレていない。

色々とお粗末ではあるけど、この誤差でどれくらい困るかは人次第だと思う。

あまり分厚いものを切らない自分としてはそこまで困ってはいない。

SK11テーブルソーが役立つシーン

お粗末なポイントを散々上げてきたけどそれでも彼を使い続けてきた。

つまり彼がいなければできなかったことがたくさんある。

等幅の材料を量産する

この作業は引き出しの箱なんかを作る時には絶対必要になる。

上に書いたけど同じ幅の板を大量に用意したいシーンはいくらでもある。特に、幅の狭い材料を丸ノコで平行に切るのは本当に難しい。

いくらこのテーブルソーがしょぼいと言っても、自分が丸鋸で切る10倍正確だし、速度に関してはマジで100倍くらい早いかも。

複数角度の混じったパーツを量産する

さっきの発展形のような感じだけど、傾斜カットジグを組み合わせて結構こみ入った形状のパーツを量産できる。

例えば一つの材料に写真のジグを順々に通していけば、

こんないろんな角度のついた形を作ることができる。

これを丸ノコやらトリマーなんかを使って正確に切り出そうとすると、なんやかんやで1つ30分くらいかかるかもしれないけど、テーブルソーなら30分あれば30個は作れるかも。

それもかなり正確な寸法で。

ホゾを作る

ホゾの凸側を作るのは本当に得意。

特に一番難しい胴付きのカットを最も精度良く簡単に出すことができるのはテーブルソーだと思う。

加工だけでなく墨付けの作業もほとんど不要になる。

トリマーやスライドなどいろんな道具でテーブルソーの代用ができないか考えたけど、精度、効率の面で遠く及ばなかった。

いわゆるクロスカットスレッドというジグを使う方法もあるけど、個人的には付属のマイターゲージでザクザク行く方が深さも一定になりやすそうだしいいと思っている。

上の写真のようにギザギザが入るのも、ノミで仕上げるよりもボンドと相性がいいと思う。

テーブルソーは存在自体が危険

僕は縫合が必要な怪我を2回したことがあって、2回ともテーブルソーだった。

特に2回目は大事だった(12針縫った)。その恐怖を忘れないために、自分の血で染まった材料 に「死」と一筆書いてフェンスの上に貼っていたこともあった。

安全対策については長くなるし別の記事でまとめたいけど、戒めとして絶対守った方がいいことを書いておく。

  • 割り刃のないテーブルソーはただの凶器、絶対外すな - キックバック対策
  • 手袋は絶対するな - 大怪我対策
  • 刃とフェンスに挟まれた材料が最も危険、抑えを怠るな - キックバック対策
  • 材料の抑えは棒でやる、プッシュブロックも怖い - 刃への接近対策
  • マイターゲージを使いながらフェンスに当てるな - キックバック対策

別記事で細かく解説したいけど、とりあえず一番大切なのはテーブルソーを使わないことだと思う。

SK11テーブルソーの感想

くそったれ、これなら3倍出してマキタの方がよかったか??って最初は思ったけど、人の話聞いたり動画見てると「あ、大して変わらないんじゃない?」ってのが今の感想。

マキタ2703はブランドイメージが先行して実態以上に評価されている商品の代表だと思う。あまりにも割高。

マキタは海外向けに2703よりかなり優れた2705という優秀なテーブルソーを作ってるだけに、余計買う気が失せる。(それも結構古いけど)

自分としては十分元は取ったし、SK11を選択して良かったと思ってる。

でももうワンランク上が欲しい。

そうなったら海外製品しかない。

日本のポータブルソーの市場は時が止まっている。

2022年現在、最新世代と思われるポータブルテーブルソーはリップフェンスがラックアンドピニオン方式になっていて、簡易な調整かつ平行の維持も構造的にできてるっぽい。

先日そんなSKILSAWのSPT99T-01を注文したところ。

実際のところどうなのかわからないけど、届いたらブログとYouTubeで自慢したいと思う。

追記: 届いたからこの記事で検証したよ

-電動工具, 使い方