ボンド接着剤 考え方 ジグ作り

簡易ジグ製作に活きる木工速乾ムーブ【アルテコ・タイトボンド Quick Thick】

ボンドの乾燥時間ほど厄介なものはない。

クランプを伴う接着作業は夕方にやって翌朝まで待つって感じになりがちだと思うけど、製作物本体はそれでいいだろう。

でも何か製作するためにはジグが無数に必要になり、それに伴って接着作業はいくらでも増えていくので、いちいち一晩待ってたら永久に完成しない。

その待ち時間をゼロに近づけるためにいろんな工夫が必要になってくる。

ジグにもとめる剪断応力

ジグといっても無限の形があるので何とも言えないけど、合板を組み合わせて作ることが多いと思う。

で、多くの場合、貼り合わせた面がズレないということが重要になってくる。

いわゆる「ズレる」という動作は「剪断力」によって引き起こされるといえる。

もともとボンドは全般的に「剪断応力」が高く、ビスは弱い。

だからこそ精密なジグの組み立てにはボンドを使いたいし、打ち込んだ瞬間ずれてしまうビスの出番はほとんどない。

なので、貼付後即時「剪断応力」を発揮してくれるボンドの使い方を知っておきたい。

アルテコ瞬間接着剤とタイトボンドQuick Thick

最近めっちゃ使うようになったのがこの組み合わせ。

まず右のタイトボンドの Quick & Thickは文字通り速乾のタイトボンド。

前回木工用ボンドの比較記事にも少し登場してる。

タイトボンド各種とコニシボンド【木工用ボンドの沼】

木工用ボンドを1種類でやりくりする人もいると思うけど自分は無理。気づけば結構な種類を組み合わせ、あの手この手でいろんなものをくっつける。今回 ...

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タイトボンド1,2,3との違いは成分。

1,2,3がAliphatic Resin(脂肪族樹脂系)であるのに対して、Quick & Thickはいわゆる白ボンドと同じような酢酸ビニル樹脂的な成分(PVA)となっているので、タイトボンド感があまりない。

でも速乾性はマジで高い。もともと早い1,2,3に比較してさらに早い。

材料に塗って擦り合わせたら、どんどんグリップ力が高まっていくのがわかると思う。

最終接着強度は3000psiと、1,2,3の3600-4000psiには及ばないけど、一般的な白ボンドが1450psi以上と考えれば十分すぎる。

粘度もタイトボンド本家よりだいぶんと高いので液ダレしにくく、木口同士の接着にはこちらの方が強度が出るかもしれないと思ったりもする。

木材、セラミック、石材、ガラス、繊維、皮革と汎用性が高いのもポイント。

ただし白ボンドの特性上、耐水性はないのと、速乾ゆえに組み立てに時間のかかる接着には超不向き。

だから瞬間接着剤と組み合わせることで速乾性をさらに活かせる。

用途は合板を貼り合わせるような簡易合板ジグの製作。

直角キープが目的のジグだけど2枚の合板を貼り合わせただけ。

Quick Thickを塗り合わせて接着面をこすり合わせただけでも、数分で実用強度に達すると思われるけど、強い力をかければズレは生じる。

なので貼り合わせの周囲にアルテコW2を塗って、速乾プライマーを吹きかける。

速乾プライマーは文字通り瞬間接着剤の即時硬化を促してくれるケミカルアイテムで、木工系の動画にはよく登場する。

このコンビネーションで貼り合わせてやれば、簡易ジグはノータイムで製作できるので作業のストレスはすごく減る。

アルテコのW2という品番は、WOOD用の2番と言ったような意味合いで、番号によって粘度が異なる。

例えばW1という品番はオリーブオイルくらい、W2は常温のハチミツくらいのイメージだろうか。

最近では定規ジグやテンプレートジグのズレ防止なんかにもアルテコを使用したりする。

というのも瞬間接着剤(シアノアクリレート系)は剪断強度は強いので点でちょんちょんとくっ付けただけでもズレることはないけど、耐衝撃性が低く剥がすが簡単だ。

トリマーで倣い加工する時に型を貼り付ける時に使ったりすることもあるようだ(海外木工家)

ただし、材料の表面が多少持っていかれることもあるので使い所は用検討。

こいつらのコンビネーションはこれからもっと思いつくと思うのでまた記事にしたい。

アルテコの速乾アクリア

ちなみに速乾として優秀な木工用速乾ボンドとしてアルテコのパワーエース 速乾アクリアというものもある。

YouTubeのコメント欄でオススメされたから買ってみたんだけど、まだ実践的に使ってはいない。

ただ何度かタイト Quick Thickと比べた感じ、初期接着強度はタイトに分があるように感じた。

ただしコスト的には速乾アクリアの方が半額程度なので、速乾ムーブを決めたい時はアルテコオールスターで臨むのもありだと思う。

他の作戦

なんていうか結局、なるべく早く乾燥する木工用ボンドを使いつつ、十数分のクランプタイムを瞬間接着剤でカバーするって感じだ。

自分はタイトクイックとアルテコ瞬間のコンビネーションがしっくりきてるだけであって、それは他のものでも構わない。

例えば深さが取れる部分であれば、押さえにピンタッカを使用するのもあり。

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厚みが変わってしまうことが問題にならないならば、即時剪断応力を発揮してくれる両面テープなんかも使える。

両面テープとボンドの併用というと、鏡の貼り付けなんかにおいては正規工法ともいえる。(ミラーマットとシリコンの併用)

他にも、ジグ用途とは言えないけど、単独で強靭な速乾力を発揮するゴム系ボンドなんかも存在する。

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というわけで方法には無限のやり方が存在する。この記事が何かしら参考になれば幸いだ。

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