お部屋のインテリアの主役はキッチン!キッチンです!
だからキッチンを作ろうぜ。
ちょっと難しそうと思うかもしれないけどよく考えてみてよ、キッチンなんてただの箱やで?
そのちょっと難しい部分はこの記事でしっかり解説する、きっと作れるさ。
当たって砕けてはいけない、原理原則をを知ることがDo it yourselfの原理原則。動く前に考えるんだ。
まず先日作ったキッチンの設計の考えかたと解説を行うんだけど、この記事だけ見ると「やっぱ難しそう」って思うかもしれない。
けど、下の記事でシンプルな構造のキッチンを例に出して細かく説明してるのでそれも合わせて参考にしてほしい。
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【やさしい作り方】キッチンをゼロからDIY【作ろう編】
この記事ではキッチンを作るために最低限押さえておくべき知識と、最もシンプルで簡単なキッチン作りを引き合いに出して解説していく。僕は建築設計を ...
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いざ自分で作りたい人はこの記事で基本を押さえてほしい。
Contents
動画解説
まずは下の動画を見てもらえたら製作全体の流れや雰囲気が掴めると思う。
結構長尺の動画だけど、しっかり解説入れてるから、ある程度できる人ならこれだけでできるかもしれないぜ。
チャンネル登録してくれたらあなたのことが大好きになる。
基本図面
考え方の順序に従って説明していく。
初めに
図面に拒否反応がある人もいると思うので言っておくけど、最初から細々図面を書いたわけではない。
最初は手書きで検討したし、まずは全体の大きさや素材やデザインなんかをウキウキ決めた後に、どんな材料を使うかを考えて、それから細かく書き込んでいく。
絵が下手でも描いてみよう、まずはざっくり考えよう、それが大切。
手書きの検討図を見せろと思うかもしれないけど、適当な裏紙に書いてたのでどっかいった。そんなもんよ。
あとCADがあるとめちゃくちゃ楽やで、CADはプロのものじゃないんやで、手書きの図面で考えていくほうが多くの感覚が要求されるのでよっぽど熟練がいる。
DIY用のCADもあるらしいし使ってみよう。
上から見たレイアウト図【上面図】
キッチンを考えるときはまずは上から見たレイアウト図で大きさを考えるといい。

最初に天板の大きさを決めよう。
今回は1952mm x 650mmだった。左手と背中側が壁で、右に冷蔵庫を置く予定でその奥にさらに壁がある。
なので冷蔵庫を置いても50mmくらいの隙間は確保できるように考えたら、勝手に天板のサイズは決まってしまった。
奥行きはあるほど便利だけど、手前にも別で収納カウンターを作る予定なのでそんなに大きくは取れない。
通路のことを考えていたら650mmになった。ただし最低でも600mmは確保するのがキッチン設計のセオリーだ。
大きさが決まったのでシンクとコンロの配置を考えていった。
コンロの大きさは幅600mmor750mmが基本なのでここは600タイプを選択、価格コムで見つけた一番安いリンナイのビルトインコンロをチョイス。
製品図面をネットで検索して大きさを確認して設置場所を決めた。
横の壁から150mm隙間を設けるのもセオリー(壁が不燃でなければ義務、ただしIHならばその限りではない)
シンクはIKEAのもので、こちらも外形寸法を確認して図面にレイアウト。
レイアウトが終わったらどのくらいの大きさの穴を開ければいいかを確認。
この時に確認するのは「設置説明書」とか「取り付け説明書」みたいなものなので品番と一緒にググろう。

というわけでどれくらいの穴を開ければいいかも書いた。
これで一旦天板は完了。
正面から見た図【正面図】
次に正面から見た時にどうなるかを考えよう。
まずは高さ。そして収納の考えだ。
高さは800mm〜900mmで考えるのがセオリー。
一般的な賃貸なら850mmが多く、古いと800mmが多い。
身長が150cm代なら800mmくらい。160cm〜175cmくらいは850mm前後、180cmくらいあるなら900mmでもいいだろう。
僕は設計者なのでお客さんと話す機会が多いんだけど、スケールを当てながら話すとみんなやたらと高くしたがる傾向にある。そして実際使って初めて高すぎたと気づく。
あんだけ言ったのに・・・
往々にしてシンクはちょうどいいけど、コンロが高いとなるんだよな、しかしそこに段差を作るとダサい。人間の構造上の欠陥。
僕は174cmだけど88cmくらいのキッチンを使ってみて結構高いと感じた。
キッチンはホームセンターにも置いてあるからフライパン振るってみなよ。

収納は今回引き出しにしたので、図のように実際入れるものを考えながら設計した。
こういうのはやっぱり実際のシステムキッチンを測ってみるのも参考になるよ。
将来買うかもしれないと思うなら、スケール持ってメーカーショールームに冷やかしに行くのもありかもね。(モラル次第)
シンクの下の排水をギリギリで交わしてるけど、こればかりは現物とにらめっこしながら考えたほうがいい。
とはいえもし干渉した場合はこの引き出しだけ作り直すか、干渉する部分だけカットすればいいだけの話。
逃げ道は常に用意しておこう。
横から見た図【側面図】
横から見た図は板で塞がってるだけなので。別に書いてない。

この図で確認したかったことは、引き出しの後ろにどれくらいの隙間をとればいいか、必要な隙間をとれる引き出しの奥行きはどれくらいかの確認だ。
空間の広さは時に設備とのせめぎ合い。
図の隙間は128mmとなっているが、正直かなりギリギリだった。
IKEAの排水を使う予定で、これはかなりフレキシブルに調整できるので余裕だろうと思っていたが、せめて150mmはとるべきだった。
まとめ
この図面はわかりやすくするためにあんまり寸法入れてないけど、図としては製作段階までブラッシュアップされてるので、各寸法を測れば全て作れるようになっている。
ここで書いてもしょうがないので、次の項目で超わかりやすい図を用意しよう。
製作工程と製作図面
組み立てワークフロー
大事なのはキッチン本体であって、引き出しなどは手間がかかるとはいえその他作業。
本体組み立てのワークフローを解説してみる。
まずは切り出したパーツをひたすら組み立てていく。

今回は右の側板以外は全部隠れてしまうので、容赦無くビス留めで組み立てていった。
ちょっとパーツが多いけど、番号なんか降っておけば間違えることはないし、背板も後ろからビス留めするだけなので比較的作りやすかった。
一番左のL型の素材はただの隙間埋め材なので気にしなくて良い。
これで下のような箱が完成する。
正直この段階でほぼ完成したも同然。

ふたつに分けてあるのは運搬して部屋に運び込む必要があったためなので、現場で作るんだったら分割しなくてもいい。
ただし大きいほど作る時に直角が狂いやすいので、僕だったら引き出しをつけたりするときは寸法もシビアだし分けて作るかも。
持ち込んだあとは下のようにいろいろなパーツを組み付けていく。

今回は分割製作なので、天板の継ぎ目がどうしても弱く、タイルを貼ると目地にヒビが入る可能性があったので、もう一枚貼ってある。
見ての通りこれも分割で作ってあるが、継ぎ目をずらしてあるので、ボンドを塗りたくって大量のビスで留めれば非常に強靭な一体の天板になる。
これは重要テクで、壁なんかもこのように二重貼りすることで塗装する時継ぎ目が割れにくくなる。
かさ上げ台を設置する目的は排水管が下に通るため。
難しく考える必要はなく、実際の現場を見て排水管に当たらないように嵩上げすれば良いだけの話だ。
縁に取り付けるサクラ材は単純に天板の側面を隠すためのもの。
取り付けはGボンドによる速乾固定が楽。使い方の記事はこちら。動画にも出てくるのでわかりやすいかも。
そこまで完了すればタイルを貼れば完成。

キッチンの天板なんかにはるタイルは結構簡単で失敗しにくいので初心者にもおすすめ、僕も数回しか貼ったことないし。これも動画がわかりやすいかも。
使うボンドはタイル用の弾性接着剤というやつ。
木取り図
材料をコスパよく捌き、かつ効率的に作業するためには事前の木取り図作成は必要。
材料をどうカットするか作業前に決めておけばめちゃくちゃ早い。
どうせ切る前に考えるんだから机上で考えておこう。
この図の寸法が間違ってなければ、全体図面はただの組み立て説明書みたいなもんなので、寸法を細々入れて見にくくする必要もない




実製作
切り出しから組み立て
まずは材料の切り出しから。

そして組み立てるとこんな感じ。

スライドレールは事前に取り付けている。後でつけるのは大変だよね。
背中の穴は給水のための穴で、現場に持っていって合わせてもいいし、壁から出てる蛇口をそのまま使うならそもそも不要。
この辺は環境によって違う。

ふたつ並べてみるとやっぱでかい。サイズを確認したら現場に持ち込む。
搬入設置

現場はこんな感じ、左から出てるのがガスホース、それに隠れてるのが排水管。右の壁から出てるのがお湯と水。
今回のキッチン作りでは、ガスはそもそもなかったのと、給水栓の位置が悪かったので業者さんにこの位置に出してもらった。
この辺については次回詳しく話そうと思うけど、初心者だったら元々ある位置に合わせて計画してもいいかも。
排水管の位置もこんなふうに移動した。これはDIY。

この高さをクリアするためにかさ上げ台を用意するというわけ。
かさ上げ台は下のように組んだ。

かなり適当だけど結構頑丈だ。
ちゃんと水平を出すためにチップを挟んで調整している。

この水平な台の上にキッチンを乗せた。
壁から出てる設備関係は余裕を持って穴を開けよう。
穴が大きすぎたら薄い板や、粘土みたいなエアコンパテなんかを使って埋めてもいいと思う。結構便利。


ガスホースは自分でも驚くくらい完璧だった。

こちらはちょっとズレてるけどかわいらしさを表現しただけだから。

シンクはかぶせて下からビスで締めるだけ。本当はタイル貼ってからだけど試しにかぶせてみた。モチベアップ。
コンロも同じだけど、ガスをつなぐのだけは必ずプロに任せよう。

壁の凹凸はこんなふうにクリアしてあってコーキングすればなんとかなる。
というかこの壁は汚いから後でせっこうボードをとタイルを貼る予定なので、それを含めた隙間をとっている。

縁にサクラ(ヤマザクラ)を貼り付けた。取り付けはGボンドだから使い方はこちらの記事を参考に。
あとターナーのクラフトオイルの耐水性は本当にすごい。ドロドロにヘビーユースされてるけど全然バサつかない。
というかニス成分が入ってるので厳密にはオイルではないがオイル同様に使えるのでめっちゃおすすめ。
↓これなんだけど、なんか取扱店舗が減っててAMAZONでは買えない。もしかして販売終了する??だとしたら残念すぎる。
タイル仕上げと設備取り付け
続いてタイル貼り。
キッチンには20mmとかの細かいタイルがおすすめ、なぜならタイルを切らなくて済む可能性が高いから。
細かくても写真のように裏紙がついててバラけたりしないので、そのまま貼れて手間も少ない。
まずは穴に合わせてチョキチョキ切って仮ならべしよう。

その後はタイルボンドをクシ目ゴテというやつで塗っていく

塗ったら貼るだけ、そんなに難しく考える必要はない。

貼ったらこんな感じ、木のところにマスキングをしてるのがわかるだろうか。
これを絶対怠ってはいけない、ボンドがついたら取れないし、次に塗る目地材がつくと化学反応か知らないけど変色したりする。
目地剤はこれを使ったけど全然足りなかった。袋で買ったほうがいい。
色はいろんなものがあって、ひとつ間違えたら印象がめちゃくちゃ変わるので注意。今回は白。

目地を指定料の水でねったらヘラでもなんでもいいので隙間にねじ込んでいく。ゴムヘラがいいみたい。
ねじ込んだら軽く濡れたスポンジや雑巾で拭き取っていく。

塗ってる途中はこんな感じだけどなんとかなったよ。

結構いい感じやん。
ただ白はめっちゃ汚れる。
でもまあ汚れたらこんなやつで綺麗にすればいいかなと思ってる。
翌日即コンロが接続された。
下の方でガス屋さんがつないでくれたんだけど、言ったらはめこみもやってくれると思う。
だけどキッチンをイチから作るなら、このキッチンとシンクをはめ込む瞬間にこそ最大の喜びがあると思っている。
接続以外は自分でやりたい。

引き出し
正直なところ引き出し作りが一番メンタルを削ってきた作業だけど、ここではさほど述べないので下の方に引き出し関連の詳細記事を貼っておく。
今回は水回り収納なので、耐久性の高いメラミンカラー棚板なるものを使っていく。
仕様を述べておくと。
- 側板 - メラミンカラー棚板 16mm
- 底板 - ポリ合板2.5mm+ベニヤ5.5mm = 合計8mm (Gボンドによる貼り合わせ)


食器や調味料ボトルは重いので底板は厚め。
耐久性を高めるために使ったメラミンカラー棚板だけど「メラミン」というワードが入っていることを確認しよう。
似たようなものにプリント合板があるが耐久性に天と地の差があるので注意。
詳しいことは書かないので下の記事を参考にしてほしい。
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そして前板の切り出しも完了。

真ん中だけ目が縦だが、3x6サイズのタモ集成材1枚で作りたかったのでこうするしかなかった。まあアクセントになってると思う。

前板の引き手の加工はこんな感じ。硬くて大変だった。
完成
なかなか長い道のりだったけど無事完成した。
材料とコスト
じゃあどんだけ金がかかったのかというと。以下の通り
- ラワンランバーコア18mm @3,600円x4
- 針葉樹合板12mm @1,050円x2
- タモ集成材15mm @6,200円
- メラミンカラー棚板 16x250x1800 @ 2,000円x5
- メラミンカラー棚板 16x400x1800 @ 3,400円x1
- ラワン合板5.5mm @900円x2
- ポリ合板2.5mm @2,300円x2
- サクラ無垢材(あったものなので概算) @2,000
- かさ上げ角材など @3,000円
- タイル @8,400円
- タイルボンド @1,800円
- Gボンド @1,000円
- 目地セメント @1,000円
- ESHAクラフトオイル @3,800円
- スライドレール @8,700円
- スライドレール重量用1セット @4,700円
- IKEAシンク ボーホルメン@15,000円
- IKEA混合水栓 グリペン @8,000円
- リンナイ 3口ビルトインコンロRB32AM5H2S @26,000円
合計126,000円
あれ、思ったよりかかってる。
その辺の機能的な引き出しタイプのシステムキッチンが10万円台で買えるので特別安くはない。
でも自分が愛着を込めて作ったキッチンは、眺めて楽しい、引き出して楽しい、汚して楽しい。
これが最大の機能やからな。
たぶん買ったら1000000000万くらいするよ。